劇場公開日 1988年3月12日

「【シャアという呪縛】」機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【シャアという呪縛】

2021年4月18日
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改めて、ドルビーシネマで鑑賞したが、僕はやっぱり、この作品はあまり好きではない。

いわゆる「ファースト・ガンダム」の良さが消えてしまったどころか、赤い彗星シャアを、ザビ家のような存在に貶めてしまった感じがするからだ。

更に、この作品上映後しばらくして発生した一部のイスラム教原理主義の引き起こしたテロやIS建国、国内で発生したオウム真理教の複数のテロを考えると、仮にシャアが環境問題を提起していたとしても、内容は稚拙だと感じるようになった自分がいるのだ。

本当は汚染問題を概念的なところに留めず、具体性を持たせるべきだと思うし、核を利用した惑星落下は更なる地球汚染に繋がると感じたのは僕だけではないと思う。

クェスの扱いも、改めて観ると、ISやオウム真理教のやっていたマインドコントロールのようにも思える。

ニュータイプだから何でも良いと云うわけではあるまい。
ニュータイプである前に人間としてどうあるべきかを示すようなストーリーであれば違った印象になったのか、想像で語るしかないので無責任だと思うが、このままでは物語の後退だと思ってしまう。

「ファースト・ガンダム」では、シャアはザビ家への復讐を第一としながらも、アムロ達と共有する想いがあったように思う。

戦いの中で命を落とす戦士にも背景があって心が震えたように覚えている。
セイラ(アルテイシア)の願い、ララァの願い、アムロの願いは、シャアに通じていたはずではなかったのか。

ブライトとミライの息子が主人公となる「閃光のハサウェイ」に通じる物語としてのリバイバル上映だと思うが、「逆襲のシャア」は、エヴァ「:序」のようにリビルトしても良かったんじゃないかくらいに感じてしまった。

本編後10分ほど上映されたハサウェイの物語は、「閃光のハサウェイ」の一部なのだろうか、それとも、別の導入部なのだろうか。
作画は随分進化したと同時に、繊細なタッチは、印象を随分変えてしまったのではないかと少し心配にもなる。
小説の原作も未読なので、期待半分、心配半分といったところ。

ワンコ