「成沢民子を演じるのは池内淳子氏。 本作ではヌードも辞さない体当たり演技を披露。」けものみち 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
成沢民子を演じるのは池内淳子氏。 本作ではヌードも辞さない体当たり演技を披露。
神保町シアターさんにて特集企画『横溝正史と松本清張――映画で味わう至高のミステリー対決』(2025年5月3日~30日)開催中。
本日は『張込み』『黒い画集 ある遭難』『けものみち』の松本清張作品3作をはしご鑑賞。
『けものみち』(1965年/150分)
TVドラマ化も3度された松本清張氏の代表作。
戦後日本の政治・経済・裏社会の権力争いの渦中に巻き込まれつつも、自分の女としての価値に目覚め、男たちを手玉にとる主人公・成沢民子の生涯を描いた内容。
登場人物も当時実在した陰のフィクサーや場所、事柄をモデルに描かれており、山崎豊子作品のように切り込んでいます。
成沢民子を演じるのは池内淳子氏。
世代的にはホームドラマでの快活なお母さん役のイメージが強いですが、本作ではヌードも辞さない体当たり演技を披露。眉毛の描き方はじめメイクにも拘泥しながら、貞淑な女から徐々に悪女への変貌を上手く演じきっていますね。
松本清張作品は『霧の旗』『ゼロの焦点』『疑惑』『天城越え』など女性の情念を描く作品が多く、新人女優が本格派にステップアップする際にチャレンジ、何度もリメイクされる事由も分かりますね。
陰のフィクサー役は、これ以上の配役は思い当たらない小沢栄太郎氏、伊藤雄之助氏。
民子を虜にする謎の二枚目支配人を池部良氏、出世欲と民子に魅了され坂道を転がり落ちる刑事を小林桂樹氏とこちらも豪華。
『ウルトラマン』(1966)のハヤタ隊員役を演じる前の黒部進氏の悪役もインパクト十分ですが、幼少時代に観ていたら、ショックを受けていたでしょうね。
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