「商業ベース」機動戦士ガンダムF91 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
商業ベース
商業ベースに乗せつつ、定期的に長編アニメーションを発表し続けていく難しさについて、考えてみた。魅力的なキャラクターを生み出す安彦良和や、作品ごとに違うアプローチで富野劇場を展開していく監督、そして、バンダイとすり合わせをしながら劇中のモビルスーツを商品化していく展開を進めていくデザイナー。
ロボットアニメという、特異なジャンルが行き着いた、ひとつの理想形と言えるのだと思うのだが、それと、映画が面白いかどうかというのが、別のベクトルにあるのが残念でならない。
例えば、興奮して大満足で劇場を後にして、「あー面白かった。ところで、あのヒーローが乗っていたクルマって?」と思って、調べてみたら、アストンマーチンだった。というのと、真逆のアプローチなのだ。商品のプロモーションありきで、よくできたドラマを見せられたところで、所詮はまがい物。
『機動戦士ガンダム』が優れていたのは、その日本式アプローチが、何人かの限られた天才によって奇跡の融合を果たしたことにあった。同じ奇跡は、二度と起きない。でも、「ガンダム」の名を冠し、「モビルスーツ」が出てくるアニメーションに、商品化を前提に製作費が集まり、時の才能が集められる。そうして、定期的に長編の劇場アニメーション作品を発表し続けるのは、毎年つながりのない別の作品を制作していくことよりも、容易いに違いない。
商業ベースで、発表され続ける宇宙世紀の物語は、最初の一年でとっくに終わっているのに。
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