「松本零士の代表作」銀河鉄道999 vn0nvさんの映画レビュー(感想・評価)
松本零士の代表作
1970年代末の社会的価値観とテクノロジーの進化、そしてアニメ業界の成長期を象徴する作品。アニメ映画の新たな地平を切り開き、SFアニメが持つ「哲学的な奥深さ」を広く認識させる重要な役割を果たした999。松本零士という作家の戦争体験とそれに基づく深い哲学、時代背景、そしてアニメ業界の成長が結実した傑作。幼少期に太平洋戦争を経験した松本は、戦争の悲惨さや人間の命の儚さを強く意識し、それを創作の核に据えてきた。その視点から生まれた『銀河鉄道999』では、人間性の喪失や永遠の命への欲望が描かれ、戦時中の「人間の命の軽視」や物質的価値観への批判が込められている。
当時の日本社会が抱える消費社会の虚無感や技術の発展への不安も、この作品のテーマと響き合う。さらに、松本が敬愛した宮沢賢治の影響を受けた「銀河鉄道」という壮大な舞台は、戦争や復興を経て精神的な成長を求めた彼自身の人生観を反映している。
『銀河鉄道999』の成功は、単なるエンターテインメントを超え、松本が自身の体験と時代への洞察を作品に込めた結果である。この映画は、戦争を通じて見た人間の弱さと強さを背景に、技術進化の中で失われつつある「人間らしさ」を再発見するための道標を示しており、時代を超えて私たちに深い問いを投げかけ続けていく。
金田パース、青木の劇音楽、ゴダイゴの名曲もね
コメントする