「これ一本ではどうにも評価できない」機動戦士ガンダムI うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
これ一本ではどうにも評価できない
記念碑的アニメシリーズの全ての始まり。厳密にはテレビシリーズの再編集で、映画用に一部リファインされているが、第一部であるこの映画は、嚆矢として世に放たれ、好評を受けて続編の製作が決まったという背景があり、まだ製作手法が確立されていない。
というのも、その手法が結実した『めぐりあい宇宙』編では、大幅な加筆修正が施され、テレビシリーズでリタイアした安彦良和が手を付けなかった部分を贅沢に作り直している。
この映画が公開された時には、すでにその続編の製作がスタートしたばかりで、おもちゃ屋さんに要望されて登場させたGアーマーを出さない方向でリファインが進み、新作カットとしてファンの目を楽しませてくれた。どちらかというと一般の観客まで取り込んだ社会現象には、なり得ていない印象だった。
とにかく、このまま単体の映画として製作がストップする可能性を秘め、そろりと発信したので、新作カットも「おまけ」程度。主題歌は、暗く重たい『砂の十字架』しかも、レコード会社の関係で、谷村新司本人が歌わずに、やしきたかじんという、当時は無名だったのでパッとしない印象の映画に収まった。
内容は、一年戦争のコロニーから大気圏突入。北米大陸でのガルマ・ザビ特攻からのジオンの英雄としての国葬までで終わっており、アムロ少年の成長物語としては、非常に中途半端な内容。シャア・アズナブルの復讐劇としては第一部・完といったところで、仮にこの映画だけを見て、ガンダムを卒業してしまった人がいるとしたなら、非常に尻切れトンボの印象しかないであろう。
『哀・戦士』編『めぐりあい宇宙』編まで続けて見て初めてお話が完結するようにできているのだ。
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