「東宝特撮は既にピークを超えてしまった感は拭えない」怪獣大戦争 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
東宝特撮は既にピークを超えてしまった感は拭えない
東宝特撮映画には3つの路線がある
一つは1954年のゴジラに始まる怪獣映画路線
二つ目は1954年の透明人間に始まる怪人映画路線
三つ目は1957年の地球防衛軍に始まるSF映画路線
本作はこの怪獣映画とSF映画の路線を統合したものといえる
もっというと無理に繋げれば、本作を含めて下記の四作品が一つの物語ではないだろうか?
その物語を時系列に並べると
地球防衛軍
三大怪獣 地球最大の決戦
怪獣大戦争
宇宙大戦争
ミステリアン、X星人、ナタール星人は実は同一勢力だったとみなすと繋がるわけだ
地球に前進基地を置き直接侵攻を意図したミステリアンの敗退を受け、X星人は地球の荒廃を覚悟の上でキングギドラを持って地球侵攻の先兵としたが地球の三大怪獣によってまたも敗退した
そこでその敗因であった三大怪獣の内、特にゴジラとラドンを味方に引き入れる策略で再度キングギドラを地球侵攻に差し向けるといのが本作だ
モスラを引き入れなかったのは、インファント島の小人双子姉妹のテレパシーの方が電磁波よりも優勢と判断して、遠隔操作に不安があったのだろう
本作によって地球侵略は三度敗退した
ラストシーンで地球側はX星への反攻を意図して調査と称する偵察を命じている
宇宙大戦争は、地球側の反攻に先んじたナタール星人の全面的な地球直接侵攻を描いている
このような大河物語だったのではないだろうか?
オタク心を震わせるではないか
小松崎茂によるレトロなロケット、円盤、Aサイクル光線車などもそのレトロさを楽しめるれば至福の映像だ
伊福部昭のタイトルバックの軽快なマーチは彼の名曲の中でも特に白眉の名曲中の名曲
X星人のコスチュームビジュアルは素晴らしいものでスタイリッシュで強い印象を与える
特撮は良く言えば円熟、悪く言えばマンネリ
過去作品の使い回し映像まで使っている
東宝特撮は既にピークを超えてしまった感は拭えない
ここからどの方向に東宝特撮は進んでいくのか?
そして本作の翌年1966年7月からテレビでウルトラマンが始まることになるのだ
コメントありがとうございます!
もしたしたら妖星ゴラスも宇宙大戦争の次の物語につながるのかも知れません
地球侵攻に破れて、報復用最終兵器として妖星ゴラスを地球への衝突コースに軌道を変更させたのです
つまり超巨大版の遊星爆弾というわけです