劇場公開日 1966年4月17日

「怪獣映画の水準が今後低下していくことを予感させる」大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0怪獣映画の水準が今後低下していくことを予感させる

2020年2月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

ガメラ第2作
1966年4月公開

東宝特撮の独壇場であった怪獣映画がに遂に他社が挑戦を初めました
それが1965年11月のガメラ第1作大怪獣ガメラです
思いのほかの大ヒットでした
本作は、それをうけ早くも前作の5ヵ月後に公開された続編です

予算も大幅に増えてカラー作品です
冒頭は前作の粗筋紹介ですが、前作が白黒作品だったので回想シーンとして収まりが良いです

そしてカラーで本編の開始ですが、オレンジ色の火の海を背景に、青白い超高温のロケット噴射を行い回転飛行を始めるガメラが美しく、ガメラとはこうだったのか!という感激を上手く色彩の鮮やかさで表現しています

南海の島から怪獣を呼び寄せてしまうモチーフはモスラを思わせます
オープンセットの強い陽光の下での原住民のダンスシーンはスタジオセットでの撮影のモスラに勝る臨場感があります

ジャングルシーンもマタンゴより雰囲気が出ています

ドラマパートも本郷功次郎や江波杏子を始め脇役までなかなか頑張って良い演技を見せてくれます
特に本郷功次郎は嫌な仕事だと逃げ回っていた筈なのに、素晴らしい印象を残します
現に彼は本作以降ブレイクしてテレビドラマなどで売れっ子俳優になりました

江波杏子もクールビューティーぶりは素晴らしく、東宝の美女達に全く負けていません

脇役では藤岡琢也がさすがの名演技です
彼も本作以降売れっ子俳優になります

しかし前作での良い点であった子供の目線が全く忘れさられているのは残念なポイントです

とはいえ、脚本は前作につづき面白く、良い出来で最後まで興味を失いません

さて肝心の特撮シーンですが、序盤の黒四ダム破壊シーンはなかなかの迫力ですが、大阪城は冷凍にしてくれますが破壊してくれずフラストレーションがあります
神戸港のメリケン埠頭とポートタワーのシーンは良い出来映えで、ミニチュアセットも頑張っています
しかし、大阪市内のミニチュアセットはもうひとつ嘘臭い出来映えで破壊シーンも少なくつまらないです
大阪の皆の知る実在の場所を再現して破壊して見せようという意欲はまるで感じられません
琵琶湖大橋も破壊シーンはあってもそうハイライトが当たっていません

バルゴンの着ぐるみは頭部から上半身は良いのですが、後ろ足は完全に人間が四つん這いである事を隠してもいません

怪獣同士の闘争は流血シーンがあり、東宝特撮との違いを打ち出した演出をしています

特撮シーンの技術としては、東宝特撮の劣化コピーの印象ですが、普通の一般客なら十分な出来映えです

ただし怪獣映画の水準は、今後どんどん低下していくことを予感させるものです

このままでは厳しい
特に対戦相手の怪獣にもう一工夫がないと駄目だという反省が大映にも生まれたと思います

それは次回作、大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオスに結実します

しかしそれを待つことなく、実は本作の併映作品に日本の特撮映画の金字塔がもうすでに撮られていたのです

それは名作大魔神です

あき240
トミーさんのコメント
2023年12月4日

回転ジェットの美しさはピカ一ですね。個人的には「大魔神」より、人気の「対ギャオス」より今作を評価してます。バルゴン、生態はまだしも外見が、居そうな感じ。ヌメヌメしてるし、気色悪。

トミー