「ゴジラ対武田鉄矢」ゴジラ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ゴジラ対武田鉄矢
ゴジラが子供向けの映画となってから、昔子どもだった大人が大人の手に取り戻したとも言えるリバイバル。徹底した悪役のゴジラに仕立てあげ、登場シーンはさすがに怖い。目が悪党してます!夏木陽介扮する林田生物博士は30年前に肉親をゴジラに殺されたと言ってましたが、前回出演の『三大怪獣地球最大の決戦』では刑事役。関係はなさそうだ。
三原山を人工的に爆発させるなんて、当時、富士山大爆発などの説が流行っていたこととあわせると不謹慎としか思えないストーリー。そしてアメリカ・ソ連が核兵器の使用を求めてくるという内容。非核三原則にまで言及して、大国のエゴイズム論にまで達する(余りにも酷い脚本だったので付け加えただけの雰囲気がある)。まぁ、そんな中でも総理大臣(小林桂樹)は頑なに核兵器使用を拒否する英断のおかげで、通常攻撃+三原山爆発だけとなってホッとした。
しかし、徐々に幼稚な展開となっていき、とうとう『キングコング』(1976)のシーンをパクってしまった。武田鉄也の「田舎モンが~」で目が覚める。核は結局ソ連が誤射してしまうところで、この脚本は破綻した。せっかくの反核メッセージさえ消滅した。しかも簡単にアメリカが迎撃して助けるなんてありえない。とりあえず自衛隊の円盤スーパーXが放ったカドミウム弾によってゴジラは沈静化。やじ馬たちはなぜか避難せずに楽しんでる。
ひどいのは俳優の演技もそうだ。田中健もまだまだ若くて未熟。日本で一番演技の下手な女優沢口靖子も登場だ。リアリティを求めたためか、ゴジラによる破壊活動も中途半端。これを観たアメリカ人がハリウッド版GODZILLAを作りたくなったのもわかる気がする。
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