機動警察パトレイバー2 the Movieのレビュー・感想・評価
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日本は幻想からいまだに醒めてない
この映画の公開が90年代前半で、PKOで自衛隊が死ぬところから物語が始まるわけだが、当時のアニメ映画は、現実の社会問題をそんなにダイレクトに反映していたのだと、改めて見直して驚いた。ちょうどPKO派遣問題と憲法解釈問題が大きく議論されていた時期にその議論のど真ん中を行くような内容だ。
日本の戦後の反映は結局アメリカの核の傘のおかげで、世界にある戦争の現実に向き合わずにすんだから達成されたにすぎない。そして、そんな他国の犠牲の上に成り立っているという見立ては強烈に鋭い。この映画の公開から随分月日はたったが、いまだにこの国は世界の現実に向き合うことができていないのではないかと思う。この映画の問題提起は2021年現在も十分に通用するものだ。
映像の完成度も極めて高い。一枚絵で部屋に飾りたくなる美しいショットがたくさんあって見惚れる。
「まともでない役人には二種類の人間しかいない。悪党か正義の味方さ」
中間管理職の憤怒と悲哀が溢れる作品。前作で松井が、本作で後藤が口にする「正義の味方」という言葉がテーマだろうか。別の言葉を探すなら「貧乏くじ」だろう。
古く大きな組織というのは、上に行けば行くほど多様性を失うように思う。それは、組織への忠誠心を試す踏み絵のようなステップが幾つも用意され選別されていくからだろう。
自立思考できる者、自立思考に目覚めた者は途中でふるい落とされ、そこに悪党と正義の味方がいる。そうして考えると、悪党と正義の味方は共鳴しやすい危うい関係に思える。
進士が妻に言った「行かなきゃ、仕事より大事なものを失っちゃう」という一言は、その危うさと同時に意思の大切さをとても良く表している。(家族にとっての正しいが何かは別物だが…)
一方で現場は、忠誠心溢れるまともな役人達によって歪められていく。その様子は後年の大ヒットドラマ、踊る大捜査線へと繋がるものを感じる。後藤と南雲が呼ばれる会議シーンなんかは、誰もが青島のあの名台詞を思い出すのではないか。
そんな茶番のような会議から二人が逃走するところから、物語は一気に加速する。南雲に「今降りちゃ駄目だ」と伝える後藤。彼と榊の周到な準備が功を奏し、激しい闘いの末に南雲が柘植を逮捕する。指を絡ませ見つめ合った後で、互いの手を手錠で結ぶ南雲と柘植。必要な時に隣にいられなかった後悔を繰り返したくないということだろうか。その様子を離れたところから呆然と見つめる後藤、なんて無情な結末だろうか。
二人を見送った後、駆け寄ってくる第二小隊の初期メンバーを眺めながら「結局俺には連中だけか」と呟く後藤を見て少し救われた。しかし同時に、彼らを失うことがあれば後藤は柘植以上の事件を起こすのではないかという怖さを感じた。
…
街中に戦車が配備され「いつ何が起こってもおかしくない状況」という中で、淡々と続く日常。市民や自衛隊員の描写は、現実でもこうなるんだろうという納得感があって恐ろしい。こんな表現は実写にはできないアニメならではのものだと思う。
どまんなかアニメ映画祭にて見てきました
名古屋で行われた、どまんなかアニメ映画祭にて久々に見てきました。映画以外の情報が嫌いな方はここからは読まないで下さい。
見始めてすぐにサウンドリニューアル版と分かりがっかり。私はオリジナル音声派なので。採点のー1はこの分です。
映画自体はもう何も言う必要が無いくらいに超名作です。これをサリン事件や911の前に作ったというのが信じられない。(でも、後だとさすがにあれやこれやのシーンは作れないでしょうけどね。)
リアルロボット物の究極にして最後の1作だと思っています。オーバーテクノロジーや魔法を使わない、現代の技術の延長という意味でのリアルロボットでは、墓標のような映画かと思います。(純粋に軍事的に考えると巨大戦闘ロボはナンセンスという意味で。)
映画の後のトークショー(メカデザの出渕さんと脚本の伊藤さんという超豪華なお二人!!)で、出渕監督が「リアルとリアリティは違うんだよ」とおっしゃっていたのが印象的でした。作り手はみんな分かった上で、何とか本物らしさを出そうと頑張っているんですね。
トークショーの話はめちゃくちゃ面白かったのですが、(主に人間関係の)やばそうな話が多くて、これ以上はやめておきます。
最後に、柘植がテロを起こした動機は「戦争という空間を作って見せたかったから」。誰に見せるのか?東京都民か、日本国民か、なんて昔は考えていましたが、柘植という男はすなわち押井監督で、見せたかったのは、視聴者だったんですね。「僕らが謳歌している平和は、外国の戦争の上に成り立ってんだよ」と。その上でこの国がどうなるのか、「もう少し見ていたい」と語っていた。あれから30年・・・、幸いな事に911のような血の代償を払う事なくゆっくりと老衰しつつあるこの国の姿は、押井監督の目にはどう映っているんでしょう。それともまだ成就していない予言なんでしょうか。
『この国はもう一度、戦後からやり直すのさ』
1990年 インターネット、デジタルハイビジョン 国際連合平和維持活動
1991年 湾岸戦争
1992年 ボスニア・ヘルツェゴビナ
1995年 地下鉄サリン事件
1995年 Windows95
2001年 同時多発テロ事件
このアニメは現時点での日本国憲法ではあり得ないクーデターの話。しかし、軍隊を持てば、日本だけがあり得ない話ではない。実際、冬の雪の日に、同じ東京でそれがあって、第二次世界大戦へと大日本帝国は進む。
バブルは崩壊して、日本は、現在まで何もかも下降する一方。軍事力を増大させる事が国力ではないと、このアニメの『つげ』の様に、まだ分かっていない。
『この国はもう一度、戦後からやり直すのさ』
『日本の平和は作られた平和ボケかもしれないが、この戦いも作られた戦争。この街はリアルな戦争には似合わない』
『もう少し、見ていたかったのかもしれないな。この街の未来を』
海外では非常に評価が高く、国内では大多数から酷評されている作品
それはこれだけの大作のレビュー数が100に満たないことでも良く分かる。
まあ、無理もない。
この映画では主人公の特車2課の面々はほぼ脇役以下に追いやられ、ようやく彼らが活躍し出すのは後半以降。
つまり、この作品の本題はパトレイバーの活躍ではなく、パトレイバーという基本設定の中で、日本の抱えるタブーや暗部を「真正面から斬る」ことにあり、だから観客は「何だこれ?」って話になるのだろう。
ただし、それでも制作陣からすれば「まだまだ言い足りない部分」が多くあったのだろうし、押井作品は制作段階でお蔵入りなんて事も何回かあり、今回もそういう、親会社とのギリギリのせめぎ合いの中で「作られた感」が滲み出ている。
とにかく押井作品はいつも同じで「虚構と現実」を、どの様にして作品の中に映し出すのかに終始する。
今回は柘植行人(告げゆく人)という元自衛官が起こした、自衛隊機(実態は日本で軍拡を目論む勢力の教唆による米軍機の使用)の横浜ベイブリッジ爆破がきっかけとなり、物語が進行していく。
その後は事件に驚愕しつつも、あくまで表面的な体面のみを守ろうとする警察、自衛隊、そして政府が、互いに責任を押し付け合い、キリキリ舞いさせられ「柘植の思惑通りのド壺」に落ち込んで行く様が、非常にリアルに描かれている。
国民の生命財産よりも、自分たちの体面や利益を何よりも優先する。
この辺りは昨今の統一教会騒ぎやコロナ対応などを見ると、今も全く変わっていない気がする。
劇中で特に印象的なのが日常と戦争の対比だ。
万策尽きたと考える日本政府が、何気なく警察と自衛隊をすり替え「治安出動」という名の「実質的な戒厳令」を敷いても、日本人は何事も無かったかのように満員電車に乗って出勤し、完全武装した兵士や戦車の横を、無表情で通り過ぎていく。
国がやることだから自分には関係ない。それより自分の生活が大事なの。だからそれ以外はどうでもいいの。ゴチャゴチャうるさいな。見たくない物は見なければいいじゃん。
もちろんこの状況は柘植の思惑通りであり、これで自分の息の掛かった反乱部隊を、何時でも動かせる状況になった。
こんな事は一番最初に想定しなければならないことなのに、政府は全く考慮せず、思考停止のまま事態を悪化させ、首都東京は「なし崩し的な内乱状態」へ突入してしまう。
もちろん、よくよく考えると「整合性の取れない部分」は多く、色々とアラも多いが、それでもこの作品をリアルに感じるのは、この日本という国が現実と虚構の「区別が付かないままに」何故か国家として成立してしまっているからだろう。
劇中でも言われるが「何もしない国民」が大多数である限り「彼ら」は安泰であり、いつかこの映画に描かれたことが現実化する日が「来る」のかも知れない。
押井だ・・・・・
良くも悪くも押井守。
前作がまだパトレイバーとして作る意味は有った様に感じるが、これをパトレイバーで作る必要が有ったのかなぁ。野明と遊馬は篠原重工に開発で出向。特車の基地?に残っているのは両隊長とひろみちゃん。整備班もシゲさん以外は確認出来ず。
物語も南雲の昔の恋人と言うか不倫相手が起こす、テロに掻き回される自衛隊と警察。南雲が昔の不倫相手に未練があるのか無いのか、それを気にする南雲との距離を縮められない後藤。と言う中年のラブロマンスにも見える。
現役のパトレイバー部隊は活躍するコト無く、ヘリ一機の奇襲で全滅。後藤が隠していた機体で旧メンバーが最終盤にようやく出動。数分です。
キャラデザインも一応、ゆうきまさみの名前が残っているが、野明と遊馬は誰?って感じだし、南雲緒・後藤も面影は残っているけど疲れたオバサンとオジサン。遊馬ももはや警察に所属している必要無く、実家の篠原重工に転職した方が早くね?って状況と、終盤のパトレイバー出番前の躊躇。
世間的には、やはりコミック版やOAVでのゆうきまさみデザインらしいキャラとストーリーがパトレイバーのイメージ。
この設定だったら、パトレイバーと言う看板を使う必要無かったんじゃないだろうか。作品としては悪くないだけに、「でも、見たいのはパトレイバーなんだよ」と言うジレンマが。
戦後平和主義に正面きって挑戦した最高傑作
1 本作のテーマ
第二次大戦の敗北により、戦後日本は憲法第9条を中核とする平和主義を絶対的な枠組みとして統治機構が構築、運営されてきた。
それは日米安保を裏付けにしたものであり、換言すれば外交・安保はすべて米国に依存しつつ、経済的繁栄のみ追求する「普通でない国」の歴史だったと言える。東西冷戦体制があったから、それでも差支えなかったのだ。
しかし、本作が公開される4年前にソ連は崩壊、東西冷戦体制は終焉を迎えた。世界情勢が流動化し始めた中、日本は戦争を絶対悪とする戦後平和主義のぬるま湯にいつまでも安穏としていていいのか、という問題提起が本作のすべてである。
2 ポリティカル・シチュエーション・ムービー
冒頭の国連PKOに参加した自衛隊のシーンでは、PKO参加五原則により武器使用が正当防衛等に限定される中、それを硬直的に運用した指令官の武器使用不許可により部隊を全滅させる柘植が描かれている。憲法9条は国際紛争に無力であり、柘植はその犠牲者である。
その怨念を秘めつつ、柘植は日本の安全保障体制の改革=世直しを目指すグループを自衛隊内部に結成し、偽装テロによる安保意識覚醒を目指す。
それはきわめてラジカルなもので、ベイブリッジ爆破から航空網寸断、さらには主要権力施設の破壊にまで及び、さらに生物兵器で首都全体を脅威に晒すものであった。この過程で治安維持や安全保障といった国家システムは大混乱に陥り、挙句の果てに米国の介入通告さえ招くにいたる。
その混乱から日本の安全保障体制が再構築されることを期待する――おそらくはそれがグループの狙いであり、柘植の怨念の解放と願望だと思われる。
偽装テロを仕掛ける柘植の戦略は周到であり、これに対峙する後藤たち特車2課もキャラクターが鮮やかで、テログループの存在感が薄いほかは、文句のつけようがない。
3 戦後平和主義体制批判の論理
押井守は見事なレトリックを駆使して平和主義日本を批判する。以下、登場人物のセリフから戦争・平和論議をみてみよう。
〈荒川:俺たちが守るべき平和…だが、この国のこの街の平和とはいったい何だ? かつての総力戦とその敗北、米軍の占領政策、ついこの間まで続いていた核抑止による冷戦とその代理戦争、そして今も世界の大半で繰り返されている内戦、民族衝突、武力紛争…そういった無数の戦争によって構成され、支えられてきた血塗れの経済的繁栄。それが俺たちの平和の中身だ。
戦争への恐怖に基づくなりふり構わぬ平和。正当な対価をよその国の戦争で支払い、そのことから目を逸らし続ける不正義の平和。
後藤:そんなきな臭い平和でも、それを守るのが俺たちの仕事さ。不正義の平和だろうと、正義の戦争よりよほどマシだ。
荒川:かつて正義の戦争を口にした連中に碌な奴はいなかったし、その口車にのって酷い目に遭った人間のリストで歴史の図書館は一杯だ。だが、正義の戦争と不正義の平和の差はそう明瞭なものじゃない。平和という言葉が嘘つきたちの正義になってから、俺たちは俺たちの平和を信じることが出来ずにいるんだ。
戦争が平和を生むように平和もまた戦争を生む。単に戦争でないというだけの消極的で空疎な平和は、いずれ実体としての戦争によって埋め合わされる。そう思ったことはないか?〉
荒川が指摘するのは、世界が緊密につながる中、日本の経済的繁栄は同盟国等の兵士が生命を懸けて贖ったもので、平和主義は偽善だということである。
これに対して、偽善の平和でも生きていた方がましだ、と後藤は反論する。
荒川の再反論は、日本人もPKO活動のように戦争に関わらざるを得なくなっていくし、本当は誰も信じない偽善の平和はやがて自ら戦争をまねくというのである。
また、ラストの戦闘シーン前には、次のような会話が交わされる。
〈後藤:この街はリアルな戦争には狭すぎる。
荒川:戦争はいつだって非現実的なものさ。戦争が現実的であったことなど、ただの一度もありゃしないよ。〉
後藤のセリフは、日本人にはまだ差し迫った対外的な危機意識が存在しないという主張だろう。対して荒川は、戦争は個々人の意識と無関係に勃発するのだ言っているようだ。
これらの受止め方は見る側の政治意識により大きく変わるだろうが、評者はもちろん荒川の意見に全面的に賛同する。後藤が荒川より説得的とは言えまい。
4 評価
本作は押井守の最高傑作である。これ以前にもこれ以後にも、本作以上の映画は撮れなかったし撮れないと思う。
ちなみに本作から28年を経た現在も、政府の自衛隊敵基地攻撃能力に関する公式見解は、「自衛隊は、現在、敵基地を攻撃することを目的とした装備体系を持っていないことから、敵基地に対し軍事的に有効な攻撃を行うことは、現実の可能性として極めて難しい」と、お花畑状態である。押井の戦後平和主義体制に対する問題提起は、いまだ有効と言えよう。
東京で戦争をするには
10代で観たときよりも500倍は面白かった。
登場人物たちが東京で戦争をする目的と、押井守がこの映画を作ること(東京で戦争する映画を作りたい!)が完璧に一致していて、その強度がこの映画の骨格となっていて実に見事だった。
この屁理屈の虚構こそ、映画、の作家性に思う存分浸った。
自衛隊の内部クーデターを描いた衝撃作...だけではない?
まあ簡単に要約すると自衛隊がアメリカ軍を偽装してテロ行為を起こし軍事蜂起を促そうとする内部クーデターを描いた作品です。
憲法改正とかにも関わる内容でしょう。
私は完全な文系人間であり、理系の人の言うことはよくわかりません。
ただこの作品のリアルさ、とくにテレビ制作会社のあのいかがわしい雰囲気には明らかに何かしらのメッセージがあると思いました。
自衛隊、テレビ製作会社、警察、内閣、国防省
暗躍する官僚たち
私は正直申し上げると、ここにさらに電通あたりが関与した内容ではないかとこの映画を観て推察をするわけですが、
そこはいろんな理由であまり明確には描けないのだろうなと...
描かないことで描いてるのではないかと思えたんです
映像に対する不信感、映像を、広告をそもそも手がける広告代理店への不信感というものがこの作品の背景にあるのではないかと私は考えます。
現在もまだ広告の中心は映像になるわけで、その映像を作るのが広告代理店の仕事であるならば、その代理店の主な取引先って絶対に開示されない上に、広告ってとても曖昧で危険な商品だという認識はあまり一般化していない。
テレビ制作マンの担当がこういいます。
"うちが編集したんだから、そりゃ観てますよ"
誰が編集することを指示したんでしょうかね。
そこをこの作品は描いておりません。
後藤隊長の
"混乱させることこそが目的"
というのもとても示唆的である。
まるで電通の社訓のようではあるまいか...
とても尖ってる作品である。
世界中のクリエイターが衝撃を受けた
現在に至るまでリアルロボット映画でNo. 1と言われ、国内でも大量のフォロワー作品が出た、ポリティカル・ロボットアクション映画。
【ストーリー】
自衛隊員に犠牲者が出たPKO活動中の襲撃事件から日本に戻り、あの地獄を現代日本に再現したいと願う柘植という知的テロリストと、それを阻止せんとする我が特車2課の面々。
かつて柘植と許されざる仲だった南雲警部、その暗躍に心揺れ動かされる一方で、徐々に柘植の陰謀に肉迫する後藤と荒川。
すべてが詳らかになり、最後の戦いへとおもむく南雲の側には、現場後方に分散されていたはずの第二小隊のあのふてぶてしい面々が。
この映画を絶賛するクリエイターの列挙やその発言内容はウィキペディアに譲りますが、こんな物語が作れるのかと、正面からノックアウトされたような衝撃であっただろうことは想像に難くありません。
もしもあなたがクリエイターなら、この映画を初めて見たときのあの胸の焦がされるような嫉妬を楽しみつつ、いやー押井守監督がテロリストでなくてよかったよかったと胸でも撫で下ろし、さあどうぞこの歴史的傑作をご賞味くださいませ。
当作の南雲さん、本当に可愛いですよ。
政治色が濃いな〜
特車二課のレイバーが出番少ないっ!
後藤隊長を中心にする感じで鑑賞しました。
洞察が鋭くて事件を解決に導くけど、ルールはどんどん破って上層部からは厄介者的な扱い、なのになぜか降格も解雇もされない。しかも、待機中のレイバーが奇襲で全滅したのに、隠し持っていたパーツから3機も組み立ててる。どうやって経費・予算を誤魔化したのやら。
どんだけ上の方にパイプが太いんでしょう。
でも、南雲隊長には弱いという点は面白いです。
後藤隊長はアニメや映画で見る分には面白い、そして時々は頼もしい人物ですが、自分の部署にいたら扱いに困る面倒な人に感じます。
一緒には働きたくないなぁ (^_^;;
ストーリーは政治と軍事、そこに南雲さんの過去の恋愛が絡んできて、ちょいと感傷的なところもありました。
南雲さんの女性的な面が描かれることってあまり無いように思いますから、新鮮でした。
ですが、話しの中心は政治的な駆け引きが軸だったと思います。
展開を先読みしながら、当たったり外れたりと観ていくのはとても面白かったです。
ただ、レイバーの出番が少ないんですよ、レイバー同士の対戦も無いし。
もっとレイバーを出して欲しい。
パトレイバーの世界を構築しながらも、アニメーションの技法をフルに使った超一級のサスペンスドラマです。
「機動警察パトレイバー the Movie」が大好きで劇場版第2弾となる「機動警察パトレイバー 2 the Movie」も大好きな作品の一つ。
DVDでは何回も見ていますが、劇場では未鑑賞なので、昨年4DXで公開された劇場版パトレイバーの第2弾として公開。前作と同じ4DXとサウンドリニューアル版として上映されるとの事で鑑賞しました。
で、感想はと言うと、良い。やっぱり良い♪
何回も見ているけど、映画館の大スクリーンで観ると迫力満点。
堪能しました♪
平成ではなく昭和が続くパラレルワールドの中で2002年のパトレイバーの世界を描いたシリーズ完結篇的意味を持つ作品で前作と違いリアル感を全面的に押し出し、アニメーションと言う表現方法を使いながらもシリアスな部分とパトレイバーらしさを巧みに使用したエンターテイメントとしても超一級の作品。
「レイバー」を起用しての描写は極力少ないが、特車二課第二小隊の隊長、後藤喜一を主役にし、物語の主軸は第一小隊隊長の南雲しのぶにしている事。また影の主役となる柘植行人と物語の起伏を生む荒川茂樹の使い方が絶妙。
本来の主役となる野明や遊馬と言った第二小隊の活躍は少ないし、前作に比べてパトレイバー感は薄い。
でもパトレイバーの持つ世界観を醸し出しながら、押井守色が全面で出ていても満足度がかなり高いんですよね。
また、クライマックスの埋め立て地に向かう最終決戦での軍用無人レイバー「イクストル」の無機質かつ圧倒的な火力での迫力と恐さは今作の数少ないレイバー戦での見応えを表していると思うんですよね。
前作とは方向性が違っているので一概に比べるのはナンセンスですが、後の実写版「THE NEXT GENERATION パトレイバー」としての基本ベースにもなってる程の緻密な設定は前作と双璧を成すぐらいに大スクリーンで観る価値のある作品ではないでしょうか?
ストーリーは1999年、東南アジア某国でPKO部隊として日本から派遣された陸自レイバー小隊が反政府ゲリラ部隊と接触、本部からの発砲許可を得られないまま一方的に攻撃を受けて壊滅し、たった一人の生存者として生き残った柘植行人とそのシンパのテロリスト達が一発のミサイルから起こす東京での「戦争」を描いた作品で、いちいち細かくていちいち面白いんですよねw
サスペンスドラマとしても一級品で自衛隊のクーデターと言うテーマは初期のOVA版の「二課の一番長い日(前・後編)」でもモチーフにされてますが、こちらの方がスケール感は数倍面白い。
また、幻の新橋駅と言う「旧新橋駅」をモチーフとした考察もマニア心をくすぐる感じw
声優にも随所に拘りがあって、荒川茂樹役の竹中直人さんや柘植行人役の根津甚八さんが抜群。
荒川の出番は後藤隊長と同じぐらいに出番は多いので、台詞も多数ですが、竹中直人さんの声優としての技量の高さをまざまざと感じられます。
また、荒川の台詞がカッコいいんですよね。
ストレートに表現せず、独特の言い回しで含みと深みを持たせた言葉は芯を突いていて、名言の数々は台詞だけでもこの作品の緊張感と完成度を言い表してます。
また劇中でテレビなどのニュース番組の内容が映されているシーンでも現役アナウンサーが声優として出演している事や自衛官や民間人等は「声優による上手すぎる演技」を払拭する事で現実感や臨場感を強調する為の措置が取られていたんですが、今回のサウンドリニューアル版ではそこはプロの声優で再収録されているのを上映してますが、でも全然違和感無いです。こう言う拘りなんかがてんこ盛り。
個人的に最も好きなのは空爆の証拠映像となる「思ひ出のベイブリッジ」と遊馬と野明が特車二課に復帰する車の中のシーン。引退した榊元整備班長、通称オヤッさんの元にシゲさんをはじめとする弟子の整備班員が集結するシーン。整備班のブチヤマの食料買い占めシーンですかねw
個人的には前作よりもサウンドリニューアル版での違和感が感じられないのが良いんですが、4DXの特性の良さを感じられても28年前の作品ですし、4DXの特性に無理矢理合わせた感じは正直否めない。また金額が3,000円と言う高額な価格に似合うかと言うとちょっと疑問点が付きます。
それでも劇場で観れた事にはやっぱり感動。
押井守独自の「都市論」と東京に「戦争」という状況を作り出し、毒ガス攻撃や治安出動、縦割り行政とセクショナリズム、在日米軍、破壊活動防止法、デジタルメディアの信憑性等と言ったその後現実世界で問題になる多くの要素が含まれている10年どころか20年は早かった作品で今見ても遜色無し。
個人的には昨今のアニメ作品とは一線を画する感じで他の邦画・洋画作品と並べても対等に「勝負」が出来る稀有な作品ではないかと思います。
見ていない人がいれば劇場での鑑賞は稀になっていますが、是非DVDでも見て頂きたい、超お勧めの作品です。
良い作品だけど
良い作品だと思うし、好きなんだけど、パトレイバーじゃないのかな~という感じ。
当時、レンタルで見て面白いけどなんかもやっとしたのは多分、これが理由なのかな。
第二小隊自体がほとんど出てこないし。
自衛隊機が迫るシーンとか好きだけど、パトレイバーとしてやらなくても良かったのかなと思います。
前作に比べて4DX向きでは無いかもしませんね。
水のしぶきは池袋グランドサンシャインよりユナイテッドとしまえんの方が派手な気がします。
メガネ吹かないと見られなかった(笑)
28年の時を経て、令和の日本に突き刺さる⚡️
ものすごく巧みに1993年当時の日本の状況を取り込んだ作劇が、2021年にまた見事にあぶり出される‼️しかも4DXで✨
同時にアニメーションと言う次元を越えた映像は描かれる世界の空気感を孕み、実写に負けない深みを作り出した。
「サイレント・トーキョー」との類似性を指摘する声も多いが、制約多い2次元表現をここまで高めた押井守×伊藤和明×川井憲次の素晴らしい仕事をぜひぜひご堪能あれ‼️
ドラマとしても南雲×後藤×柘植の精神的三角関係が架空の18号地で集約される流れが本当に素晴らしいと感じた✨
ULTIMA RATIO→飛行船に書かれたこのメッセージを今こそ日本の人たちには受け止めてほしい‼️
《初パトレイバー》ミリヲタ不完全燃焼に終わる
初パトレイバーです。アニメ・TV・劇場版実写、全部知らない。とにかく初めて。それが4DXですw
無駄な派手さがさが無く、リアルだった点が良かった。政治・軍事的背景が、結構興味深かった。マジに言うと、国内勢力どうしの武力衝突はテロリズムなので米軍が介入することは無いでしょう、ってのと。ミサイルを使うくらいなら軍事メジャーが絡んでいるのは間違いないわけで。であれば、尚の事。米軍がすることは、国外からの干渉を監視するだけでしょうね。
それよりも、リアルには現在のアメリカの国内事情を想起してしまって、シャレにならんぞオイオイ、なんて思ってしまいました。
ALL TIME BEST ってほどじゃないけど、面白い事は面白かった。
4Dxで再現された雨の効果が効果的な地味にも程がある刑事ドラマ
2002年冬の夕刻、横浜ベイブリッジが何者かによって爆破される事件が発生。現場の様子を偶然撮影したビデオ映像には自衛隊所属のF-16Jと思しき戦闘機が映り込んでいた。様々な憶測が錯綜する中、特車二課の南雲と後藤の元に見知らぬ男が訪ねてくる。陸幕調査部の荒川と名乗るその男はベイブリッジは米軍機によって爆撃されたものであり、この事件の背後にはある組織が暗躍していると告げ、その組織のリーダーと目されている人物である柘植という人物の捜索協力を申し入れる。しかしその柘植は南雲にとって忘れることの出来ない人物だった。
前作と同様いや前作以上にレイバーの活躍は限定的で、特車二課の面々ですら殆ど物語に絡んでこない。警察組織と自衛隊の対立が招いた首都封鎖という何気に現在と微妙に地続きの世界観で繰り広げられる腹の探り合いはほぼ刑事ドラマ。本作の主役である南雲の苦悩を湛えた佇まいが印象的な地味ながらずっしりと重い作品。正直4Dxの効果は序盤で発揮される以降はほぼ意味がありませんが、降り注ぐ雨の効果はしっかりドラマとシンクロしていました。
今観ると、また違った味わいがあります。
ご存知、押井守監督の「パトレイバー2」。
初めて観たのは高校生のとき。
「パトレイバー 劇場版」に本当に感動し、この2を楽しみに劇場まで足を運んだ。しかし、明らかに1とはテイストの異なる作品。パトレイバーという舞台を使って、押井色を全開に押し出した作品だったわけだ。高校生の自分には早すぎた。なので、最初観たときは全く面白くない、という評価だけで終わった。
あれから約30年。
後藤隊長の悲哀が沁みる年代になり、改めてこの作品の良さがわかる。
作品自体は最初に劇場で観たあと何度もDVDで見返した。1のスカッとした、これぞエンタメ!というストーリーも良いが、2の暗い雰囲気のストーリーも良いな、と歳を重ねるたびに感じるようになった。小説とかもそうだけど、歳を重ねてから見返すと違う発見がある。
この作品が公開されたのは「1993年」。
当時はガキだったので何も知らなかったが、大人になり冷戦など様々な歴史を知ることで、この時期がどれくらい重要だったのか、今になってわかる。この作品も、おそらくそういう危機感から作られたんだろう。首都圏で擬似戦争状態を作り出す、そのとき日本人(日本政府)はどう対応できるのか?庵野監督の「シン・ゴジラ」のテーマとも共通している。
日本は戦後に経済発展のみ追求し、他国のように戦争を(幸運にも)経験しなかった。2021年現在、冷戦が終わり、バブルがはじけ、失われた30年を経て、共同体が崩壊し、砂粒の個人だらけになり、格差が広がった。政治の世界は頭の中が昭和の80歳のジジイどもが権力をいまだに手放さずにいる。安倍政権から嘘をつくのが当たり前の世の中になり、安倍→菅と政権が代わったこの1年間、コロナに対して有効な対策を全く打てていない。森喜朗はもはや自分の何が問題なのか判断する能力すらなく、さらに、こんな能無しがなぜか自民党で権力を握っている。
そして、そのジジイだらけの政権を支えているのは多くの日本人だ。
ここまで落ちてしまった。そして、今後も落ち続ける。
この1993頃にもっと有効な対策を打てていれば・・この作品のような状況が良いかは置いといて、もっと危機感を持つような状況に追い込まれていれば、現在はかなり違った日本だっただろう。おそらく、日本人は占領されるくらいの危機感がないと変われないんじゃないかな。。阪神大震災、9.11(これはアメリカだけど)、リーマンショック、3.11、そして今回のコロナですら変われないのだから。そう思いながらこの作品を見返していると、暗澹たる気持ちになってきた。。。
この作品で、柘植は戦争状態を作ること自体を目的とした行動を取った。
それは、当時押井監督がまだ期待を持っていたのかな?とも思う。この時期の日本人であればやり直せる可能性がある、と。作中で荒川に「この国は、もう1度戦後からやり直すのさ」というセリフを言わせているが、むしろ、そうすることで、今とは違った社会をやり直す可能性があったのだろう。
2021年現在、日本社会がボロボロになった今、もはやその道はない。
今後死ぬまでに何度か見返すだろう。そのたびに違った印象を受けると思う。
そういう作品こそ、名作なんだろうな、と思う。
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