黒部の太陽のレビュー・感想・評価
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すべて実寸、実物大、日本映画史上屈指のスペクタクルシーンは圧巻!
BS松竹東急放送記念 【石原裕次郎生誕90周年特別企画】として『黒部の太陽」(1968)を鑑賞。
『黒部の太陽』(1968)
石原裕次郎氏と三船敏郎氏の日本映画を代表する二大スターががっちりとタッグを組んだ空前のスケールのスペクタクル大作。
とにかくスケールの大きい作品のため映画館での鑑賞を推奨、永らくパッケージ化されませんでしたが、本日は丸の内ピカデリーさんの幅15.60m×高さ6.53mの超特大スクリーンで鑑賞。確かに北アルプスの雄大な自然は巨大スクリーンに相応しく、音響も5.1chで大迫力でしたね。
石原裕次郎氏、三船敏郎氏のスターとしての輝きはもちろんですが、工事を成功させるため協力会社に土下座までした関西電力社長役の滝沢修氏はじめ、裕次郎氏の父親役の辰巳柳太郎氏、宇野重吉氏と脇のキャストも充実していましたね。
本作の見どころは大量の地下水と土砂が噴き出す「破砕帯」との闘い。
普通の映画はミニチュアセットを組んだりしますが、どんなに精巧なミニチュアを組んでも、水の粒子や波、炎は縮尺に合わせて小さくできないので、特撮・ミニチュアとすぐに分かって興ざめしてしまうものですが、本作品はすべて実寸、実物大、日本映画史上屈指のスペクタクルシーンに仕上がっていますね。
今回大型スクリーンで鑑賞できてラッキーでしたね。
「祇園祭」を観たい‼️
この作品は私の映画遍歴において思い出深い作品‼️今作と「栄光への5、000キロ」は初公開時から評価が高かったものの、「映画は大スクリーンで観るもの」という裕次郎さんの言葉で、ソフト化されることもなく、だからといって全く劇場公開される事もなかったので、20年間くらい観たくて観たくてたまらなかった作品‼️三船さんと裕次郎さんの共演、そして熊井啓監督の作品なので映画ファンにとってはヨダレものですよね‼️難攻不落の黒部ダム工事を描いた3時間15分の大作‼️まぁ、今考えてみるとNHKの「プロジェクトX」の大型映画版ですね‼️トンネルを両側から堀り進んでいく過程の、破砕帯といった様々な障害と戦っていく様子と、そしてついにトンネルが開通した時の感動‼️三船さん、裕次郎さんをはじめ、大自然に挑む男たちの姿がホントにカッコ良かった‼️
こういう映画はもう作れないか。
<映画のことば>
鹿島建設さん、(いまトンネル工事の障害になっている)破砕帯は必ず抜けますからね。(そのときのために当初に予算した)11億を使いきって、骨材を今のうちからドンドン作っといてください。
足りなければ、何億でも出します。
高度経済成長期の関西地方の電力需要を賄うため、関西電力が、その資本金の数倍の予算を注ぎ込んで取り組んだ「世紀の建設事業」―。それが、本作でのモチーフとなっている黒部第四ダム(本体工事、本作の主な題材となっているトンネル工事などの付帯工事)と承知しています。
作品自体も、これから高度成長期に突入しようとする日本経済の、いわば屋台骨を支えようとする大事業のその重厚感が半端なく、まるで画面から工事マンたちの気概が滲み出て来るように思われました。評論子には。
それだけに、高度成長を背景として、日本の「のびしろ」がたっぷりあったという当時と、経済のパイはそう大きくはならないことが眼に見えている令和の今とでは、時代背景がぜんせん違い、同じような素材を現代に求めることは、難しいようにも思われます。
そして、評論子が「こんな映画はもう作れない」というのは、別の言い方をすれば、CGやVFX全盛の令和の今に、こういうセット撮影や大道具・小道具の職人技でこれだけの臨場感ある作品を作る技術は、温存されいないのではないのだろうなぁ、という思いもあるからです。
(単なる評論子個人の慣れ親しんだ「古き良き時代」のノスタルジーであって、映画撮影の分野も含めて、技術が進歩することは当たり前のことで、古い技術が廃(すた)れることを、批判的に評価するものではありません。)
レンタル店の店頭でたまたま見かけて、それらのエピソードが脳裏に浮かび、「衝動買い」ならぬ「衝動借り」(笑)をしてしまった一本になります。
見終わってみたら、今度は、同じく「世紀の大事業」といわれた青函トンネルを題材とした、故・高倉健の出演作『海峡』が観たくなりました。
また映画を観る楽しみが広がり、嬉しくも思えた一本になりました。評論子には。
その意味では、充分に佳作と評することができる一本でした。評論子には。
(追記)
<映画のことば>
北川さん、土方に白い歯を見せたんじゃあ、トンネルは抜けませんぜ。
あんた達は「いつ崩れるか」「いつ崩れるか」…そんなことばっかり考えてっから、土方はへっぴり腰をしてやがるんですよ。
北川さん、土方ってやつはね、技師が大丈夫だと言やぁ、大丈夫なんですよ。
自信、自信ですよ、北川さん。
トンネルなどの工事現場は、実は歴とした身分制社会になります。「上命下服」・「上意下達」が絶対の世界ということです。
そして、その「身分」「地位」の違いが、ヘルメットの色やデザイン(ヘルメットに入る横線の幅や本数)の違いということになっている訳です。
トンネルなどの危険な現場では、指揮官(技術者)の指示に従って整然と作業が行われることが、その安全を確保するためには絶対に必要ですし、万一の退避の際も、指揮官(現場責任者)の命令下に整然と退避することが、無用な混乱を招かないということでは、もっとも迅速・安全な避難になるからです。
(自衛隊や警察、消防の階級章の星の数や横線の有無・幅や本数も同じこと)
何よりも経験がモノをいい、ヘルメットの色が違い、ヘルメットに入る横線の本数が違っても、学卒ほやほやの青二才の技術者は、百戦錬磨の職長(現場労務者の取り纏め役)に手玉にとられたりするような世界でもありますけれども。
上記の映画のことばは、職長が、異常出水で落ち込んでいる技師長(現場技師のトップ)にかけたことばになります。
身分(立場)の違いはあっても、危険な現場で働く者同士の人間模様を如実に浮き彫りにしていると思います。
そのことも、印象に残った一本になりました。評論子には。
戦後の復興、発展を担った時代の映画
3時間20分の超大作。
テレビの特集で見て気になり鑑賞。
ダム建設のための資材運搬をしやすいように、トンネルを作る、という、映画の題材としては地味?だけど後世への記録になると思う。
鉄砲水が吹き出し水浸しのところで掘削作業していたとは。
少しの水で体力取られるのにこれを休まず掘削していたなんて。
戦前から少ない技術で仕事し、
戦争で戦い、戦後の復興、発展を担ったこの時代のひとは本当にすごい。尊敬。
この時代があっての今の日本だなと。
長くて眠ってしまったので、いつかまた挑戦したい。
23.1.22 レンタル
関電社長のセリフが印象に残る
素人意見で恐縮ですが、冒頭は宇野重吉の呟きから始めて、仙人谷ダムの工事がいかに凄惨な生き地獄だったかを見せ、重機のシーンに繋げてから主要人物を紹介したほうが導入部として解りやすかったのでは。
「経営者が十割の自信を持って取り掛かる事業は、こんなものは仕事のうちに入らない…」
このセリフは印象的だったけれど、神妙な面持ちの背広親父たちを序盤でいくら見せられても、観客には黒部峡谷がどれほど広大なのかピンとこない。
黒部の全容と破砕帯が何なのかを最初に動的な説明で見せてほしかった。
一転、工期と人命に翻弄される三船と裕次郎たちを容赦なく襲う崩落と出水の迫力は素晴らしい。
絡み合う人間模様と相まって、クライマックスへの高揚は圧巻でもある。
〈省略〉が巧く出来ていれば長年、観られずにいたための期待度と満足度が相殺したのですが…
とはいえ、仕事に殉じた男たちの姿と三船さんの男気、裕次郎さんの熱意に敬意を評して4を押します。
ちなみに自分は50代後半なので、石原裕次郎と云えばTVドラマの重鎮というイメージです。
巨大プロジェクトとそれに立ち向かう親子の葛藤
トンネル採掘工事を請け負う親子の話として閲覧すると…
トンネル工事中に事故に巻き込まれた父と兄。兄はその際亡くなり、弟は外国で掘削に関する技術を学んでいる。
その親子がトンネル工事を請け負い、弟は兄の死を親の責任と感じ嫌ってはいるが…という感じだった。
兄の死に関して、親は何も語らず、だからこそ弟はその事故の原因は父にあるとしていたが…
非常に長い映画で、私はこの作品をオンデマンドで視聴していた。なので、いつでも映像を止めて休息することができたわけだが…
しかし劇場公開となると、約200分もある映画なのだ、一気見することは難しかったのだろう、映画中に「休憩」という大きな見出しが出た時はちと驚いた。
吉村昭の「高熱隧道」もおすすめ
若い裕次郎の映画を初めて観た。三船敏郎は荒くれ侍のイメージだが、
本作では線が細く、実直なサラリーマンを見事に演じていた。
電力需要の増大に合わせ、水力発電のためのダムが作られる。
そのためにトンネルが掘られるのだが、これが危険を伴う難事業。
人々の豊かな生活の裏には、それだけの血と汗が流されていることを
教えてくれる。以前プロジェクトXにも取り上げられた。
私が印象残ったのは父子関係。親父を否定しながらも、黒部に残り、
親父が現場に出れなくなると指揮を取る息子、息子はトンネルを貫通
させるが、親父は静かに身を引く。息子は親父を理解し、親父は
息子を認める。
この映画は、黒部第四ダム建設の話だが、黒三の話が、吉村昭の
「高熱隧道」。黒四より20年くらい前の話なので、より人に頼る
事業で、より事故も多く悲惨。読んでみてください。
映画の中でも、宇野重吉が黒三を回想するシーンがあります。
「Z世代にも観てもらいたい」
三船敏郎×石原裕次郎
という昭和の大スターが共演した超大作。
映画というよりは黒部ダムのドキュメンタリー作品である。
噂では石原裕次郎がDVDや作品に残すのを嫌ったと言われてる作品。
3時間19分あるため、途中「休憩」が入る。
昔の作品ではよくあるのだろうか。
とにかく昭和の時代の映画の為
技術、知恵、前例などは特になく やっていってダメだったら考えようスタイル。
高度経済成長期のイケイケGO GO時代の為金はいくらでも使えるし、人は死んだらしょうがない世界。
作業員に1人も女性がいないのはそうか。やはりなー という感じ。
そりゃ昭和の男はあんな感じか。
とりあえずドキュメンタリー映画の為 話がおもしろいというよりは かなり興味を持った。
お国のために 国家のために働いてるという感じだ。 そりゃ誇りを持って仕事に励むだろう。
今のZ世代にも是非みてもらいたい作品だと思う。
今年は黒部ダムに長野方面からいってみたいと感じる作品。
高度成長
「この映画は敗戦の焼あとから国土を復興し文明をきずいてゆく日本人たちの勇気の記録である」。冒頭の一文が言い当ててる。戦後世代ではなく戦中を知る残された世代が、前代を否定して変化や革新に邁進する。前代を否定するのが許された時代。圧倒的な自己肯定感。それでも戦争の匂いがする。戦場を黒部の地中に変えたようでもある。
安全の徹底といっても、現代からはほど遠いが、そこは割引くべきところか。殉職という言葉は、今あまり使わなくなった。崩落の映像はそれ自体が撮影事故のように見えるど迫力。水は冷たいはずだが、感じられなかったが。
いきなり工事内容不定で指し値を強要してきて、現場では同舟。中盤は金には糸目をつけぬと、これも現代からはレッドカードをあげたくなるが、まぁ、それだけ電力会社、敷いては電力料金に転嫁された需要者含めて、社会全体がスクラムを組んでこのプロジェクトに取り組んだ証。誰かにリスクを背負わしたり、連帯して責任を負わなかったり、揚げ足を取ったりはしない。それをわざわざスターが立ち上がって、社会として認知する訳であるから、この映画も含めて時代をよく示す。
遂に鑑賞
数年前にDVD、オンデマンド化された幻の作品。
3時間超の大作。
観るほうも気合いが必要。
ようやく観ることが出来ました。
65年前の出来事を53年前に制作。
今でも不可能と思える大事業。
二度とできない撮影方法で制作された映画。
石原裕次郎と三船敏郎のカリスマ性とオーラで重厚感が増しています。
映画制作に対する技術と熱意、魂の結晶を観ることが出来ました。
制作に携わった方、再公開に尽力頂いた方ありがとうございました。
昭和の勢いとギラギラ感
映画が量産されていた頃特有の編集の荒っぽさや間延び感を良しとすれば、すごく見応えのある作品。
今では考えられないスケールの大きさや危険をかえりみない役者魂を感じる。
いろんな意味で昭和という時代の勢いを堪能させて頂きました。
迫力がすごい
石や木で増強した、トンネルの天井が落ちてきそうな迫力が
リアルで「日本でもこういう映画が作れるんだ・・・」と驚きました。
目力や、雰囲気抜群の三船敏郎は、まさにハマり役で緊張感を増長させます。
父と息子の確執の要素もいい味を出していて、
最後のうめき声?は感動しました。
由紀さんの、あの昭和独特の女性の話し方が少し現実離れしていて、
いまいちのめりこめず、★マイナス1
迫力だけでなく、服の汚れなどリアリティがあった。当時の人々の勢い、...
迫力だけでなく、服の汚れなどリアリティがあった。当時の人々の勢い、アツサが伝わってきた。大変な事業だったんだろうと。貫通日に娘がなくなるというストーリーは寂しい
黒部の太陽とは、本当は何か?
突き抜けた傑作です
星10個必要です
間違いなく日本映画の最高峰のひとつだと思います
本作が日本映画オールタイムベスト200にはいっていないことが理解出来ません
長らく幻の作品となっていたことが原因なのかも知れません
しかし数年前にDVD化されているのですから、容易に家庭で鑑賞できるようになったのです
本作の価値が広く知られるようになり、正当な評価が与えられることを願います
休憩付き3時間オーバーの上映時間もネックになっていたのかも知れません
しかし一旦観始めたら、あっと言う間に感じられるのです
長時間で退屈なんてことは少しも感じることはないのです
終盤でのトンネル開通のカタルシスは物凄いものがあります
そして観終わったあとの深く大きな感動と満足感と余韻
何もかも圧倒的です!
本作は黒部ダム建設の映画です
主にそのダム本体の建設の為に絶対に必要なトンネルの掘削の苦難の物語です
でもただの土木工事のドキュメンタリーではないのです
幾重にもテーマが重層しているのです
文明による自然破壊とその調和
戦争時中のやり方と戦後の復興の在り方の違いとは何か
父と息子の相克と和解
父と娘の愛情
仕事と家庭
困難なプロジェクトの中での恋愛
リーダーとは何か
仕事のプライドとは何か
大衆とインテリの関係
インテリの責任と責務
現場の人間の気概とプライド
前半の山場はもちろん有名なトンネル内の大出水のシーンです
想定した以上の流出となりまかり間違ったら人命に関わる程の撮影事故です
しかし撮れた映像は本物の事故の迫力、本気で逃げ惑う俳優達の姿です
こんな映像は後の海外のパニック映画にすら勝る迫力があります
しかし本当のクライマックスは何か?
自分には施主の社長と施工会社の専務が双方臨席での対策会議と、会議終了後の夕刻の座敷のシーンだと思いました
関電の社長が目の覚めるような判断を下します
突破する方策があるなら、費用が幾らかかっても構わない、金で解決できるならそれは私の仕事だよと言うのです
足らなければ何億でも出しますと
そして続く座敷のシーン
会議は散会したのに問題の工区施工会社の専務達は関電の社長から呼び止められて、夕刻の座敷に場所をかえてのシーンです
先に到着していた施工会社の専務はその本音を関電側の幹部に漏らします
「仕掛けを大きくすれば幾らか気休めにはなるでしょう」と冷笑するのです
無理なものは無理だと適当にやり過ごす腹です
しかしそこに関電の社長が現れ、座布団にも座らず畳に頭を擦り付けて協力を願うたのです
施主の社長が、施工会社の専務にです
しかも天下の関西電力の社長がです
驚天動地の有り得ない事です
それでも適当にごまかそうとされるのをさらに食い下がって頭を下げるのです
戦後直ぐに二人も子供を失った話をして、もう失うものはないと、プライドを捨てたのです
そして遂にはこう熊谷組の専務に言わせるのです
もう、やけくそでやりますわ!
この一言のでるまでの約1分程、無音でカメラが座敷にいるそれぞれの顔を長回しで次々に捉えていく息詰まる圧巻のシーンでした
こんなリーダー達がいたからこそ、日本は戦後の復興を遂げ、高度成長を成し遂げたのだと分かる感動のシーンでした
巨額のプロジェクトの推進に関わったことのある人なら、このシーンがどれほど凄いことか分かると思います
結局、このシーンで決まったシールド工法の12月導入は無駄に終わるのですが、それは対策会議で関電社長がこう言っていたのでした
「仮に不要なったところでなおのこと結構じゃないかね」
こんなこと普通の社長は絶対言いません
下請けの岩岡組の頭の源三のキャラクターも素晴らしい
今では有り得ないようなパワハラ、ブラックのオンパレードです
しかしこれもまた現実です
このような仕事へのプライドと情熱は、建設業界に関わらず、いまの現場にはもうないのかもしれません
大量の登場人物のどれかに、誰しも自分を投影してしまうと思います
黒四ダムのような巨大建設は今後もあるでしょう
困難さでいえば福島の原発撤去工事はこのダム工事に勝るかも知れません
建設業界だけだはなく、IT 業界だって黒四ダムはあります
某メガバンクの新基幹システムは難工事に次ぐ難工事で、本作の破砕帯よりも難工事だったかも知れません
犠牲者こそ本作のように銘版に名前を刻まれることはなくても、何百人もの優秀な人達がすりつぶされ、身体や精神を壊されたことと思います
どんな業界にも黒四ダムはあるでしょう
その時あなたは、本作のどの登場人物であるのでしょうか?
破砕帯にぶつかった時、あなたはどのような行動をとるのでしょうか?
黒部の太陽
それは冒頭に写される黒部峡谷の真っ赤な太陽そのものではないのです
太陽とは、破砕帯を突破して巨大プロジェクトを完遂させた人々の血と汗とプライドです
それが真っ赤に燃え上がっていたからこそ、黒四ダムは完成したのです
それこそが本作のテーマなのです
カメラが抜群に素晴らしい
後の木村大作カメラマンが悔しがるような、本当に目の覚めるような映像が撮れています
日本映画の域を遥かに超えてデビッドリーン監督作品の映像に迫る程のものです
雄大な山岳の光景だけでなく、薄暗いトンネル工事現場、会議室、病室、ありとあらゆるシーンで照明とカメラのみごとな仕事ぶりにも感嘆するはずです
特に暗いトンネル内からトロッコが明るい出口に差し掛かると画面が白くつぶれていくシーンは感動する映像です
さすがの熊井監督も2回も使うほど気にいったようです
1982年の海峡は青函トンネル工事の映画で、木村大作カメラマンは本作をかなり参考したのがよくわかります
このトンネル出口の白つぶれの撮影は海峡でも木村大作カメラマンが再現してみせています
しかし本作を上回ってはいません
トロッコを左右に分かれてやり過ごす黒いシルエットの作業員達が海峡には写り込んでいないのです
これの有る無しで全く似て非なるものになるのです
そして黛敏郎の格調ある音楽がこの雄大な物語をさらにスケールを大きくしています
音響も素晴らしい当時としては最高のものです
大出水のシーンでの地鳴りで我が家のAV スピーカーが超久し振りにビリビリと振動したほどです
なるほど、これこそ劇場で観たくなる映画です
DVD で簡単に鑑賞できるようにはなりましたが
、是非ともスクリーンで上映する機会を作って頂きたいものです
専属俳優を、映画会社に縛り付けていた五社協定を公然と反旗を翻して撮影されたということろにも日本の映画の歴史に画期的意味があると思います
リアリティのある撮影
父と息子、父と娘、元請けと下請け、親方と土方など二項の関係で描く群像劇。丁寧でわかりやすい説明も要所で入り記録映画のような体裁。絵も美しく、三船敏郎と石原裕次郎共演のバランス良い。トンネルでの撮影が主体であるがチャチなところが微塵もない。高画質でみたい作品。
89点
ジェットモグラとかマグマライザーとか轟天号があれば早いのに
三船プロダクション+石原プロモーション+劇団民藝。ダム建設がメインかと思いきや、ほぼ関電トンネル工事の話でした。熊谷組の工場内にセットを組んでおり、工事の様子などは人が死んでいてもおかしくないほど迫力があります。さらに静かになったときの支保工から聞こえてくる軋み音が不気味で、怪獣が出てきそうなイメージ。怖い・・・
フォッサマグナ、破砕帯、切羽、シールド工法、その他専門用語も多いのに、全く違和感なくストーリーは進み、トンネル内の閉塞感や見たこともない実際の重機など、勉強になること多々。工事中に落盤事故とかいっぱいあったんだろうな~と調べてみたら、171人の死者が出たとか。宇野重吉が黒三は300人と言ってたから、少なく抑えた方なのだろう。
実在の建設会社をそのまま表記していることも特徴なのですが、北陸に住む人間にとってはなぜ関西電力?という疑問も沸き起こる。とにかく、まだ黒四ダムには行ったことがないので、死ぬまでにはこの目で見てみたい!
貫通のシーンには思わず涙も出てくるのですが、なぜか裕次郎の演技が今一つ。やっぱり仕事人間だった三船敏郎が娘の白血病に驚くところに悲哀を滲ませていた。また、実際の親子でもある宇野重吉と寺尾聡も良かった。加藤武は金田一耕助シリーズと同じでした・・・
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