劇場公開日 1979年5月26日

「ミステリーとコメディが交錯する“昭和の異空間”を旅する映画」病院坂の首縊りの家 jasperさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ミステリーとコメディが交錯する“昭和の異空間”を旅する映画

2025年6月3日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

怖い

驚く

本作は、ミステリー要素とコメディ要素が見事に融合しています。廃墟となった洋館や不気味な花嫁写真など、恐怖を感じさせるシーンがある一方で、登場人物たちのやり取りや演出にはユーモアが散りばめられています。特に、草刈正雄演じる黙太郎のキャラクターは、物語に軽快さを加えています。 

奈良県吉野の風景と洋館の対比

舞台となる奈良県吉野の街並みは、これまでのシリーズに見られる田舎の村のような秘境的な雰囲気とは異なり、現代的な印象を受けました。しかし、廃墟となった洋館は不吉な空気を漂わせ、物語の舞台として印象的でした。また、坂道や風鈴、写真などの小道具が物語に深みを与えています。

昭和のテクノロジーと演出の妙

写真館の撮影機械や暗室など、昭和のテクノロジーが登場し、時代を感じさせます。また、女性が早口で説明するシーンでは、カメラが短いカットを連続で切り替える演出が施され、視覚的にも楽しめました。音響も非常に効果的で、恐怖を煽るシーンでは音が強調され、まるでお化け屋敷のような演出がされています。

俳優陣の魅力

本作には、加藤武、小沢栄太郎、大滝秀治、小林昭二、三木のり平など、個性豊かな俳優陣が出演しています。彼らの演技は、時に過剰でありながらも画面に釘付けになる魅力があります。また、佐久間良子や桜田淳子の美しさも際立っており、物語に華を添えています。

まとめ

『病院坂の首縊りの家』は、市川崑監督の独特の演出と、ミステリーとコメディが融合した作品です。昭和の雰囲気やテクノロジー、俳優陣の魅力など、多くの見どころがあります。シリーズの最終作として、これまでの作品とは一線を画す異色作でありながらも、非常に楽しめる作品でした。

jasper
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