劇場公開日 2025年2月28日

「世捨て人草薙素子の気怠い物語が良い」GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 南雲さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0世捨て人草薙素子の気怠い物語が良い

2025年3月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

寝られる

アニメにハマっていた頃押井守の作品が一番好きだった。一時期、寝る前に安眠用のBGMとして頻繁にリピートしていたのだが、リバイバル上映という事で久しぶりにじっくりと鑑賞したらやはり滅茶苦茶面白かった。
よく分からない専門用語が飛び交うので初見だと面食らう筈だがストーリー自体は実は至ってシンプルである。ちなみに続編のイノセンスはもっと"難解風"だが今作以上にもっとシンプルな話だと思う。
一番好きな台詞は人形使いの「DNAも自己保存の為のプログラムに過ぎない。」というやつ。ロボットが活躍する話ではロボットに、動物が活躍する話では動物に、人以外の側に共感、味方したくなるタチなのでこの台詞は人間のおごりに釘を刺しているようでお気に入り。
まるで世捨て人のような素子、夜な夜なダイビングに興じる姿は自殺願望があるのでは無いかとすら思わせる。素子と同じく孤独だが人間性を捨てきれない中途半端な男バトー。組織に多様性をもたらす為だけに選ばれた"普通の人"トグサと主要登場人物3人の対比も面白い。
前半の清掃員によるゴーストハック事件に後半の人形使い強奪と話は大まかに二分されているが、その合間に挟まれた近未来都市の情景が素晴らしく、ブレードランナーで描かれた古いものは古いものとしてそのまま街に残るという"リアル"な未来像をより深く映し出しているよう。
2〜30年前経てばこういう未来が待っているかもと想像しながら見たであろう公開当時の人々が羨ましい。
最初にシンプルな話と書いたが、物語の根底にある人間とは生命とは何かという普遍のテーマはやはりいつまでも考えさせられる。それをサイバーパンクに落とし込んだ押井守節が心地よい。

南雲
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