金田一耕助の冒険のレビュー・感想・評価
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明るく綺麗な見た目のピーマンの中
録画したものを視聴しました。
「話がピーマン」…二度台詞が有ります。当時はピーマンが空っぽというイメージがあったのでしょう。今ならピーマンの中のワタこそ栄養があり捨てるべきではないことは、知る人ぞ知る事実です。
不二子さん他、女性陣の魅力が引き出されていました。
横溝正史さんご本人の出演シーンも愉快でした。
ドタバタコメディテイストで明るい雰囲気の中に、しっかり大事なメッセージを入れているのですが、残念ながら大事な部分は不要なものであるという間違った常識によって捨てられていたピーマンのような作品…と、言っている自分でも意味がわかってません。
映像が古いだけでなく、演出的にチープさが目立つものの、金田一耕助が存在する世界観にリアリティを感じました。
パーティーは終わった! これから打ち上げの二次会だ
70年代の金田一耕助シリーズは、どれも角川映画というイメージがあるが、実際には角川が製作しとして出資したのは、1976年の「犬神家の一族」と、1979年の本作の2作品だけだ
1978年の「悪魔が来たりて笛を吹く」は東映の全額出資で、角川春樹氏は雇われプロデューサーとして参加している
なぜ角川は本作を製作したのか?
その疑問がまず鑑賞前から頭をもたげる
大林宣彦監督は当時まだ商業映画3作目の新人監督
1 作目の「House 」で異才ぶりが注目された
それでどのような作風であるのかは、良く知れ渡っていたはずだ
横溝正史作品の世界とは対極にあるということは誰もが分かっていたはず
内容を観ればやはり予想通りだ
角川はそれでも大林宣彦監督を選び、自ら出資して、金田一耕助の映画を撮らせた
それは一体なぜなのだろうか?
そればかりが頭の中でぐるぐる駆け巡った
単にお友達だから?
そんな訳はない
横溝正史の原作の大ヒット
映画化したらそれも大ヒット
相乗効果でさらに文庫本が売れる
それで味をしめて他の小説家でも試してみたら、これもまた大成功
角川としては金田一耕助シリーズには大恩がある
その金田一耕助シリーズもあまりにもヒットし過ぎで、映画もテレビも沢山作られて流石に飽きがでてきた
そろそろ幕引きの頃合いだった
それが1979年の状況
あの市川崑監督が「病院坂の首縊りの家」で宣伝コピーの通りのこれが最後じゃ!というレベルの残念な映画を撮ってしまうほど
出演者勢揃いのカーテンコールは「女王蜂」で済んでいる
「病院坂の首縊りの家」は完全に蛇足だった
ダラダラといつまでも終わらないパーティーは最低だ
早く誰か中締めしてくれ!
誰がするのか?
それはパーティーの主催者に決まっているじゃないか
何をもって金田一耕助シリーズを本当に締めくくるのか?
その答えが本作だ
つまりパーティーの中締、二次会で打ち上げ、そして関係者の集合記念写真の撮影
これが本作のテーマだ
大林宣彦監督はその意味を良く理解して本作を撮っていると思う
そこは流石だ
本作をもって、70年代の金田一耕助シリーズの大ブームは完全に終わった
パーティーの中締めがなされたのだ
たまたま西田敏行が他の仕事で主演できず、古谷一行が主演したのは嬉しい誤算だった
彼が主演の金田一耕助のテレビ版が一番好きだった
一番原作のイメージに近いのは彼だ
その姿が映画となっているのは本作だけだ
今ではテレビ版もネット配信で何時でも鑑賞できる時代になった
金田一耕助シリーズの嵐のような大ブームは、もう40年以上昔のこと
21世紀の今、本作の役割は何が残っているのか?
パロディをどこまで読みとれるかのクイズ番組みたいな価値しか残っていないのかも知れない
一応面白さが味わえる作品ではあったが
自虐金田一
横溝正史ブームの最中、古谷一行主演で大林宣彦が監督した金田一映画。1979年の作品。
既に古谷一行はTVシリーズで金田一を演じ人気を博し、その映画化…じゃない。
ナンセンスギャグとパロディ満載の異色の金田一映画。
一応、短編「瞳の中の女」を原作としているが、原型ナシ。
一応ストーリーもミステリーもあるが、脱線しまくり。
映画に本にTVに、マスコミの寵児となった金田一。唯一謎を残した事件に、再び挑む…。
金田一好きなのでいつか一見したいと思いつつ、なかなか見る機会が無かった本作。
で、ようやく機会があり、見てみたのだけど…
「…」。
ギャグにパロディ、ギャグにパロディの繰り返し。
別にそれは悪くないんだけど、決定的なまでに面白くない。
ギャグはダダスベり、パロディは当時のCMなんかがネタらしいがさっぱり分からず…。
小ネタは「トリック」並み。
金田一作品自体のパロディもあり。これはちょっと面白かった。
“病院坂”とか、「ようし、分からぬか!」とか、市川金田一のようなカット割りとか。
横溝正史も本人役で出演。あの台詞は本音か。
某超大物俳優も金田一に!
殺人防御率の低さで知られる金田一。
ラストは、それに対して弁明する自虐ネタと、金田一が金田一作品への愛を語る。
後はただのお遊び。
収束つかず。
やっぱり金田一は、おどろおどろしいミステリーが好き。
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