「新聞が事実を隠すようになったら日本はお終い」激動の昭和史 軍閥 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
新聞が事実を隠すようになったら日本はお終い
二・二六事件から駆け足で流れ、日米開戦するかどうかの議論が最初のテーマとなっていて、陸軍・海軍との対立、東条英機の台頭が描かれていた前半。外交交渉のアメリカの条件が仏印、東南アジア、中国からの撤退であったため、陸軍としては譲れない選択肢。ここでの状況はアメリカ戦がまだ消極的な軍人が多かったことがわかる。
一旦突き進んだらもう戻れない。すでに軍事独裁の政府内部。真珠湾攻撃からわずかの期間でミッドウェー敗戦となっていたのに、大本営は嘘をつきとおすように変貌し、新聞社も事実隠ぺいに協力していく・・・。
サイパン陥落のあたりでようやく新聞記者が立ち上がり真実を報道しようと変わるが、逆に特攻隊生き残りからは罵倒されるといったシーンが印象に残る。軍人も新聞も同じ!国民に好戦的な感情を植え付け、戦場に駆り出したのはどこのどいつだ?加山雄三演ずる新井五郎が非難の的となる。
“懲罰招集”なるものがあって、反戦記事を書いた新井がそのため招集。それも招集権を握っていた東条英機の仕打ちだったのだ。
なんとなく、つい今の政治状況と見比べてしまうが、政治の体質なんて全く変わってない。いざとなれば内閣総辞職して責任逃れをすればいいだけ・・・再現フィルムっぽい作りには感情移入さえできないのですが、この加山雄三の置かれた立場だけは虚しく映った。為政者は常に“正義”という言葉を使うので要注意!ということもわかった。“正義”は要注意なのです。
コメントする