CUREのレビュー・感想・評価
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自分は自分なのか
・犯人?の間宮が何も覚えてなくて何を聞いても瞬間的に記憶を失ってしまっているのか会話にならなすぎる状態が、もしああいう人がいたらイライラするだろうなぁと思った。そういう意味不明の人に操られてしまうなんてと思うと恐ろしい。多分、間宮も操られているっていう事だったのだろうけど、殺人までしてなくても皆、なにかしら操られているようなものな気がしてくる。
・役所広司が間宮と対峙した時に精神障害の奥さんをあんなお荷物とこれからもいなきゃいけないんだよって叫んだシーンがあぁやっぱそう思ってたんだなと共感した。夜中にコンビニ行って帰り道を忘れたり毎晩?空の洗濯機回されたりしてきつすぎる。
・うじきつよしが役所広司に会うたびにコーヒー飲んだりラグビーボール拾ったりしてるなぁって思った。
・この事件ってどうやっても解決できなかったよなと思った。考えた事なかったけど、対話できない人をどうやって裁く事が出来るのだろう、と思った。
萩原聖人の演技に吸い込まれる
どんでん返し映画を調べてたらHITしたので鑑賞。古い映画だったがまあまあ面白かった。良かった点は2つ。
1つめは、「催眠術での殺人が斬新だった」こと。
催眠で人を殺させる手法は見たことないので新鮮。ただ、ライターの火や水だけで洗脳できることに違和感。あんな簡単に人殺しまで誘導できちゃうもんなのか。催眠の知識ないし、かかったことないから何ともいえないけれど...。
2つめは、「萩原聖人の演技に吸い込まれる」こと。
気怠い感じの間宮(萩原聖人)に不思議な魅力を感じた。会話がまったく噛み合わないのが不気味で怖い。実際目の前に居たら催眠にかかっちゃいそう。
気になったのは、「終盤からの流れがよく分からなかった」こと。
最後のレストランシーンで店員に暗示をかけたのが高部(役所広司)だということは分かった。しかし、いつ高部が催眠を習得して、なぜ実行したのかが分からない。
質問を質問でかえすな
大抵の人間は「良い人」に見えそうに行動する。
しかし、どんな人間でも腹黒いところはあるのだ…的作品。
そしてそれを無理やりこじ開けられてしまうという恐ろしい作品。
いや、絶対に会いたくないそんな人
そんなこじ開ける人間、心の解放をする人間マミヤ
それを追う刑事タカベ
間に入る精神科医のサクマ
何件もの✖️付き猟奇殺人が行われている中、やっと尻尾が捕まるのが教師、警察官、医者の殺人が発覚してから。
サクマは言う、倫理的観念を持ち合わせている人間には洗脳はあまり効かないと。人殺しを悪だと思う人には生半可な洗脳は効かない。
しかし効いてるし!!!
みんな道徳、正義、命を救うを生業としている人々が殺人を起こす
あまりにもひどい催眠…途中で邪教とすり替わるがほんとに怖い。
マミヤは出会う人々に同じ質問をする
相手の質問を質問で返し、秒で忘れ再び同じ事を語る。
観てるこっちがイライラするのだから本人達はイライラMAXであろう
アンタの話を聞かせてよ。そこから催眠が始まる
心を揺さぶり、相手の本心を覗き込み、それを解放させる。それは殺人という形で。殺人まで手を染めらせるという事はかなり深く深く入り込み、こじ開けるだけでなくそれ以上の爆発を誘発している。
空っぽのマミヤ。
本当に精神病を患っていたのか
その心は誰にもわからない
ただ1人、タカベを除いて
俺の言葉が理解できるのはアンタだけ。
そんなタカベにあまり深入りするなと忠告する
作品きっての良心サクマ。
タカベは病気の妻のケア、正義感のある刑事として疲弊した毎日を送る。
妻が病院で読むのは「青髭」
心の病を持ってる人間が読むものかな?とは思うけど最終的には妻が夫を殺す話。
妻はタカベが帰るタイミングで空の洗濯機を回し、歯ブラシを買いに出て迷子になり心配させ、とどめは生肉だ。しかもご丁寧にきちんとセットされたテーブルで。
蓋を開けた時の生肉コンニチハはかなりゾワリとした。
妻もひょっとしたらわざとやっているのでは?とも思う
良き夫の殻を破りたかったのかもしれない。それとも青髭に閉じ込められた女の様に脱出したかったのかも。
タカベがマミヤを尋問するシーンはヒリヒリした空気がたまらなく息を飲む。
後半のライター火に水
催眠の合図…勝つのはどちらなのか
謎の廃屋にて邪教の教祖の写真を見る。
そしてマミヤを撃つ
思い出したか…
これでお前も終わりだ…
暗示の手を遮ってタカベはとどめをさす。
以前はファミレスで食事もそこそこに食べることができなかったタカベ。
妻もサクマもマミヤも死亡した今、綺麗に肉を食べ終える。
空っぽの伝道師マミヤ
中身の詰まった伝道師タカベ
タカベはより強い伝道師として生きていく。
ファミレスでこれから起こる惨事
刑事である彼は無敵の伝道師。
アンタの話を聞かせてよ…
そんな事を言わなくても洗脳ができる。
あー、怖かった。
視聴2回目だけど、なかなか名作だなぁ。
シュール描写、必要?
途中のバスシーン、要るかなぁ?
刑事が癒しの伝導者になるっていう大枠は、とてもいいと感じたが…。なぜ、夢?妄想?みたいなバスの描写挟んだんだろう。そこなくても成立する話。そのシュール描写のために、現実と虚構が曖昧になって、興が削がれたなあ。刑事(正義)が殺人犯(悪)に転じて、それが密かに社会に広がっていく、怖い【現実】というオチだから面白いのに、【妄想=非現実】の可能性を示唆したことにより、最後の店員さんへの暗示シーンも、リアルなんだか虚構なんだか、旨味を薄める仕上がりになってしまっている。
「蛇の道」のときも意味不明な女児のワン・ショットがあったが、なんかそういうのが好きな監督なんだろう。
黒澤清の作家性が娯楽性と高位で交わる
黒澤清監督といえばショットが力強い人だ。その強すぎる画力が作品とマッチしていないときがあり、各方面から評価の高い人だと知っていても、もう観ないと誓った監督さんでもある。
それでも、この作品は評判がいいし観ておこうかと勇気を出したのだが、非常に満足できる面白い作品だった。
他の未見作品にも手を出すか現状では分からないが、黒澤清監督を好む人の気持はよく分かった。
殺風景で、乾燥したような画が続く。人物が映っていたとしても画面の中に命を感じないんだ。パワフルであるのに死んでいるような画はディストピアもののSF作品かのようだ。
この生命力を感じない無機質な画と対照的に、萩原聖人演じる間宮が催眠の引き金に自然物を使うのがいい。
風景として多少の自然が映り込むことはあっても、印象的なのは間宮の火と水だけである。
この対比だけでも既に面白い。
しかし本当に娯楽性を牽引するのは静かなミステリーと静かなサスペンスなのだ。
全く不可解な事件から始まり、被害者を増やしていきながら同時に間宮の行動がわかってくるストーリーテリングは見事。
先に結果があり、その後に別の被害者を映しながら間宮がやっていることを見せていく。
そしてその中に主人公である高部も呑み込まれていく。
明白な「催眠の方法」が分からないゆえに、いつどこで誰が悲劇に見舞われるか分からない恐ろしさは並のサスペンスの比ではない。
会話が成立しない謎の男間宮のキャラクターもいい。
こいつが謎すぎるせいで細かいところはどうでもよくなるし、全てがファンタジーかのように(映画だからもともと虚構だけど)思えてもなお現実味を感じる怖さがある。
結局「分からない」ことだらけにもかかわらず「分かった」ように感じさせてくる空白の絶妙さが素晴らしいのだ。
黒澤清監督の作家性が恐ろしいほどにフィットした娯楽度の高い作品。観てよかった。
本当にあったら怖いよね
犯人の催眠殺人が、次から次へと伝播していくので、見ていて気持ちが悪い。最初の方、千葉の白里海岸で記憶喪失を語る若い男性を自分の家に入れるかなって思ったが、映画の話なので。警察官やら精神科など専門家が簡単に催眠にかかって、人を殺してしまうのが、恐怖を煽っていた。警察の取り調べも、犯人の間宮が催眠を使っているのなら、会話を控えるとか、集団で取り調べするとかしそうだけれど、犯人の話術や絶妙な無視の仕方が利いていた。最初の方では、催眠に導入する道具として、ライターの火とか水が流れるとか関係あるのかなって思ったけれど、全てで使われているようにも見えず。犯人の意図も、催眠の手法もわからないから怖いっていうのを利用しているかのよう。でも、高部の妻が死んだのは自分でなのか(誰かが載せて押しているように見えなかった)、最後のレストランのウエイトレスがナイフをもって何かしようとしたのも、高部と接触しただけによるものなのか不明。ここも、よくわからないから怖いっていうのを利用しているかのよう。
高瀬は、どこからどこまでが催眠にかかってのものだったのか?逃がしたこと、廃屋に導かれたこと、間宮を殺したことは催眠によるものか、或いは自分の意志か。廃屋の蓄音機に残っていた音声が彼を伝道師にしたのかなど、不明が多い。
人は、よくわからないものを怖いって思うけれど、頭を整理してみると、催眠で可能って思える映画だった。本当にそんなことが可能だったら、怖いよね。
後味の悪さがクセになる!
役所さんフィーバーが来ていたので観賞。
昔のミステリーサスペンスなので些か不安でしたが、後味の悪さが最高でした。
萩原さん演じる間宮の狂信的な思想の持ち主。明らかにおかしいのについ聞き入ってしまう穏やかな語り口で聞き手の心を暴き、脅迫めいた言葉で心の奥底にある狂気を認識させ、更にその狂気を発散することで救われると思わせる…そうして多くの人間に心を爆発させる。ところが間宮自身はそれを救いと信じて疑わない。サイコパスとはまた違う、「何かを心底信じ込むと狂気になる」という気味悪さがありました。
旧題は「伝道師」だそうで、まさにそれでした。あの独特な会話術(何度も同じことを言わせたり、脈絡のない質問をしたり、急に的をえたことを言うなど)は観てる側もあっという間に飲まれてしまいました…。
役所さん演ずる高部は刑事として悪を憎み犯人を追う。しかし苦難の末ようやく逮捕した犯人が神経衰弱などを理由に適切に処罰されない現実に不満抱き、更に心を病む妻に関する悩みは尽きない。それでも間宮の言葉に最後まで抵抗しますが、結局は自分が伝導者となってしまう。この役柄を演じた役所さんは素晴らしかったです。悪を憎むと言う刑事ならではの性格を持ちつつも、段々と蝕まれていく姿を見事に表現していました。
うじきつよしさんはやっぱり良かった!高部を心配し元気づけ、捜査にも協力してくれる良き友。すでに間宮に掌握されていると分かったシーンは鳥肌が立ちました…
ラストの「癒せ癒せ」コールは本当に気持ち悪くて、役所さんの覚醒したような表情も相まって後味の悪いエンディングでした。
難点を挙げるとすれば、途中グロかったことと、旧題の「伝道師」が無いと物語の本質が伝わりにくいのではと感じた事です。
人間の本性
前から見ようと思ってた黒沢清監督のこの作品。
アマゾンプライムで借りてみました。
1997年の作品ですけど、古さを感じさせません。
話としては、割とこの時代によく映画で扱われてたサイコスリラー(サスペンス)系。
「催眠術」がキーファクターになってますが、逆行催眠などはできたとしても、バツ印の殺し方まで伝道できるってのは、まぁ、演出でしょう。ただ、作品の中で登場人物の精神科医である佐久間が語っている「催眠状態でも人の倫理観は変わらない」というテーマが、この作品に深い意味を与えているように思います。
つまり、「実は人間は、殺人を行ってはならない大罪だと思っていない」。
あくまで間宮はキッカケでしかなく、問題は殺人を犯してしまうその本人にある。
おそらく監督はそう言っているのでしょう。
事実、この作品で催眠状態に入った普通の人々が殺人を犯している。
これが人の本性。
私もこの考えに賛同します。
犯人は社会的地位の高い人が多かったですが、それは「抑圧の深さ」を示してはいるものの、この本性という意味では大差ないでしょう。
人間は、直接的には行わないとしても、間接的に「他人を殺す(傷つける)」ことを厭わない。
2020年現在、ネット中傷で他人を平気で傷つけたり、自粛警察やマスク警察などを行う人たちを見ると、この本性が透けて見えてくる気がします。
話の流れとして、主人公の高部が新しい伝道師になっていく過程は面白いですが、それほど興味は惹かれませんでした。まぁ、最後20分くらいは雲の中のバスシーンなど、半分現実、半分白昼夢、みたいな感じでしたが。最後の喫茶店のシーンはタバコの火でウエイトレスを操ったのかな?奥さんをどう殺したか、など含めて、その意味をミステリーとして考えるのは面白いですが、些末な話でしかないでしょう。
しかし、タイトルが「CURE(癒し)」というのは興味深い。たしかに、社会システムの法外に出るのは「癒し」になるでしょう。それだけ、コンプライアンスやポリティカル・コレクトネスなど、現在社会がシステム内部に閉じ込められてしまっている。
何度か重要なシーンを見返しましたが、2回くらい観てようやく色んな伏線に気付ける、サスペンスとしても上質な作品です。
黒澤監督の他作品も、もっと観てみようと思います。
面白かった
オカルト(神秘)は神ではなく人間が作るのであり、それ故に人間特有のありとあらゆる欠陥(狂気)、歪んだ欲望が噴き出る。能動的ではなく受動的に。
「あんたは誰?」と問われて、肩書きと名前以外に答えられる人はいない。
そして「あんたの話を聞かせて」と誘導されて、人格を侵食される。
侵食された人間の精神と肉体は切断される。切断されている間は意識(記憶)がない。その間に、ストレスや鬱憤の源に対してXの鉄槌を下すのだ。欲望を解放することで心を癒す恐怖の治療法。
しかし高部は侵食されなかった。白昼夢で自分の欲望を認識し、生肉を投げ捨てたあたりから、肉体にまとわり付く意識を自分で取り払った。
そして、空飛ぶバスでしか行けないあちら側の病院で、蓄音機の言葉(伯楽陶二郎による『癒せ、癒せ』)に導かれた高部は、間宮を引き継ぎ、新たな伝道者となった。
侵食されず、能動的に能力を手に入れた高部は、精神と肉体が鎖で繋がっているので、記憶喪失にならない。
心の負担の源である妻から解放され、すっかり食欲も戻った高部。ファミレスで旺盛に食事を済ませ、仕事も充実。ピースに火を点け(トリガー)、コーヒーをすする。
ナイフを下げるウェイトレスに「癒し」を施した?
首から胸のあたりX字に切り裂かれる殺人事件を追う高部刑事が役所広司...
首から胸のあたりX字に切り裂かれる殺人事件を追う高部刑事が役所広司。場所も被害者も共通点はないが3件続いて起きたところから始まるストーリー。
その後も同様の事件が続くが殺す前に間宮(萩原聖人)と出会っていたということがわかる。加害者に記憶がないことから催眠を疑って精神科医の佐久間(うじきつよし)に協力を求む。
不気味な雰囲気の中、淡々とすすんでいく。
間宮がメスナーの論文を書いていて邪教の本にのめり込んだのは明らかだが、村川スズの記録フィルムを見たかどうかはわからないことになっている。...バスルームの猿のミイラのX字を見るとフィルムから間宮自身が催眠暗示にかかったともとれなくはない。
催眠暗示としてきたが、もともとは催眠療法であり、人間の心の奥底にある憎悪を解き放つことが癒し。憎悪の原因である対象を殺すことで癒されるみたいな恐ろしい話でもある。
天井から滴り落ちる雨漏りの水で高部刑事に催眠をかけたのは明確で、妻が死んだのもそういうことなのだろう。
最後ウェイトレスはナイフを持つが間宮とは接していない。伝道師としての間宮が高部刑事を伝道師にかえたともとれる意味深ラスト。
20151115 スリラー?ホラー?ミステリー?
初視聴。黒澤清監督作品はこの映画初めてなのですが、独特の世界観に引き込まれました。前半は普通の刑事物?かと思いながらも、後半は謎のショットや展開で頭がクラクラに、、、視聴後は、自分が催眠術にかかったような錯覚に陥りました。一番怖いのは人間、ということなのかな。これはこれでハマる人もいる気持ちがわかりますね。
面白い
以前にレンタルのVHSで見たときは全然意味が分からなくてとにかく退屈な印象だったのだが、今回久しぶりに見返したら割りとシンプルなストーリーで面白かった。そういうものだという覚悟で見たせいか退屈もしなかった。なぜ萩原がそんな活動をしているのか、意図がそもそもないのかもしれないが、意図が不明でそういった説明を投げっぱなしにしているところも堂々たる感じがしてよかった。映像で見れば伝わることもわざわざ言葉で説明する邦画がとても多いなか、非常に志の高い表現に歓心した。
これまで黒沢清監督作品はとにかく退屈で苦手だったのだが、見返してみたくなった。
(追記)
10年ぶり3回目。ワンカットの長回しが多くて今回もよく眠って3回に分けて見る。萩原聖人は狂っていて、殺人教唆の洗脳を無意識にやってしまう感じのようだ。
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