劇場公開日 1965年12月19日

「​監督:本多猪四郎×特撮:円谷英二×音楽:伊福部昭×脚本:関沢新一! 東宝怪獣特撮黄金期、円熟期の魅力!」怪獣大戦争 ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0​監督:本多猪四郎×特撮:円谷英二×音楽:伊福部昭×脚本:関沢新一! 東宝怪獣特撮黄金期、円熟期の魅力!

2025年4月16日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

監督:本多猪四郎×特撮:円谷英二×音楽:伊福部昭×脚本:関沢新一、東宝特撮ゴールデンメンバーの、ちょうど脂の乗った時期の作品。

ゴジラ×ラドン×キングギドラによる対決に、シリーズで初めて宇宙人が参戦!
舞台も宇宙にまで拡大し、国連宇宙局や新型の宇宙ロケットまで登場。
マーチにのせてX星人を迎え撃つ、防衛軍の地上兵器「Aサイクル光線砲車」の活躍もカッコイイ!

そして、ユーモアも交えながらスピーディーに展開するストーリー、
軽やかな宝田明、国際色の味付けニック・アダムス(声:納谷悟朗)、美しい水野久美ほかいつもの東宝俳優陣の競演も華やか、冒頭とクライマックスに流れる「怪獣大戦争マーチ」も最高!!
ゴジラのシェーも、余裕のサービス。
盛りだくさんの内容を、絶妙のバランスでまとめあげた、本多猪四郎監督と円谷英二監督の絶妙のコンビネーション!
「明るく楽しい東宝映画」良き時代に生まれた傑作です。

・・・・・
追いレビュー。
今回見直して改めて思ったこと。

【その1】俳優陣のちょっとしたやりとりが楽しい
明朗快活、ユーモラスでカッコイイ宝田明と、ハリウッドの魅力?ニック・アダムス、この二人と絡む
ひょうひょうとしてたよりない久保明、それにあきれる沢井圭子がかわいい(いかにも上品で育ちが良くて真面目な感じ)、4人揃ったシーンやアダムス・久保がおかしな場所で再会する瞬間など、ちょっとしたセリフが面白くて、心地いい。
ユーモアは関沢脚本の真骨頂。
大人の会話が楽しめる本多演出。

【その2】円盤特撮の操演と光学合成
冒頭のP-1号の宇宙飛行シーンから、ロケットの飛行が吊りだけでなく合成シーンを合わせたり、背景の星も手前と奥で通り過ぎるスピードが違って奥行きが出ている。
着陸後も、ミニチュアのロケットと人の合成、実物大セットを頻繁に切り替える丁寧な編集。
なにより、X星人の円盤が淡く光る白地にブルーのラインのミニチュアが美しい。
破壊光線は直線、怪獣を包み込むドームを作る波状の光線、それを牽引するための稲妻光線など、光線のアニメーションも複数の種類が描き分けされていて芸が細かく、また、スーッと移動してピタッと止まる動きも気持ちいい。さらに湖から浮上した時の白煙の立ち上がり方もカッコイイ。
X星基地内のドック(トンネル?)も白地に動く円環状のリングもブルーで美しく色が統一されてる。

【その3】怪獣音楽+マーチ、伊福部特撮怪獣音楽の集大成
本作の伊福部昭による音楽は、怪獣、X星人、マーチで構成。
何といっても「怪獣大戦争マーチ」の完成度の高さ。
オープニングタイトルとクライマックスの2度しか登場しないにもかかわらず、本作を象徴的する印象的な曲で、「ゴジラ」のフリゲート・マーチや、「宇宙大戦争」、他の作品でもたびたび登場したメロディが、本作で実に完成度が高くなって登場しました。
これに対して、X星人の音楽は、不穏な響きが中心。
そして、タイトルロールの「怪獣による戦争」を描く怪獣達の音楽として、前作「地球最大の決戦」の、4怪獣のモチーフが交互に登場する怪獣の音楽が、本作ではそこから、モスラ(の卵)のテーマを抜いた形で再登場。
ゴジラの恐怖、魔王のようなギドラ、そして、改めて、ラドンの高らかに鳴り響くトランペットのフレーズの華々しさが実に魅力的なアンサンブルを構成してます。

【まとめ的な】
特撮シーンでは、特にゴジラが「シェー」をすることで有名で、批判もありますが、それも時代の空気。
ゴジラは、ファミリーピクチャーの王座に位置付けられ「明るく楽しい東宝映画」の象徴ともなりました。
スタッフの子供へのサービスがそのまま形になったものでしょう(実は子供は子供扱いされるのが一番嫌いではありますが。)。
この頃、特撮映画は、ゴジラとは別のシリアス・恐怖路線を開拓中でもあり、それとの差別化の一環でもあったと思います。

ITOYA
トミーさんのコメント
2025年4月18日

ちょっとした小ネタが引っかかるのも面白いですね。
Aサイクル研究と下宿、水筒持参の男たち、ダサい宇宙局のブルゾン、あごを拭うゴジラ。

トミー
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