GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊のレビュー・感想・評価
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人の定義、人の幸せとは
BEASTIAで観ましたが、リマスターなのか26年前の作品とは思えないほど、普通に映像が綺麗でした。
テーマとして人の定義というのが大きく関わってくると思うが、ここではゴーストと呼ばれる人の意識や自我というものが、その人の知識や記憶から成り立っていて、そうであるならば、ロボットやネット自体が独自の自我を持つことでそれが人とどう違うのかという葛藤などが描かれていたように思う。
近い将来、仕事や家事がAIやロボットに代わられ、人も人工的な臓器が体に入ってくる未来がすぐそこまできているが、そうなると、この映画のように、人の存在価値や生きる意味についてが曖昧になり、人の幸せとは?私の生きる価値とは?という悩みが出てくる。
人は幸福になるためにこれだけ便利な世の中を目指したはずなのに、本当に人は幸せになったのか?
そういう問いかけをこの映画に問われている気がしました。
改めて「説明の上手さ」に驚かされる
IMAX見れず、泣く泣く通常スクリーンで。
何度も見たけど、久しぶりの鑑賞。
世界観やテーマに目が向きがちな作品だが、改めて思い知らされるのが、細やかで丁寧な作りぶり。
理路整然と情報を出しながら、物語や説明のつなぎを省かず、情感でごまかすことなく。説明的なセリフはうまく物語に溶け込ませ、全体の構成は無理・無駄のないスマートな仕上がり。
まぁつまるところ、説明が本当に上手い、ストーリーテリングが極めて巧みだ、ということ。
これだけ小難しい話を、ここまでわかりやすく、しかも物語としての魅力を保ちつつ、という凄み。設定的にはものすごくSFなのだが、「まるでフィクションでもないかもな」と思えるのは、見ている側が“しっかり分かっているから”という点が大きい。
説明が上手いから、短い時間で物語が大きく展開しても、見ている側を置いていくことがない。難解なイメージを持たれがちだが、その実、とても親切な作品だと思う。久しぶりに見て、改めてマスターピースである理由を痛感。
去年、ジブリが劇場公開されて「ナウシカ」を見た時にも思ったのだが、この頃の宮崎駿と押井守は、ストーリーテリングの巧みさという点で、根本的によく似ている。
懐かしい作品
初めて観たのは何年前か忘れましたが、映画館で観れるのは本当に嬉しいです。相変わらずの哲学的な思想や退廃的な街並み ギャグがないどころかほぼ笑顔のない登場人物達 必要な説明をしないセリフ 技術を派手な方向に使わないアクション 無国情緒溢れる音楽。普遍的な無常感。渋いです。
人格を乗り移せる義体もデザインをもし自由にできるなら、要はこれアバターなんですよね。そういう意味でも自分だけでなく、現実と仮想現実の世界が曖昧になっていってるっていう。昔観た時は身体と心はなんとなく別々に捉えてたんですが、今は心は世界に引っ張られるというか。年齢も知識や経験といった心だけでは保持できないと感じてます。それは不自由な発想ですが、この年でないと実感できなかったことかもしれません。そう考えると素子の最後のセリフも、ネットも含めてこの世界は広大だし何処にでも行けるんだなと思いました。
その上で一番刺さったのは 人間が親から子供に記憶を移せないのは、人生の大半を間違えているからといったラインでした。渋いです。
広大なネットの化身のような人形使いも 意外とおしゃべりだったり 素子を探し回って一緒に成りたがったり。嘘がつけない分本音に忠実で、頭良いの追求すると馬鹿になんだなってのが とても可愛いらしいですね。甘いです。
劇場で見れる幸せ
以前見たときと印象の違い
私見
こりゃ、実写化したくわるわ。
25年前!今こそ観るべき圧倒的傑作!
四半世紀のSF映画史を俯瞰するかのような鮮烈な映像とスコアに溺れる至福の85分
2029年の近未来、サイバーテロやネットワーク犯罪に対抗するために組織された超法規特殊部隊公安9課は国際手配中のハッカー“人形使い”が密かに入国したとの情報を入手、“少佐“こと草薙素子以下9課のクルーは捜査の網にかかった情報を追いある男を拘束するが、その男は記憶を“人形使い”に書き換えれて操られていただけだった。なおも“人形使い”を追う少佐達のもとに持ち込まれたのは高速道路で撥ねられた全裸のサイボーグ。彼女が語り出した話は・・・。
四半世紀ぶりの再鑑賞でしたが原作のエッセンスをギュッと凝縮したかなりシンプルな物語であることに少し驚きました。これでもかとブチ込まれている近未来描写のイメージの豊かさに当時圧倒されたことを覚えていますがその衝撃は今でも全然鮮烈。映像的には『ブレードランナー』や『ロボコップ』の影響が濃厚であることが見て取れますが、一方で本作の随所で挿入されるビジュアルが今度は『マトリックス』に多大な影響を与えたことも今となっては常識、本作がSF映画史において大変重要な作品であることを改めて思い知らされます。そして映像とほぼ同等に鮮烈なのが川井憲次によるスコア。『謡III - Reincarnation』が劇場を後にしてもなお脳内に響いていました。
今なら理解できた
時代が経つ程見どころが増える名作
IMAXで鑑賞。自分の中では最初から評価が高かったというより、幾度もの鑑賞を通してじわじわと評価が上がっていった作品。というか、90年代に初見でこの作品の全貌が掴めた人ってどれぐらいいるんだろうか?その頃は「ただかっこつけて、衒学的に台詞を適当に並べ立てているだけなんじゃね?」と思ってたが、今見ると、ま、そういう所も若干あるが、時代がこの映画に少し追いついたおかげで、話がわからないような所はあまりない。こんな哲学的な内容で商業作品として成立させてたのも、その当時見に来てたアニメファンのSF偏差値の高さも凄い。パトレイバーにしても、この頃の押井監督、時代の先、行き過ぎ、読め過ぎである。アニメーションの素晴らしさは言うまでもなく、IMAXだとAKIRAの時同様、音楽、音響の立体感も存分に楽しめる。また、今回の新たな気づきとしては、今まで地味だと思っていたこの映画独特の淡い色彩設計も、時代を経てアナログの着色ならではの繊細で、非常に魅力的な色彩だと感じられた。
当然、というか義務(ほぼ)でIMAX鑑賞
なんとなくバルト9上映でないのが残念でしたが、平日にもお構いなくゴジラのTOHOで観ました。
シアター内は、私のような1995年以降メガテクボディ社で電脳・義体化したハードコアなGITSサイボーグや押井教の信者さん、アニメ賢人でほどよく埋まっていました。同じアニメ映画でも、鬼滅やコナンやドラえもんとは明らかに違った玄人たちの雰囲気、ちょっと引きますが同時に心地よい…。
内容は、すでに自分の歳と同じくらいの回数を観ているので特に驚きはありませんが、自由に監督させると難解な間(ま)と偏った思い入れシーンばかりで意味不な映画になってしまう押井監督(信者さんゴメン)が、まだ若い1995年に多種・極度の制約の下それでも自らの主張や芸術性を入れ込んで作った本作は、やはり“日本SF映画・Japanimationの金字塔”といえる傑作です。
なお自分にとって攻殻=Priceless(但しarise=黒歴史は除く)なので、劇場物は基本的に全ておさえる必要があります。特に最近は、Netflixの新作が神山版にもかかわらず不安だらけなので、精神の保養のため次の4K版も観ることになるでしょう。
ただ冷静に一言いうと、過去にNASAの宇宙ドキュメンタリーや「1917」をIMAXで観た時のような圧倒的な広大さ・没入感は、この「GHOST IN THE SHELL:|| IMAX」では得られませんでした。あぁ画面がおっきいなー、くらい。
無理とは分かってますが、SAC世界観の続編や外伝新作を観たいものです。
元祖Three Point Landing
攻殻機動隊のIMAX版のニュースを聞いてから鑑賞できる日を心待ちにしていたが、IMAX Enhancedであることにまず驚いた。巨大スクリーンに目一杯に広がる画角でまず気が付いたことは、背景のリアルさ。看板、ポスターのフォント、文面に至るまで緻密に作り込んである。自分自身が、中華難民街に迷い込んだ感覚に陥る。セル版ディスクを持っていて何度も見ているが、ここまで感じた事はない。
それと音響。体に振動を感じながら見る戦闘シーンは、迫力が全然違う。傀儡謡が始まると、全身があの独特の歌声と和楽器の音に包まれて、鳥肌が立つ。
四半世紀前に攻殻機動隊が予見していた近未来の世界が、本質的な部分において当たっていることに改めて驚いてしまう。「ネットは広大だわ」という素子のセリフは、今となっては解説なしで多くの人が理解できる。
記憶なくして人間足り得るのか、AIに記憶や自我があればゴーストは宿るのか。見る度に深く考えさせられる。A Iが創造主である人間を超えた時に答えが出るのかもしれない。
電脳世界にアイデンティティはあるか?
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