激動の昭和史 軍閥のレビュー・感想・評価
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意外と普通のヒトであった東條英機A級戦犯
映画として面白いかと言えば否であるが、太平洋戦争史を知る上では良くまとまっており分かりやすかった。特に、政敵を最前線に送りつけるなどしてまで戦争に突き進んだ狂信的独裁者のイメージが強い東條英樹の真実らしい姿が描かれており、興味深かった。
東條は何より天皇には絶対忠誠ということで、だからこそ、木戸幸一が天皇に推挙し総理大臣に任命されたことは、史実らしいが、知らなかった。気に入らない記事を書いた新聞記者は戦地に送り、和平を提案する部下は即職権剥奪することも丁寧に描かれていた。そして、その姿は、今でも普通にいそうなワンマン社長や人事権濫用の長官の様でもあった。
陸軍の大陸利権を絶対視していたのに、天皇から外交優先を言われれば即それに従う、つまり、自分の頭で真剣に日本人民全体の国益を考えたこともない凡庸な人物であることが、良く理解できた。また、海軍と異なり、陸軍全体の米英への無知に基づく過信も良く描かれていた。さらに怖いことに、政治的制度上、陸軍と海軍を束ねる存在が空白であり、そのため、対立や無責任が発生したことも良く分かった。
真実の情報を国民から隠す政府、それを暴こうともせず戦意高揚を煽る多くのマスコミの姿もまた、力を込めて描かれており、現在との相同性を感じてしまった。
究極的には、何故理性的には勝てない米国と戦争をする羽目になったのか、何故原爆を2つも落とされるまで降伏ができなかったのかも、この映画を通して、多少は明らかになった気がした。
進み出したら止まらない。
東宝8.15シリーズ第4作。
「激動の昭和史」シリーズ第1作。
Amazonプライム・ビデオで鑑賞。
二・二六事件から始まった激動の歴史を、政府内における陸軍と海軍の軍閥争いによる政治的波乱、日本国民を戦争気分へと駆り立てたメディアの姿を両軸にして描き出した戦記大作。
劣勢になっても尚真実を隠蔽し続けた政府。大本営発表を嘘と知りながら、それを“真実”として報道していたメディア。進み出したら、もう誰にも止められない―。行く末を見失い、まさに泥沼…。その矢先に投下された原子爆弾のシーンで終幕するだなんて、めちゃくちゃ衝撃的でした。暴走を続けた果てに待っていたものの大きさに戦慄しました。
【余談】
三船敏郎、何度目の山本五十六か?(笑)
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