黒い画集 ある遭難のレビュー・感想・評価
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小説から3作品が映画化。どれも主人公が些細なことから転落する悲劇的有り様を描いた内容ですが、実に面白いです。
神保町シアターさんにて特集企画『横溝正史と松本清張――映画で味わう至高のミステリー対決』(2025年5月3日~30日)開催中。
本日は『張込み』『黒い画集 ある遭難』『けものみち』の松本清張作品3作をはしご鑑賞。
『黒い画集 ある遭難』(1961年/87分)
松本清張氏の短編推理小説シリーズの一編。
本作含め、小林桂樹氏主演・橋本忍氏脚本の『あるサラリーマンの証言』(1960年)、池部良氏主演『第二話 寒流』(1961年)と3作品が映画化、どれも主人公が些細なことから転落する悲劇的有り様を描いた内容ですが、実に面白いです。
因みに『天城越え』(1983年)も本シリーズの一編になるそうです。
本作では同じ会社に勤める3名が北アルプスで遭難、うち1名が転落死。
その後、生存者が執筆した当日の手記に疑問を持った転落死した弟の姉から相談を受けた山のエキスパートの従兄が、弟の献花を事由に疑惑の上司を誘い、再度同じ行程で転落場所まで
向かうという内容。
まだ撮影機材が軽量でない65年以上前に本格的な雪山でのオールロケを行ったのが見どころ。『八甲田山』同様、かなりハードな撮影だったと画面越しからも伝わります。
山を登りながら徐々に疑惑の上司の本性や矛盾点を暴き出す、従兄役の土屋嘉男氏の迫力も痛快です。
槙田の推測がダメ(牽強付会) 観てて楽しくない
1.岩瀬の発狂転落死は、本人の判断ミスから来た結末
①登山日に体調不良なら、登山の途中でも中止するべき
②江田の発言を聞く限り、岩瀬が「自分は中止したい」と言えばOK出す感じ
③江田の責任にするのは無理筋
2.槙田の転落死は、槙田の質問や発言が江田の殺意を誘発した面がある
①江田の判断ミスを責める発言や質問が多数ある
②最後は、「立証出来たら殺人で訴える」の発言
③2人しかいない山で、上記の質問や発言をしたらダメ
3.江田の死亡は、偶然の雪崩だから仕方ない面もあるが、
①安全なルートで帰るべきだった
②前回をなぞる行動で、時間が足りないなら、休みをもう1日取っておくべき
③登山とは、危険を伴うので、予備時間(日数)は常識
4.岩瀬も浦橋も大人、引き返し後、道誤りの時、「道が違う」と言えれば良かった
①気付かないなら、少しの責任がある
5.この映画の頃は、銀行員でも鹿島槍等の危険な登山をしてたのか → へえー
6.参考=この映画の約3年後、1964.1月、岩木山遭難事件が発生している
①高校生6人が登山開始 → 中腹の山小屋で1泊
②2日目=1人が準備不足の為、雪空の登頂を断念(山小屋で待機)
③5人は山頂に着いたが、吹雪で下山路を誤る
④5人は、道に迷った後、約4日間に何回か判断ミスしている(4人が死亡)
⑤捜索者は、警察+消防団+山岳関係者、8日間で延べ2062人
⑥警察の判断ミスもあった
7.山で遭難が発生した場合は、誰かが判断ミスしている
①この映画の槙田みたいに、責任者を責めたりしてはダメ
②特に山奥で2人だけの時、責めたらダメ
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