「低予算ゆえの衝動と惜しさ」狂い咲きサンダーロード zhiyangさんの映画レビュー(感想・評価)
低予算ゆえの衝動と惜しさ
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異様なポスターのビジュアルとあらすじのインパクトに惹かれて鑑賞。最初は何が起きているのかよくわからなかったが、話と舞台のあらましが見えてくるにつれてわざとらし過ぎる荒々しさと、泉谷しげるやパンタの曲がハマりまくった疾走感に魅了されてしまった。大人びて丸くなるのを頑なに拒み、自分の思うがままに生きることを選んだ少年の明日なき暴走の末路ってっ感じだったが、暴力に次ぐ暴力の中で生き様に殉じるのは格好良いなあと思いながら観ていた。片手片足を失ってなおバイクに乗り、「ブレーキはどうするんだよ」という問いに何も言わず笑ってアクセルを踏み込むラストシーンは最高に痺れた。バトルロイヤル広場とかスーパー右翼とかあまりにも馬鹿馬鹿しいネーミングセンスや台詞からは話の緊迫感を壊さない程度の絶妙な笑いも感じられてメリハリよく見ていられるのも凄い。惜しむらくは、低予算のせいか古いフィルムのリマスターのせいか単に言葉遣いのせいか、聞き取りづらかったり何が起きているのか判断しづらいところがあったことと、終盤の登場人物がポッと出てきた割には重要な役割を果たしたことに違和感を感じたことだろうか。それと健さんの謎ベッドルームのシーンも謎だったが…。粗削りな部分もあったけど、それ故に却って疾走感や焦燥感がほとばしる。上質な?パンク・ロックを映像化したらこんな感じなんだろうという、熱量溢れる傑作だった。
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