劇場公開日 2014年6月7日

「ゴジラの原点にして重厚なSFドラマの極地点」ゴジラ(1954) シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゴジラの原点にして重厚なSFドラマの極地点

2024年7月6日
iPhoneアプリから投稿

単純に怪獣映画として観てきたゴジラシリーズの捉え方が一変する、衝撃的な作品でした。人類が制御できない科学技術を発明してしまった芹澤博士の激しい葛藤と苦悩は、単なる反核ではなく今も普遍的な人類の課題だと思います。芹澤博士の思想と行動は、先日公開された『オッペンハイマー 』にも通じると同時に,ある意味超えた、強いメッセージ性を感じました。一方、モンスター映画としての本田猪四郎監督の演出は、ドラマ作品のように重厚かつ手堅いものがあり、感服しました。なかなかゴジラの姿を見せず、土着の呪術的存在のようでいながら、業火をバックに銀座を蹂躙する姿はまさに魔王のような禍々しさです。映像においても、荒れ果てた漁村の風景は銅版画のようだし、街を破壊し尽くすゴジラの姿は墨で描いた戯画のようにも感じられ、様々な表情が見えるモノクロ画面が素晴らしいです。役者では、宝田明の若い時のイケメン振りもさることながら、平田明彦のインパクトには敵わず。

シネマディクト