銀座化粧のレビュー・感想・評価
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本作、おかあさん、晩菊 続けてご覧頂くと感慨深いものがあります
昭和26年1951年4月公開、白黒作品
田中絹代、香川京子、三島雅夫の三人は翌年1952年公開の「おかあさん」と同じです
子役の春雄も、後ろ姿はそっくりながら同じかと思ったら違いました
成瀬監督は本当はそのまま使いたかったのではないかと思います
でも本作の春雄は小学1年生くらい、「おかあさん」の哲夫はもう2歳ほど下の設定なので変えざるを得なかったのだと思います
第一子供の成長は早いものです
田中絹代 41歳
アラフォーの今でいうところキャバクラ嬢
西銀座にあるベラミというお店に勤めているシングルマザーという役です
41歳ですから、さすがに年増
チーママ的なポジションぽいです
70年前の銀座の光景も興味深いです
劇中、田舎からでてきた好青年を東京案内するシーンは目が釘付けです
大昔といえど、お話しのあらましは現代にそのまま移し替えてリメイク可能なものです
田中絹代はもともと超美人ではありません
でも、内面から滲み出る知的さや上品さ、育ちの良さが美しいのです
さすがにアラフォーともなればそんな彼女もいろいろとあってスレてもいます
多少の事では動じません
それでも、若い好青年にはひとりのかわいい女性になっているのです
目がキラキラと輝くのです
このシーンが本作の白眉と思います
結局、お話しにオチがあって彼女の日常はこのまま続いていくのです
成瀬巳喜男監督は、3年後の1954年に「晩菊」で元芸者のアラファイブの4人の女性の映画を撮ります
主演は杉村春子
お話しも設定も全く別物ですが、本作の雪子の数年後のような人物として望月優子 49歳が旅館の女中 たまえ役を演じます
本作、おかあさん、晩菊
続けてご覧頂くと感慨深いものがあります
蛇足
コロナ禍のちょいと前、新宿歌舞伎町に十名近くで繰り出しました
よく使う風林会館のキャバクラが満員で、勧められるままに近くの系列店に入りました
まだ早い時間で、その店には60歳近い大ママと70歳程の年輩の社長さんみたいな上品なお客さんが話し込んでいるだけでした
私達が入ると女性が次々と奥からでてきました
まず50歳位のチーママ、あれ?また50歳位のチーママ、え?またチーママ?
一体何人チーママいるの?この店?
と驚くと女性が指さしたお店の看板は「オールド・ガールズ・バー」
看板に偽りなし!
大笑いしてそのまま飲みました
ベテラン揃いで会話も面白く良く気がつく女性ばかりで楽しく過ごしました
何でもそのお店のグループ店は年代別のお店になっているそうです
20代、30代、40代とお店を移っていって最後にこの店に来るそうです
女性が一生安心して働けるよい会社もあるもんだと感心したものです
今でも話の良いネタになっています
コロナ禍で彼女たちの生活はどうなったのでしょうか?
ちょいと心配になりました
銀座の女よ薔薇のように
女性映画の名手・成瀬巳喜男1951年の作品。
銀座の女たち男たちの悲喜こもごもの人間模様。
大女優・田中絹代の名演や成瀬の手腕もさることながら、興味深いのは当時の銀座の風景。
ネオン街、風俗、市井の人々の暮らし、当時そのままの街並み…。
古い映画を見る時、それらを映像として見る事が出来るのが最大の醍醐味の一つ。
幼い息子を女手一つで育てながら、銀座のバーで働く雪子。
しっかり者のいい女だが、男運が無い。
息子の父親であるかつての情夫は今も金を借りに来る。
店の客から飲み逃げに遭ったり、強引に関係を迫られたり…。
男なんて皆ケダモノ。
そんなある日、友人から一人の男を紹介される。
誠実な人柄に惹かれる。
男と外出中、息子が行方不明に。
男の相手を店の妹分に任せる。
息子は無事見つかるが、妹分と男が親密に…。
逃してしまったまたと無い縁。
縁があったのは妹分の方と諦めるしかない。
女としては切ないが、母として息子を放って置ける筈がない。
出会って、惚れて、惹かれて…。
女と男の関係は変わらない。
逃した縁の後ろ髪を引かれず、また今日も前を向いてこの街で歩いていく。
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