「「超低予算ながらカルト的人気の秀作!レジェンダリーゴジラエグゼクティブプロヂューサー坂野義光唯一のゴジラ監督作にして異色作」」ゴジラ対ヘドラ 菊千代さんの映画レビュー(感想・評価)
「超低予算ながらカルト的人気の秀作!レジェンダリーゴジラエグゼクティブプロヂューサー坂野義光唯一のゴジラ監督作にして異色作」
IMAX大画面で観たいゴジラ作品の一つ!
★独自採点(75):東宝チャンピオンまつり、円谷英二の没後初めて作られたカルト的人気の異色作。超低予算制作期間は5週間ながら生まれた驚異的作品(同じスタジオで二班同時に毎日30カット、凄すぎ)
特技主要スタッフのほとんどが東宝を辞職もしくは異動させられるなど、当時の東宝特撮の現場はほぼ崩壊状態のなかミニチュアはほとんどあり物のかき集め、ロケも開通前の環八で撮影など撮影途中で予算が尽きたがなんとか完成した奇跡の作品。予算が無い中制作田中の「これをやらなければもうゴジラは撮れない、なんとか撮る方法を見つけられないか?」という思いと、一度は特殊技術課を解体したが円谷英二の残した技術をなくすのはまずいという思いが強くなったエポックメイキングな作品。本作から実質爆破の中野こと中野昭慶が実質特技デビュー(日本沈没73’・対メカゴジラ74’以降からスケールアップ!)
制作田中友幸、監督坂野義光、特技中野昭慶(監督扱いではないが実質三代目ゴジラ特技監督の最初の作品)、音楽真鍋理一郎
通称:総進撃ゴジ流用(ヘドゴジ)・登場怪獣:ヘドラ(水中期・上陸期・飛行期・完全期)・防衛:自衛隊(63’自衛隊ヘリヘドラ討伐のため)・昭和46年7月24日封切り・85分・上陸地(田子ノ浦)・破壊地(富士市工業地帯・富士裾野)・特撮爆破炎上破壊規模A
飛行形態となって逃げるヘドラを追うゴジラの飛行シーンは賛否両論となったが、ヘドロ怪獣ヘドラ(井上泰幸デザイン)や当時流行のサイケデリックな映像などはいま見ても面白い、劇中でヘドラのアニメーションが出たり、従来の昭和ゴジラ作品のような防衛隊などの架空組織ではなく、自衛隊が久々に自衛隊の名前で登場するのも特徴である。前作が超子供向け作品だったことからは若干異なり70年代の公害問題を含んだテーマやヘドラのキャラクターデザインは大人も十分楽しめる出来で素晴らしい。コンビナートの爆破シーンの特撮なども迫力があり、個人的には昭和ゴジラの中でも大画面で見たい作品。ヘドラのヘドリューム光線に対抗したのかゴジラがスペシウム光線ポーズをとるシーンがあったりしたのも面白い。昭和ゴジラで怪獣タイマン対決は、『キングコング対ゴジラ』(1962年)のキングコング以来9年ぶり。
ラストの攻防、自衛隊が建造した巨大電極板にゴジラが火炎を放射、電流が流れ高圧電流を受けてヘドラが乾燥して一旦倒れる、体内からは一回り小さなヘドラが出現し、飛行して逃亡するヘドラをゴジラは放射能火炎を推進力として用いた飛行で追跡して墜落させ、再び電極板の間に押し込みながらその身をむしり、高圧電流と放射能火炎で完全に乾燥させて駆逐すると言う相当思い切った演出をみせ、「みどりを 青空を 青い海を 命を 太陽を 返せ」の歌の後、人間たちの一部である自衛隊員たちを睨みつけてから大地の果てへと帰っていった。
印象的なラストの葛飾北斎神奈川沖浪裏のショットは空も海も綺麗だった頃の日本の象徴、その後のもう一匹?というのは公害は簡単にはなくならないという警告の意味があったそうだ。
超低予算ながら第二次怪獣ブームもあり観客動員数は174万人、東宝も一大改革を行なった年、かつ製作の田中友幸が倒れた間に撮影されたが結果として(田中からはクレームあるも)高評価。
登場:田子ノ浦・港からダイビングあり・くぼみに落ちたゴジラにヘドラがヘドロを流し込むシーンは海ゴジラ (大戦争ゴジ)ラストは富士の平原へと消えて行く。
好きなショット:ゴジラのスペシウム光線ポーズ・赤い返り血を浴びたゴジラ
時代:(封切料金¥600※実勢価格約半額)カラーテレビ普及率40%超え(NHK放送全面カラー化)、仮面ライダー・帰ってきたウルトラマン第二次怪獣ブーム、71〜74第二次ベビーブーム、淀橋浄水場跡に京王プラザホテルが開業、多摩ニュータウン入居開始
1970:日本万国博覧会開幕、よど号ハイジャック事件、東京の消費者物価が世界一、日本初の歩行者天国が銀座、新宿、池袋、浅草で実施
<ファッション>
ノーブラ旋風、スケスケルック
<ヒット商品>
セリカ(自動車)、トミカ(ミニカー)、「anan」創刊
<流行語>
ウーマン・リブ、三無主義、しらける
<映画・演劇・テレビ・CM>
「昭和残侠伝死んで貰います」監督:マキノ雅弘
「座頭市と用心棒」監督:岡本喜八
「イージー・ライダー」監督:デニス・ホッパー
「明日に向かって撃て」監督:ジョージ・ロイ・ヒル
モーレツからビューティフルへ(CM:富士ゼロックス)
ディスカバー・ジャパン(CM:国鉄)
1971:マクドナルド日本第1号店が銀座店にオープン、円変動相場制移行
<ファッション>
ポロシャツブーム
<ヒット商品>
カラオケ
<流行語>
アンノン族、脱サラ(脱サラリーマンの略で、会社をやめ、独力で事業を起こすこと)
<ベストセラー・コミック・雑誌>
「nonno」創刊
「遊」創刊
「カムイ伝」第1部終了
映画・演劇・テレビ・CM
「儀式」監督:大島渚
「栄光のル・マン」監督:リー・H・カッツィン
「小さな恋のメロディ」監督:ワリス・フセイン
「八月の濡れた砂」監督:藤田敏八
『仮面ライダー』
深夜テレビ
「23時ショー」(テレビ朝日)