激動の昭和史 沖縄決戦のレビュー・感想・評価
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沖縄が戦場だった日々
東宝8.15シリーズ第5作。
「激動の昭和史」シリーズ第2作。
Blu-rayで鑑賞。
太平洋戦争末期に行われた沖縄戦の悲惨さを、監督・岡本喜八、脚本・新藤兼人、小林圭樹、丹波哲郎、仲代達矢他オールスターキャストを配し、迫真のドキュメンタリー・タッチと凄絶な戦闘描写で描き出した戦記大作。
沖縄戦の、その始まりから終わりまでを、冷徹な眼差しで俯瞰していました。だからこそ、その痛み、その怒り、その苦しみ、その悲しみが浮き彫りになって来る…
本土防衛の要とされながら、理不尽な兵力の抜き去り、期待していた航空支援の拒否によって当初の計画は水泡に帰し、多くの島民を巻き込んだ激しい戦闘となりました。
老いも若きも、男も女も、区別無しに命を落としていきました。阿鼻叫喚の地獄絵図と云う表現がなまやさしく聞こえて来るほどの苛烈極まる惨状だな、と…
過酷な戦場で、手榴弾や青酸カリで自決していく人々…。軍人ばかりでなく、一般の人まで次々に…。何故、島民まで犠牲にならなければならなかったのか…?
亀甲墓の中で無理心中を図った一家、生き残った老婆が発狂し、墓の前で踊り狂う…。そこへ迫り来る米軍戦車部隊…。狂気以外の何ものでもないシーンに、戦慄を覚えました。
民間人を巻き込み、勝てる見込みの無かった戦いを続け、もう後がないとなったら、さっさと自決してしまった第三十二軍の上層部には、ほとほと呆れるしかありませんでした…
犠牲者数のテロップが出た時、怒りか悲しみか、なんと形容すればいいか分からない感情がこみ上げて来ました。軍の犠牲者より、島民のそれの方が多かったからです。
どうしてこんなことになったのか?―戦い続ける意味はあったのか?―何故やめられなかったのか?
戦争なんてしてはいけない、絶対に…
多大な犠牲者の血が染み込んだ沖縄と云う場所が、強く訴え掛けて来ているような気がしました。
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