蜘蛛の瞳のレビュー・感想・評価
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雰囲気が良かった
・一般人だった男が娘を殺された復讐をして、人殺しに躊躇がなくなり、ビジネス殺人に誘われて稼ぐようになっていったという設定が良かった。
・ペトリ皿に入った立方体の臭いと味を確認して、何かを記録しているだけの仕事がわけがわからなくて面白かった。
・ビジネス殺人なのに会社を構えてる意味がないと思ったけど、なんか面白かった。
・殺人の依頼をしているのが変人ばかりの組織で、どういう関係で流れなのかが不思議だったけど、組織が不思議過ぎて気にならなかった。
・殺人を依頼している組織などの力関係が曖昧なのもあって、ヤクザの会長をやれってさと岩松が言ったのを、後任をやれと言われてると勘違いしてしまい少し混乱した。観返してみて、殺せって意味だった事がわかって理解できた。
ヤクザの会長を殺せと岩松は依頼を受ける→一人でやるには仕事が大きいのか気がそぞろになるのを哀川翔が代わりにやるという→皆でやろうと言って皆でやるも、殺したのは偽物の会長だった→それを岩松は知っていた。わけだけども、何で偽物って知ってて殺して逃げているんだろうと疑問が残った。でも観返してみて殺しの標的にされたヤクザと画策していたのかとやっとわかった。
・ラスト、冒頭で復讐した男が生きてて地中から這い出てましたというのが良かった。死んでるものと思い込んでいた。しかし、車いすで意識もなさそうなのに良く出てきたなぁ。近くにあった布が縛って合った丸太は何だったのか。埋めるときにあったのか記憶がなく、どこかであったとしても娘の幽霊?のシーンだけだったような。
・星と前田を銃で撃つシーンが良くわからなかった。車は一体どこでとかが。気にするのは野暮なのだろうか。
復讐を果たした男の"抜け殻"を描く不思議な作品
哀川翔主演のVシネ劇場公開作品。監督は黒沢清。
今回初めて観たが…不思議な作品だなぁ…。
ストーリーは、愛する娘を誘拐殺害された男が復讐を果たす場面から始まる。
絶えず時系列を行き来する編集で、普通ならば“復讐に行き着く”までを描くのが普通なのに、この作品は復讐を果たしてしまった後の“抜け殻”になってしまった内面を、訳在って殺し屋家業に足を踏み入れた男の話になっている。
主演の哀川翔は相変わらず、どこから見ても哀川翔で(笑)時折入る長廻しが、彼の持ち味と併せてクスクスと笑わせる要因になっている。
特に大杉漣と菅田俊との追っ掛けっこによるすっと呆け振りが見物。
家庭内に漂うパラノイヤ感覚と、暴力描写に於ける編集での省略化、及びラストの居心地の悪さ。これこそが黒沢清作品らしさだろう。
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