疑惑のレビュー・感想・評価
全35件中、21~35件目を表示
野村芳太郎監督の実力がいかんなく発揮された傑作中の傑作です 私達観客は、もうただただ圧倒的な映画体験に感激するしかないのです
2021年の夏、もの凄い猛暑
もう集中力が持続しない
そんな今年の夏でも本作なら大丈夫
少し観始めたなら、あっという間にラストシーンにまで連れて行ってくれます
それ程面白い映画です
いくら暑くても集中力は途切れる心配はありません
まず松本清張の原作を新聞記者を主人公からはずして、被疑者鬼塚球磨子と弁護士佐原律子の対立構造にしたところがさすが!
しかも、佐原律子は後妻に敗れる二重構造も見事
桃井かおりと岩下志麻の配役が、何よりも本作を成功に導いています
この二人でなければこれほどの成功は有り得ないでしょう!
桃井かおり31歳、岩下志麻41歳
本当に惚れ惚れするような配役です
野村芳太郎監督の実力がいかんなく発揮された傑作中の傑作です
エピローグのラウンジのシーンは、恐らく富山の繁華街総曲輪の店と思われます
金沢の兼六園と覚しきところで後妻の咲江に夫だけでなく、娘までもとられて女としては完膚なきまでに敗北した律子
そして裁判に完全勝利した球磨子
彼女は女を武器にさらに戦い勝利すると敗者に向かって宣言し、律子の白いスーツに赤ワインを注ぎかけるのです
もう目の覚めるような永遠の名シーンです
日本映画のレジェンドと言っても良いシーンでしょう!
そして富山駅の特急加越のラストシーン
米原で新幹線に乗り換えて東京に戻るのでしょう
今は北陸新幹線でそれこそ腰を抜かすほど東京とは近くなりましたが、それまでは丹波哲郎の演じる岡村弁護士が飛行機で富山入りしたように本当に遠い遠い北国でした
球磨子を認めて好奇の視線を送るホームの人々
発車した車内でザマーと薄ら笑いを浮かべる球磨子、そしてエンドマーク
私達観客は、もうただただ圧倒的な映画体験に感激するしかないのです
柄本明が演じる新聞記者の秋山が、証人役の鹿賀丈史を案内した旅館は加賀屋でした
能登半島の先の和倉温泉の超有名旅館です
プロが選ぶ旅館の日本一を1977年から36年も連続受賞した旅館として海外にまで有名な所です
近年は海外の某国人ばかりとのことで評判を落としたと噂を聴きましたが、コロナ禍が収まったならぜひ一度は泊まりたい憧れの宿です
これは名作
桃井かおりさんと岩下志麻さんの演技に圧倒されました
法廷心理劇
被疑者及び弁護士と検察の争いではなく、被疑者・桃井かおりvs弁護士・岩下志麻との対決という構図の法廷心理劇だった。
悪女が活躍していた時代。女が男を操ってなんぼの時代だったのだと思います。過去を引きずってどことなく陰があるが、ぶちきれる性格の桃井かおり。そして、演技は極妻と変わらないほど冷たい表情の岩下志麻。前科4犯というだけで犯人扱いされ、遺族、マスコミ、警察全てを敵に回しているので、顧問弁護士だって辞任してしまう始末。そんな中、国選弁護人として岩下志麻が接見する・・・
ストーリーの構成も桃井かおりが白か黒かをはっきりさせるだけの単純なものであるのに、どこかに嘘がある被疑者や証人たち。神聖な法廷であるにも拘わらず、ふてぶてしい態度や野次や恫喝で証言を中断させたりする面白さ。拘置所で六法全書を読み漁って法律知識を身につけたはずなのに、腹が立つと見境がつかなくなる役は桃井のキャラにぴたりとはまっていました。
テレビ放映されたときに見てるのに、スクリーンで改めて観ると地元のロケ地ばかりに目が行ってしまいました。中心は富山県ですが、石川県も千里浜、和倉の加賀屋(『ゼロの焦点』のときからは建て替えられて綺麗になっていた)、兼六園等々のロケがあったようで、舞台は富山と石川の往復が激しかったです。昨年の『8月のクリスマス』では高岡と金沢がまるでご近所のように扱われていましたが、この映画では富山・石川がとても近くのようでした。岩下志麻が事故を起こしそうになったのは南新保の交差点。空き缶は車の足元に置かないようにしなければいけません・・・一度怖い経験しましたよ・・・
コミカルな部分もあるし、キャラクターのユニークさ、本当はどっちなんだ?と推理する面白さによって、『ゼロの焦点』のような北陸の暗さは全く感じられません。だけど、田舎ということを強調してたような・・・「富山は田舎じゃない!」という台詞が頭から離れません・・・
良い。上品。
オカマのバイブル
性悪女対氷の女
先日2時間のスペシャルドラマとしても放送されたが、やはりこの1982年の野村芳太郎監督作は素晴らしい。
数ある松本清張映画でも傑作の一つ。
ミステリーとしても法廷映画としても醍醐味たっぷりで見応えあるが、2人の女性の対比が興味深い。
桃井かおり演じる被告・球磨子と岩下志麻演じる弁護士・律子。
球磨子は高飛車・高慢で保険金殺人の容疑者で、今の言葉で言うといわゆるビッチ。
律子は弁護士として社会的地位も名声もある、いわゆるエリート。
裁判が終わり、2人の明暗も分かれる。
球磨子は自由になり、律子は子供と離れ離れになる。
手に入れた女と失った女。
裁判時は感情を抑え、弁護する者される者の関係だったが、本当はお互い生理的に大嫌いな女。
2人が対等な女同士として対峙するラストシーンからその関係がピリピリ伝わる。
女同士の愛憎渦巻き、プライドが火花を散らす。
全35件中、21~35件目を表示