「偉大なる巨猿に愛をこめて」キングコングの逆襲 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
偉大なる巨猿に愛をこめて
東宝創立35周年記念作品。
DVDで鑑賞。
東宝とRKOの間で交わされたキングコングのライセンス使用契約が切れる前にもう一本つくっとこう、と云うことで製作された、東宝版キングコング映画の第2弾である。
円谷英二特技監督の特撮にかける情熱の原点は、オリジナル版の「キング・コング」。フィルムを取り寄せて一コマ一コマ研究したと云うエピソードはあまりにも有名だ。
よってキングコングに対する想い入れは人一倍強く、本作でもオリジナル版へのオマージュが捧げられている。
キングコングとゴロザウルスの戦いは、さながらオリジナル版のコングとティラノサウルスのバトルそのもの。
ゴロザウルスの口の中に木の枝を突っ込んでいたし、最後に顎を裂いて倒すのも同じであったし、芸が細かい。
増上寺から東京タワーにかけて繰り広げられるキングコングとメカニコングのバトルは息も吐かせぬ迫力。特に東京タワーによじ登りながらの死闘がかなりスリリングだった。
やはりタワーがあれば登らねばならないのがコングの宿命なのだろう。エンパイア・ステート・ビルも良いが、日本と言えば東京タワーだ。周りに高層ビルが無いことに時代を感じた。
円谷特技監督は本作以降も数本の特撮映画を手掛けられているが、本作が最後の怪獣映画となった。同年公開の「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」では、特技監督を有川貞昌に譲り、本人は特技監修と云う肩書きながらも、製作に参加出来る体調では無かったそうだ。そう考えるととても感慨深い。本作が公開された3年後には他界してしまうのである。最後の怪獣映画がキングコングだったと云うことに運命的なものを感じた。
[以降の鑑賞記録]
2021/05/13:Blu-ray
2024/11/29:Amazon Prime Video(東宝名画座)
※修正(2024/11/29)