劇場公開日 1971年7月24日

「ストロンチュームって何?​「水銀,コバルト,カドニウム・・・かえせ!太陽を!」シリーズ異色作!復活した強いメッセージ性!必見!​」ゴジラ対ヘドラ ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ストロンチュームって何?​「水銀,コバルト,カドニウム・・・かえせ!太陽を!」シリーズ異色作!復活した強いメッセージ性!必見!​

2025年6月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

「ゴジラシアター」に「ヘドラ」登場!
しかし、スクリーン、席数小さすぎ。
「FINAL WARS」が「プレミアムシアター」の上映もあったのに、この差!
やはり、マニア向けのマイナーという扱いか…。

​ゴジラシリーズの第11作にして、円谷英二の名前がクレジットにない最初のゴジラ映画。
​​ゴジラともう一匹のライバル怪獣しか登場しない真っ向勝負の映画というのも、モスゴジ以来久々です。

日本万国博覧会の翌年1971年。世は、高度経済成長期の弊害である「公害」が蔓延し、ヒッピー、ゴーゴー、サイケデリック、LSD、ベトナム戦争の時代。
映画のオープニングでは、ヘドロに満ちた河川を背景に、本作を象徴する主題歌「かえせ!太陽を」が流れます。
「水銀,コバルト,カドミウム,鉛,硫酸,オキシダン・・・」と化学物質の名称と「かえせ!かえせ!」を連呼するメッセージ性の強い歌詞が印象的。
本作では、ゴーゴーバーのシーンなどでアレンジを変えて何度も登場します。

そして、ヘドロに汚染された駿河湾から公害怪獣怪獣ヘドラが出現。
有毒物質をまき散らしながら、自身の体を次々に変態、進化させ猛威を振るいます。
やがて、出現したゴジラもこの公害・化学汚染物質の塊のようなヘドラに大苦戦。
ゴジラの手は白骨化し、片目もつぶれ、飛行形態も繰り出し、闘いは果てしなく続く・・・。

終盤、ゴジラがヘドラを千切っては投げるシーンでは、オープニングの歌が男声コーラスで「かえせー」とかかり、鳥肌ものの最も好きなシーンでした。

ゴジラ映画も、陽気に楽しい時代は終わったかのように、暗く衝撃的な映像の連続です。
ヘドラが飛行した後は、硫酸ミストを散布し、校庭の子供たちはばたばたと倒れ、
ゴジラがヘドラを振り回すと、その体からはヘドロが飛び散り、それを浴びたサラリーマンが即死。
特撮も、円谷英二は青空が印象的なのに対して、本作の特技監督、中野昭慶の特撮はどんよりとした曇り空か夜が中心。
円谷英二がそれまで避けていた残酷な表現、汚い表現も見られるようになります。
公害怪獣へドラの登場は、当時の世相から必然でもあり、当時テレビでも、新マン('71年)のザザーン、宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン)('71-'72)のへドロン、ネオへドロン、などの公害怪獣が続々登場していました。
また、ボディペインティング風の全身タイツで踊る女性や、ゴーゴーバーの壁に映るアメーバ状アート映像、
踊る若者たちの頭が突然「魚」になっていたり(「魚が出てきた日」の引用か?)と世相や時代の雰囲気を反映した場面が多くあります。

人間の生んだ公害の申し子ヘドラと闘うのが、同じく人間の生み出した原水爆の申し子のゴジラという皮肉。
本作は、ゴジラ映画が映画としてのメッセージ性を取り戻した作品でもあり、ゴジラが人間ににらみを利かすラストシーンにもあるように、
本作でゴジラは、正義の味方というよりは、大魔神のような中立の立場ともとれます。

「トリビアの泉」(古っ!)で「ゴジラが空を飛んだことがある」が出たときは寂しかった。
当時の少年たちは、みんな、ゴジラが空を飛んだことすら忘れてしまったのか・・・と。

ITOYA
トミーさんのコメント
2025年6月26日

共感&コメントありがとうございます。
2度目はオールナイトで観たのですが、あまりに低予算に驚いた記憶がありました。

トミー
トミーさんのコメント
2025年6月25日

ゴジラ第一作でもストロンチウム90に言及してました。鳴かない?目が性器?あんなデザインの怪獣今も居ないですね。

トミー
PR U-NEXTで本編を観る