「どちらが勝つか?世紀の大決斗!」キングコング対ゴジラ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
どちらが勝つか?世紀の大決斗!
ゴジラ・シリーズ第3作。
"イッキミオールナイト上映" で久しぶりの鑑賞(4Kデジタルリマスター)。
小学3年生の時、サンテレビ「アフタヌーンシアター」で初鑑賞(「東宝チャンピオンまつり」上映バージョンだったことを知るのはまだまだ先の話)。その後それを録画したビデオを観倒し、後々DVDを購入してまたまた観倒しました。
今回鑑賞したバージョンは、DVDとは比べ物にならないクッキリした映像でした。メイクの加減で有島一郎の顔の色と首の色が違うことに気づけたし、これまでは暗かったりぼやけたりしていた部分がはっきりしており、感無量でした。
ドラマ部分は、東宝のサラリーマン物のようなコメディー・タッチ。めちゃくちゃ笑いました。視聴率争いに明け暮れるテレビ業界への風刺が籠められていました。
コミカルな多胡宣伝部長(有島一郎)は何回観てもツボ。宣伝のためだけにキングコングを生け捕りにして連れて来ようと云うのですから、生半可なパワーじゃありません。まさにモーレツ社員、と云ったところでしょうか?
自社提供番組の視聴率戦争が引き金となった二大怪獣の対決ですが、大人になって観直すと新たな視点が生まれました。
キングコングとゴジラの戦いで出た損害は、パシフィック製薬が全額支払わないといけないのでしょうか。それともTTVの全額負担か。あるいは両社の折半になるのかしら?
本作からゴジラ・シリーズはカラーをガラッと変えました。実際、総天然色になったことも一因かもしれません。これまで以上に娯楽に徹し、ヒーローとしてのゴジラ像が形づくられていきました。原水爆の恐怖の象徴としてのスタンスはすっかり影を潜めることに。キングコングとの戦いでは当時の人気プロレスラーの真似で肩を鳴らしてみたりなんかして、以降の作品で顕著になっていく擬人化が片鱗を見せ始めました。
富士の裾野から熱海城に掛けての決戦がすこぶる面白い。それぞれが独自のファイティングスタイルで戦いました。片や獣のような獰猛さで、片や類人猿のアクロバティックさで。異種格闘技戦のような大バトルに興奮しました。
結局勝敗は決しませんでしたが、2020年に公開予定のハリウッド版では決着がつくそうなので、今からめちゃくちゃ楽しみです。個人的には、ゴジラが勝って欲しいです。
[追記(2018/09/02)]
海外版を観て。日本語字幕が入っていないので何を話しているのかは分かりませんでしたが、報道番組の体裁のようで、日本で発生したゴジラ事件を科学者を呼んで解説したり、勝敗予想を立てたりしているみたいでした。アメリカで新規撮影されたシーンが挿入されていている代わりに、オリジナル版のコメディー・シーンは殆どカット。新撮シーンが物語の軽快なテンポを壊してしまっていると感じました。
[追記(2020/10/17)]
ブルーレイで観て。東宝チャンピオンまつり版作成時にカットされていたシーンとの画質の差が激し過ぎでした。カットシーンになるとぼやぁっとした画質になっており、もっと真剣にリマスターして欲しいなと思いました。
[追記(2021/05/11)]
発売を待ちわびていたUHDブルーレイを手に入れて早速鑑賞。画質最強でした。普通のブルーレイでは観れません。
[追記(2021/07/10)]
旧版ブルーレイと4Kリマスターブルーレイ(以下、新版)を連続視聴して画質を比べてみましたが、両者の違いは一目瞭然でした。旧版では、東宝チャンピオンまつり版作成時のカット・シーンを復元した個所との画質の差異が顕著でしたが、新版は滑らかに接続されストレスがありませんでした。全体的にぼやぁっとしていた色味もはっきりしており、新版の方がめちゃくちゃ観易いと改めて思いました。だからこそ、UHDブルーレイがハイダイナミックレンジじゃないのが悔やまれます。
[以降の鑑賞記録]
2018/09/02:輸入盤Blu-ray(海外版)
2019/01/20:DVD
2020/08/07:Amazon Prime Video
2020/10/17:Blu-ray
2021/05/11:Ultra HD Blu-ray
2021/05/17:Ultra HD Blu-ray
2021/07/08:Blu-ray
2021/07/10:4KリマスターBlu-ray
※修正(2024/06/09)
こちらこそありがとうございます。
人形によるカンガルー・キックのシーンは私も記憶が定かでは無いですが、東宝チャンピオンまつり向けに再編集されたバージョンではカットされていた気がします。もしかしたらそちらのバージョンをご覧になったのではないでしょうか。
共感ありがとうございます。
久々劇場の大画面で観たかったんですが。復元シーンで気になるのがカンガルーキックのシーン、最初観た覚えがない・・コマ撮りもちゃちだし、ご存知でしたら教えて下さい。
全てが鮮やかでくっきりはっきり!
もし4K環境があるなら是非!
観た過ぎて観た過ぎて…😭
Twitterなどで海外からのネタバレを喰らわないようにするのに必死です(笑)
肩に力入る映画を連続鑑賞&肩に力入れないと出来ない仕事が終り…本作を観て、入浴後の様に肩の力が抜け、救われました🙏
東宝の社長モノ駅前モノと特撮モノのミクスチャーは、何回観ても無心で楽しめます。本作の2年後、オリンピックですが、今年はオリンピックより「ゴジラVSコング」の方が楽しみです…あのドクロ島コングは、歴代コングの中で私的にBest1です。
本作のコングがあのコングだったら…なんて妄想もしながら観てました。
オブライエン氏の叶わなかった企画や数々のボツ企画は、チープでも全然構わないので、河崎監督に撮ってもらいたいです🙇
観賞菩薩さんへ。
いつもお世話になっております。
上記エピソードですが、ウィリス・オブライエンが気の毒だなと改めて思いました。自分の企画を散々こねくり回されて、バラバラにされ改変され…そのおかげで「キンゴジ」、「フラバラ」という名作が誕生したのは紛れも無い事実ですが、オブライエン自身はすごく失望していたという話をどこかで読みました…。
↓「怪獣王ゴジラ」にコメントした『幻想館』からの引用です。御存知かもですが、製作の経緯が余りにも面白いので抜粋します。
『怪獣映画の元祖とも言うべき「キングコング」を作ったウィリス・オブライエンは、晩年「キングコング対フランケンシュタイン」という企画を考え、何とかアメリカの映画会社に売り込もうとしていたが果たせず、そのアイデアを仲介したプロデューサーの手によって、その企画は日本の東宝に持ち込まれる。この企画が「キングコング対ゴジラ」になるのである。「キングコング対フランケンシュタイン」のアイデアは、東宝にもう一つの企画を生み出させる。「フランケンシュタイン対ゴジラ」のアイデアである。まずは、アメリカ側から「フランケンシュタイン対ガス人間」のアイデアが提示されるが、これは、等身大のフランケンシュタインが登場する「ガス人間第一号」の続編であり、アメリカ側の意向に添わなかったので一旦棚上げになる。その後、今度は、ベネディクト・プロ社と言うアメリカの会社から東宝へ「フランケンシュタイン対デビルフィッシュ(大蛸)」の企画が持ち込まれる。これを日本で具体化したのが前述の「フランケンシュタイン対ゴジラ」の検討用台本だったのだが、これ又、ベネディクト・プロ社の意に添わず、ゴジラに変わる新怪獣と戦わせて欲しいと云う要望に応え完成したのが「フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン」…』という話でした。