「青春の日の総集編の幻影」銀河鉄道999 てんぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
青春の日の総集編の幻影
世代では無いがとても面白かった。
物語的には母親の仇である機械伯爵を倒す、というのがまず鉄朗の動機として語られるが、伯爵とは中盤の終わり辺りでエンカウントして驚き。
序盤で知り合ったアンタレスが助けに来てくれたり、アンタレスの自爆でバリアを破壊したりなど色々あって伯爵を撃破。
自然な流れで機械の体をくれる終点の星を破壊しよう!という流れに。ちょっと過激派すぎない?
元々がロードムービー的な作りの短話完結型アニメなものだから、それが総集編になるとあらゆるイベントが急に始まって、こちらの目の前を凄い速さで通り過ぎて行く感覚は否めない。
駅を降りた瞬間に攫われるメーテル、急に居て死ぬトチロー、急に助けてくれるハーロック、意外と何もしないメーテル、しょんぼりエメラルダス、マジで最後まで活躍らしいものが無いメーテル。メーテルは存在感だけで2時間持たせてしまう歴史的なキャラだと思う。
何をやっているかは分かるし、何故やっているのかも理解できるが、こちらの感情がイマイチ追いつかない。
特に終着星での最終局面は凄い。
メーテルが機械帝国の王女の娘だったという事はひとまず置いといて。
捕まった鉄朗を死なせる訳にはいかない!と助けに来るハーロック、トチローの意思を継ぐ鉄朗を助ける!とやって来るエメラルダス、最後には999の旅客員クレアまでもが鉄朗のために命を掛ける。
お前ら待ってくれ、俺を置いて行くな。俺はまだ2時間しか鉄朗と付き合ってないんだ、そこまで愛着が無いんだ。
何だかんだあってメーテルとの別れ。アニメ史に残るキスシーン。
ここは非常に切ないが不思議と悲しい別れには映らない。
「今、万感の思いを込めて〜」というナレーションと共に旅立つ999。ゴダイゴの曲の入りがあまりにも良すぎる。
ここに来てようやく物語と視聴テンションが一致。まさに新たな旅立ちを万感の思いで見送るように、感情が溢れ、そして映画が閉じる。
見ている間はずっと振り回された気がするが、満足感は非常に高い。
映画全体がこのシーンに至るための助走だったようにも思う。キスシーンのために鉄朗のキャラデザを変えたくらいなのだから、制作側もこのラストは乾坤一擲だったに違いない。
終わり良ければ〜を体現するかのような体験だった。
・敵の振りをして一度鉄朗を攻撃するアンタレス。何でそんな事したの?
・特定の性癖に刺さりすぎるクリスタルガール:クレア
・クレアの破片を塵取りで集めて宇宙に撒く車掌。人の心とかないんか?
・惑星メーテル!終着星の名前でメーテルの正体が分かる演出お洒落ですね。
・少年の日の心の中にいた青春の幻影
