「守りたくなる原節子」河内山宗俊 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
守りたくなる原節子
クリックして本文を読む
アマプラ(日活プラス)で鑑賞(4Kデジタル復元版)。
無為な日々を過ごすふたりの男が、唯一心和む存在である少女お浪の危難に立ち上がり、彼女を救うため一計を案じる。
「わしはこれで人間になったような気がするよ。(中略)そのために喜んで死ねるようなら人間、一人前じゃないかな」。
本作のテーマを端的に示した市之丞のセリフが沁み、生きる目的を得た男たちが命を燃やして戦う様に心震えました。
クライマックスの立ち回りは、巧みなカメラワークとテンポの良い編集によって手に汗握り、ハラハラさせられました。
とても戦前とは思えない、色褪せてない演出だな、と…
男たちの行動の原動力となるお浪を演じる原節子の、15歳とは思えぬ演技が素晴らしい。守らずにはいられない儚げな佇まいが、天性で身に纏った雰囲気と共に画面から溢れ出す。
その才能を発掘し抜擢した山中監督の慧眼恐れ入る。誠に非凡な才能を持った監督ですし、若過ぎる死が惜しまれます。
コメントする