劇場公開日 1982年9月18日

「二人の強烈な個性が放つ、まぶしいばかりの化学反応! 伝説となったクラブでの諍いシーンは、日本映画史に残る名場面」疑惑 コタツみかんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5二人の強烈な個性が放つ、まぶしいばかりの化学反応! 伝説となったクラブでの諍いシーンは、日本映画史に残る名場面

2025年3月27日
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興奮

知的

自分は「日本映画史上最強の化学反応」と勝手に思っているが、桃井かおりと岩下志麻という二人の強烈な個性がまさにバチバチと音を立て、激しい光を放ちながら物語をグイグイ引っ張っている。

怪演の桃井は、「アイツがやったに違いない」と日本中が確信する、前科4犯で夫に保険金をかけて殺した北陸一の毒婦・鬼塚球磨子。そして、彼女の弁護はしたくないと誰もが逃げ回る中で登場するのが、真っ白なブレザーで人を見下したような冷徹な目をした岩下演じる女弁護士だ。

人を食ったような球磨子が、顔を見るなり「あんたの顔きらいだなぁ」と言うと、「死刑になりたければ、断れば?」と眉一つ動かさない。この時の岩下の表情が、のちの『極道の妻たち』のあの役につながる、まさに氷のような美しさで、初対面シーンだけでもうゾクゾクしてくる。

本作は松本清張の原作で、これまでに何度もリメイクされているが、その名だたる女優が束になってかかっても、この2人にはかなわないのではないかと思うほど、2人の個性が作品にこれ以上ない魅力を与えている。いや、この2人にかかれば、松本清張のストーリーですらもただの背景となって後退し、かすんでしまう。

伝説となった最後のクラブでの2人の諍いシーンは、もう日本映画史に残る名場面であり、これを知らずして日本映画の何を語るのかというほどに何度みても圧倒される。

コタツみかん
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