劇場公開日 1977年8月27日

「日本映画史上最も美しい見立て殺人」獄門島(1977) カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5日本映画史上最も美しい見立て殺人

2025年7月16日
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鑑賞方法:VOD

横溝正史の代表作の一つで、金田一耕助が世に初めて出た作品としても有名な小説の映画化。
原作と犯人が異なることでも有名で、監督の市川崑が横溝に承諾を得て九里子亭(くりすてい)という脚本家名で書き換えている。

個人的には劇場鑑賞はしていないが、テレビ、レンタルビデオ、配信ともう何回観たかわからない映画。

横溝お得意の田舎の因習に相続を絡めた本当に小さな世界で起こる凄惨な殺人事件を、市川崑がおどろおどろしい雰囲気を損なうことなく、豪華キャストと映像美にこだわって撮った佳作。

冒頭の金田一と傷痍軍人のコミカルなやり取りが楽しいが、皮肉にもこれが後にとんでもない悲劇を生むという非常に練られた構成には驚かされる。

アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に出てくるマザーグースの童謡に見立てた殺人を参考に、松尾芭蕉と宝井其角の俳句に見立て派手な着物を着た若い女性を被害者にした描写は、日本映画史上最も美しくも恐ろしい映像といっても良いと思う。

かなり昔VHSで鑑賞した時には佐分利信が何言ってるのかわからないほどセリフが聞きづらかったが、最近見た配信では補正されちゃんと聞き取れる様になった・・・ような気がするが真相はどうなんだろうか。

司葉子、大原麗子、坂口良子、浅野ゆう子(付けボクロをしてるけど)の美の共演も楽しく大好きな映画の一つ。

カツベン二郎
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