「日本人誰もが芹沢博士の決断をする日が訪れることが無いことを祈るばかりだ」ゴジラ(1954) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
日本人誰もが芹沢博士の決断をする日が訪れることが無いことを祈るばかりだ
正に映画のイノベーションだ
世界の映画史を塗り替えた作品
直接的にはキングコングが源流だろうが全く違う
何もかもが斬新で新しい、誰も観たことの無い映像を作り出して映画のジャンル自体を作り出したのだ
もちろん原水爆の恐怖、核戦争の恐怖がテーマだ
冒頭の漁船遭難シーンは第五福竜丸事件をそのままデフォルメされている
劇中でも何度も原水爆への恐怖、戦争がまたも日本に及ぶ恐怖を登場人物が語る
正に当時は核兵器の開発競争のデッドヒートが新聞の一面を占めており、次の戦争は核戦争になると誰もが認識し始めた頃だったのだ
しかし、久しぶりに21世紀の人間の視点で観ると、当事者にも気付いていない違うニュアンスが含まれているように聞こえた
それは無理です、水爆の洗礼を受けながらも、なおかつ生命を保っているゴジラを何を持って抹殺しようというのですか?
山根博士の言葉は逆にいうと原水爆以上のものに依らねばならないとも取れる
そして芹沢博士も苦悩の末にこの惨禍を絶つには禁じられた兵器を使うほかないと決断する
もしゴジラの襲来を現代に置き換えて、某国による核攻撃であるとしたら、どうだろう?
考え過ぎだろうと思う
しかしそのような決断をしなければならない日は刻々と近づいているように思える
日本人誰もが芹沢博士の決断をする日が訪れることが無いことを祈るばかりだ
東京が火の海になった以降は涙がとまらなかった
当時でも本作公開の僅か4ヶ月前に自衛隊が発足したばかりだったから、自衛隊が無ければ所詮叶わぬだけでも組織だった抵抗も、住民達の避難も出来なかったであろうということは十分読み解けたハズだ
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