絆 きずな

劇場公開日:

解説

様々な絆で結ばれた愛する者たちの為に、忌まわしい過去を封印しようとする男の姿を描いたドラマ。監督は「乳房」の根岸吉太郎。白川道の「海は涸いていた」を基に、「身も心も」の荒井晴彦が脚色。撮影を「眠る男」の丸池納が担当している。主演は「CURE/キュア」の役所広司。キネマ旬報日本映画ベスト・テン第10位

1998年製作/123分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1998年6月6日

ストーリー

都内でレストランやクラブを経営する伊勢商事の社長という顔を持ちながら、裏では佐々木組に属し組の剰余金を管理している伊勢孝昭は、ある夜、銀座でホステスをしている千佳子と再会した。その数日後、千佳子の愛人でフリージャーナリストの岡堀が何者かによって射殺されるという事件が起こる。捜査にあたった警視庁の佐古警部は、千佳子を容疑者と目するが彼女には完全なアリバイがあった。しかし、殺しに使われた拳銃が10年前に多摩川で起こった金融会社社長・池尻殺害事件で使われたものと同じであることが判明したことから、佐古は迷宮入り寸前だった池尻殺しとの両方の線で捜査を開始する。そのことを新聞で知った伊勢は、小料理屋を営んでいる慎二の元を訪れた。実は、岡堀殺しは慎二と千佳子が共謀してやったことなのだった。殺人の動機を詰問する伊勢に、千佳子は岡堀が伊勢と今話題のヴァイオリニスト・馬渕薫との過去を探っていたからだと説明した。──伊勢孝昭、本名・芳賀哲郎には封印した過去があった。それは、愛する母を苦しめた末に死に至らしめた実父・池尻殺しである。船乗りだった継父を病気で亡くし、母親をも失った哲郎は、養護施設を出た後、母を自殺に追いやったのが実父だと知って、彼を射殺したのだ。そして馬渕薫は、哲郎の母と継父との間に出来た妹なのであった。池尻殺害後、哲郎は音大の教授夫妻に養女としてもらわれていった薫に迷惑がかかってはと、伊勢孝昭を名乗り、ふたりの関係を隠して生きてきた。ところが、岡堀はそれをネタに、薫と婚約者で西地グループの御曹司・圭介をゆすっていたのだ。養護施設時代から、哲郎を兄のように慕っていた慎二と千佳子は、ハイエナのような岡堀の計画を知るに及び、池尻殺しに使ったまま隠し持っていた拳銃を使って、岡堀を殺害したのである。慎二と千佳子の気持ちを知った伊勢は、ふたりに暫く身を潜めるように言う。しかし、佐古の調査は着々と進み、伊勢の本名が実は芳賀哲郎であること、更に馬渕薫が彼の妹であることを突き止めていた。拳銃がきっかけとなって今度の事件と10年前の事件が明るみに出れば、慎二と千佳子を失うばかりでなく、血を分けた唯一の肉親・薫の幸せを奪うことにもなる。哲郎は、全ての罪を自分ひとりで被ることを決意。対立する久原組に殺された仲間・布田の仇である木部を例の拳銃で殺害し、自らも自殺することで愛する者たちの生活を守ろうとする。そして、薫のコンサートに出かけた後、布田の妻で哲郎に想いを寄せ続けている今日子が止めるのも聞かず、哲郎は右腕とも言うべき茅野の力を借りて、木部殺害を実行する。ところが、木部を襲った時怪我を負ってしまった哲郎は、海外逃亡用に茅野の用意してくれた船に乗るべく焼津の港へと急ぐも、到着したところで遂に力尽きてしまう。そんな彼を港で待ち受けていた佐古は、しかし逮捕の機を得ながら、薫のことを想う哲郎の気持ちをおもんぱかって、今日子の腕の中で息を引き取る哲郎の死をただ黙って見つめるのだった。こうして薫のスキャンダルは回避され、西地との結婚式も無事に執り行われた。結婚式に訪れた佐古は、花束と哲郎の形見である笛を薫に渡す…。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚色
荒井晴彦
原作
白川道
製作
中川敬
プロデューサー
本間英行
釜秀樹
撮影
丸池納
美術
部谷京子
音楽
朝川朋之
音楽プロデューサー
岩瀬政雄
小倉起
主題歌
ジェイム・ガルディア
録音
宮内一男
音響効果
佐々木英世
岡瀬晶彦
西村洋一
照明
望月英樹
編集
鈴木晄
衣裳
川崎健二
松山さと子
スタイリスト
中村槇子
製作担当者
金澤清美
助監督
米田興弘
スクリプター
白鳥あかね
スチール
野上哲夫
一色一成
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受賞歴

第22回 日本アカデミー賞(1999年)

ノミネート

主演男優賞 役所広司
助演男優賞 渡辺謙
音楽賞 朝川朋之
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映画レビュー

2.0砂の器?

2019年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ヤクザの抗争じゃなくて隠された過去を探る物語。刑事の会話を聞いていても、名前が飛び交うだけで全体像が掴みにくい。まぁ、名前の秘密というのもあるけど、人間関係を把握するのに集中するあまり、ストーリーにのめり込むわけにはいかない・・・  クライマックスにバイオリンコンチェルトをフィーチャーしている構図なんて『砂の器』を思い出してしまう。だけど、人物に共感できないからイマイチ。根岸監督らしい静かな映像。どうもこれが銃を使った殺人に合わないような気がする。

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kossy

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