「ニューギニアの闇の奥」軍旗はためく下に シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
ニューギニアの闇の奥
深作欣二監督の代表作で、脚本はなんと新藤兼人と異色の組み合わせ。敵前逃亡で銃殺になった亡夫の名誉を回復しようと、未亡人が関係者を訪ねていくお話しで、50年以上前の作品なのに、いまだ切れ味が鋭い作品です。関係者の証言はあいまいでありながら微妙に食い違うのは、『羅生門』スタイルだけど、人間のドロっとした生々しさが強調されているのは新藤兼人の作風かも。また、多彩な個性の強い役者さんの使い分けのうまさは、深作欣二のカラーかな。あまり戦闘シーンはなくスチール写真や記録映像を多用しているのに、画面から目が離せない迫真の作品で、反戦映画と言うより、軍隊ひいては戦後国家と言うものの非合理性や矛盾を描く社会派作品のイメージでした。役者では、左幸子が大熱演で実在感あふれる名演でした。また、復員者の一人、三谷昇の怪演振りも印象に残ります。丹波哲郎は、出番は少ないけど独特のふてぶてしさが感じられました。
コメントする