「 本編パートはシリーズのなかでも出色の出来栄え!」ゴジラVSビオランテ 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
本編パートはシリーズのなかでも出色の出来栄え!
ゴジラ生誕70周年記念上映「ゴジラ・シアター」第3弾は『ゴジラVSビオランテ 4Kデジタルリマスター版』(1989年)。
『ゴジラ』(1984)の復活から5年。
次回作をずっと待ちわび、前売り券を半年前から購入、今は無き「渋谷宝塚劇場」(現:SHIBUYA TSUTAYA)に放課後観に行った思い出がありますね。
いわば私のゴジラデビュー作。
5年もかかった理由は脚本作りの難航とのこと。
最終的には原案コンテストで5,000本の中から選ばれたストーリーだけあって実に秀逸。
ゴジラ細胞(G細胞)を巡る米国と中東産油国と日本の争奪戦が「007」を彷彿とさせるテンポの良いスパイアクション。バイオテクノロジーの進化に対する警鐘というテーマ性もしっかりしており、本編パートはシリーズのなかでも出色の出来栄えですね。
因みに原案コンテストに選ばれた小林晋一郎さんは歯科医師、開業医で、高校時代『帰ってきたウルトラマン』第34話「許されざるいのち」にストーリー原案が採用されたようで、本作とのテーマ性のつながりやさらなるストーリーの発展、飛躍も興味深いです。
特撮パートも全くCGが無い時代に操演が凄く頑張ってましたね。
当時は「植物怪獣」と何とも強さを感じない敵役でしたが、改めて観るとゴジラ自体がそもそもアクティブに動けないので、敵役が触手などでガンガン動き回らないと画がもたないことに気がつきました。
本作がその後の「平成VSシリーズ」の発端といわれてますが、今回見直してみると「VS怪獣」ではなく『ゴジラ』(1984)に続き「VS人間(自衛隊)」でしたね。
数あるゴジラシリーズのなかで本作が選ばれた理由も納得でした。
最初の新怪獣ですからねー、でも主役の二人は存在感無かったー。この映画で良かったなと思ったのは警戒レベル毎の描写があった事。エスパーの子どもたちがGの絵を掲げる所、激熱でした。