蒲田行進曲のレビュー・感想・評価
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何度観ても、のめり込む中毒性 日本映画界にとってかけがえのない財産
往年の松竹・蒲田をタイトルにしておきながら、舞台となるのは東映・太秦撮影所。
今では特別なことではないが、当時、メジャー映画会社の撮影所で他社作品を撮影するのは、前代未聞の珍事だったという。その辺の入り組んだ事情はさて置き、とにもかくにも何度観ても前のめりになってしまうほどの中毒性がある、味わい深い深作欣二監督作である。
愛すべきツッコミどころは数え切れないほどあるが、それを補って余りある役者陣の熱演。
銀ちゃん、ヤス、小夏……誰も彼もが愛すべきキャラクター。そして39段の階段落ちのシーンからの、ニヤリとさせられるエンディングまで、とにかく素晴らしい。
邦画洋画問わず、その後も撮影所を舞台にした作品は幾度も誕生しているが、やはり原点というべき「蒲田行進曲」は日本映画界にとって欠かすことのできない財産といえるのではないだろうか。
知らない間にこんな映画が!
やっと映画館で見ることができたので、色々と確認できました!題字は見てすぐ分かる和田誠さん、劇伴は聞いてすぐわかる桑田佳祐の作詞作曲、歌うのは聞いてすぐわかる中村雅俊。妻・小夏の為に稼がなくては!の大部屋ヤス(平田満)のアクションシーンでは、志穂美悦子も連獅子姿の真田広之も千葉真一も確認!皆シャープで若くてかっこいい!
いろんな役者さんの台詞をほぼ暗記していた自分にびっくりした。音が一部消されて気になっていた台詞の確認もできた。ヤスのアパートから銀ちゃん(風間杜夫)が居なくなってから、小夏(松坂慶子)がヤスをなじる。前後関係から「あんた、○ク○なんじゃないの!?」と思っていたが「あんた、○○ガ○なんじゃないの?!」だった。
大部屋さんは名前を呼んでもらえない。みんな「大部屋さん」だ。ヤスは階段落ちをすると言ってから初めて名前で呼んでもらい、楽屋を与えられ役作りもさせてもらう。「勤皇の志士」も「新撰組」もよくドラマ化されるけれどなぜそこまで好まれるのだろう。「侍タイムスリッパー」も同様だ。
いずれにしても「蒲田行進曲」を映画館で見ることができて本当に幸せだった。ロビーには銀ちゃんが着ていた最初のギンギラギンのスーツの実物が飾ってあった。ヤスの大部屋仲間の萩原流行、監督役の蟹江敬三、松坂慶子のメイク・衣装変遷と色んな泣き方。全部よかった。沢山笑って泣いた。(2025.04.11.)
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面白い映画だよ!と妹が教えてくれて見たらはまってしまい、何度も何度も見ました。「戸籍は屁よりも劣るのか!」と小夏にあたるヤス、階段落ち後の「銀ちゃん、かっこいいー」のヤス=平田満の台詞と表情は、何度聞いても見ても笑って泣いてしまいます。つかこうへいの脚本と深作欣二監督による最高の映画だと思います。松坂慶子のケバい化粧も、風間杜夫の目張りバッチリ過ぎの映画メーク、あまりにわかりやすく気合いタップリでした。この映画で熊本の人吉という町を知りました。それもとても嬉しく思いました。清川虹子の演技と目にやられました。テーマ音楽も大好きです。時代劇が元気だった昔、銀幕のスターが居た時代、知らないのにひとときの夢を見させてくれました。
【”ヤス、上がってこい!”大部屋俳優のど根性と、落ち目の人気俳優と、その愛人の落ち目の女優との関係を軸にした映画愛溢れる作品。ラストの展開は絶品です。】
ー 恥ずかしながらの初鑑賞である。だが、メインテーマの松坂慶子さんと風間杜夫さんとあんまり声がわからないけど平田満さんが歌う華やかでエネルギッシュな「蒲田行進曲」は聞いた事が有る。と言うか、口ずさめる。
公開年を考えると、ちっび子だったオイラが何故に、歌えるのであろうか。ビックリである。それにしても、久方ぶりに聞いたが「蒲田行進曲」のメインテーマは名曲であり、初めて観た今作も映画愛溢れる逸品である事には、間違いはないであろう。-
■一応、粗筋。
時代劇「新選組」の主役土方歳三を務めるスター、銀ちゃん(スンゴイ若い風間杜夫)。ある日、大部屋役者で、銀ちゃんを慕うヤス(平田満)のアパート(ジェームス・ディーン始め、映画のポスターが多数貼ってある。)に銀ちゃんが女優の小夏(松坂慶子)を連れてやって来る。
銀ちゃんの子供を妊娠し、三か月の小夏。スキャンダルを恐れる銀ちゃんは「小夏と一緒になってくれ。」とヤスに頼み込み、ヤスはそれを引き受ける。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤、中盤までは1980年代の邦画ってこんな感じだったのかな、という何だか懐かしくも分かり易い展開で物語は進む。
だが、画面が発する熱量が凄くって、又シンプルだからこそ、面白くのめり込んで観てしまう。
・特に、銀ちゃんの事が好きなのに、あんな酷い別れられ方をしても銀ちゃんから言われた通りにヤスと暮らし始める小夏が健気過ぎる。少し、"女の人はモノではないぞ!"と、思い、銀ちゃんの態度に苛つく。
更に言えば、ヤスも小夏の為にドンドン危ない役を引き受けて、傷だらけになっていくのに、新居のために色々と買って来る姿も、健気過ぎる。
・ヤスが小夏を連れて実家に凱旋するシーン。
「蒲田行進曲」が高らかに流れる中、ヤスの知り合いたちは大騒ぎ。
だが、ヤスの母親(清川虹子:お名前だけは微かに存じあげていたが、凄い女優さんである。)だけが、全てを見通している中で"ヤスを頼みます。"と、小夏に頭を下げるシーンは、沁みたなあ。
・ヤスが階段落ちのシーンが近づくにつれ、情緒不安になり、小夏に当たり散らす姿は、辛いなあ。でも、気持ちは分かるなあ。
■で、35段、高さ8Mの階段落ちシーン。上から撮るカメラから観てもその急こう配の高さが分かる。
で、斬られたヤスが転げ落ちる。あれ、CGじゃないよな。ジャパンアクションクラブの千葉真一、真田広之、志穂美悦子が冒頭の激しい殺陣のシーンで出演していたので、ジャパンアクションクラブの俳優さんかな。凄いな。
<ヤスが血だらけになりながら、階段を必死の形相で這い登って行く。上からは銀ちゃんが”ヤス、上がってこい!”と手を差し伸べるシーン。
一方、”別の医者の病室らしきところでは、小夏が女の子を生み、ヤスの声が聞こえてくる。小夏は眼を開けるのが怖くて、目を閉じているが・・、"からのあの大団円。
いやあ、凄かったなあ。映画愛に溢れているなあ。今作品、堪能しましたよ。>
ライブで見るべきなのだと思う
残念ながら
ヤスに共感するほど哀しい
ハチャメチャな熱気
三人のキャラが際立っている
熱量!
自宅で動画配信サービスを利用して視聴しました。
あまりにも演技が熱い!熱いというかもう臭い!しかも「そうはならんやろ!?」とは思う展開も多い!でもまぁ確かにこんな性格の人ならそうなるのかな、とも思わせてくれるように作られているな、とは感じました。
演技も展開も、基本的に舞台だなぁと感じますが、だからこそとても感情の揺れ動きの描かれた方の振幅が大きいなぁ、と感じましたし、伝わってくるエネルギーが凄まじいですね。
また最後のシーン、結構ビックリしましたが、「そうかこれまでが演劇だったからか」ととても納得もしました。なんかこのオチは若干ズルいですね笑。納得はしたのですが、不思議な感覚です。
鑑賞中にこういう無駄に熱い映画だと思って楽しめたのも、昭和に作られた作品だから、という理由で受け入れていましたが(言い方があまりにも雑ですが笑)、令和の今でも同じような映画が作れるのでしょうか。
にしても松坂慶子さん、めちゃくちゃ綺麗ですね。またちょっとしか出ていないですが、真田広之さんもすんごいイケメンでした。
映画本編とは関係がない感想ですが、真田さんがやっていたような殺陣のある時代劇を見てみたいなと思いました。最近の映画のアクションシーンとは違うカッコよさを感じました。
一世一代の人間の見せ場を描いた傑作
ジョン・ウィック4を見て、本作を見たくて見たくてたまらず鑑賞。何度見てもいい。
メインキャスト3人の生き様と映画にかける人たちの情熱。銀ちゃんのようなカリスマも、小夏のような愛に生きる決心も、そしてヤスのような一世一代の大勝負に賭ける意気込みも、すべてが素晴らしい。
2024.9.9追記
フォールガイを見てスタンド愛を感じて、こちらも再度鑑賞。やはり何度見ても素晴らしい。
キャデラックに免許がいるか!!!
高見知佳さんを偲んで
高見知佳さん
12月21日がん性腹膜炎により出身地愛媛県新居浜市内の病院にて60歳で他界
監督は『仁義なき戦い』シリーズ『バトルロワイヤル』シリーズ『復活の日 』『魔界転生 』『里見八犬伝』『いつかギラギラする日』『忠臣蔵外伝 四谷怪談』『おもちゃ』の深作欣二
脚本は『二代目はクリスチャン』『熱海殺人事件』『ペエスケ ガタピシ物語』『幕末純情伝』『リング・リング・リング 涙のチャンピオンベルト』のつかこうへい
日本映画を代表する傑作
これを見ずして日本映画を語れない
タイトルは蒲田だが蒲田の撮影所ではなく京都撮影所になっているがいろいろ事情があったのだろう
まあいいってことよ些細なことだ
テーマソングもラストシーンも秀逸
映画に対する愛情がたっぷり詰まっている
銀ちゃんの傍若無人ぶりはどこか憎めずむしろユーモアがあって面白い
それでも今ならコンプライアンス的に間違いなく問題になりマスゴミが叩くだろうがあんな連中と共感して良い映画が作れるわけがない
今思うと地味な平田満がいい芝居をしている
特に階段落ちが決まってからの役作りが素晴らしい
松坂慶子の濡れ場あり
ああいう自然な流れでの脱ぎっぷりは清々しい
今の20代30代の有名女優であれくらいのことが出来る人はあまりいないのが実情
あの役は高見知佳がやっていたんだな
ひさびさに観たけど意外だった
あと酒井敏也がこの当時はフサフサで最初は本人とわからなかった
銀ちゃんの子を身籠もったものの銀ちゃんの命令でヤスと結婚することになった売れなくなった女優の小夏に松坂慶子
大部屋俳優を引き連れ威張っているワガママだが気弱な性格でファッションは悪趣味な東映のスター俳優の銀ちゃんこと銀四郎に風間杜夫
銀ちゃんからの頼みでかつて憧れた女優で銀ちゃんの子を宿した小夏と結婚することになる大部屋俳優のヤスこと村岡安次に平田満
銀ちゃんファンの若い女性でのちに銀ちゃんと付き合うことになる朋子に高見知佳
東映の映画監督に蟹江敬三
助監督に清水昭博
銀ちゃんのライバルで劇中劇では坂本龍馬を演じたテレビや映画などに引っ張りだこで忙しい人気俳優の橘に原田大二郎
撮影所の床山のトクさんに岡本麗
大部屋俳優たちを相手にスタント要員を募集するキャスティングプロデューサーの山田に汐路章
銀ちゃんを慕う大部屋俳優の一人・トメに榎木兵衛
銀ちゃんを慕う大部屋俳優の一人・勇二に萩原流行
銀ちゃんを慕う大部屋俳優の一人・マコトに酒井敏也
階段落ちの階段について説明する撮影所の社員に石丸謙二郎
熊本の田舎に住んでいるヤスの母に清川虹子
白いスーツ姿で機関銃を撃ちまくる本人役に千葉真一
時代劇で寝込みを襲撃されても次々と返り討ちにする強い姫を演じる本人役に志穂美悦子
時代劇で連獅子のスタイルで薙刀を振り回すヒーローを演じる本人役に真田広之
溶けて混じって踊り狂え
人を食ったような露悪的な脚本は良くも悪くもいつも通りのつかこうへいといった感じで好きでも嫌いでもないが、階段落ちと主人公が自宅で暴れ散らすシーンに関してはすごいなと思った。
階段落ちをしたら死ぬかもしれないという物語内のアクチュアリティが「マジでこの階段から落ちるの??」という我々受け手(=物語外)の緊張感とリンクし、その結果作品に現物以上の求心力が生まれていたと思う。
主人公が自宅で暴れ散らすシーンもかなりよかった。まずは常識の範囲内でモノに八つ当たりする。しかし次第に主人公の口ぶりが乱暴になっていき、それにつれて八つ当たりの度合いも過激さを増していく。気づいた頃には部屋中が嵐に見舞われたようにメチャクチャになっている。それはまるで主人公の内的な葛藤と衝動が外的世界との境界線を喪失し、徐々に溢れ出していったかのようだ。
作品と受け手、精神世界と物理世界といった区分が容赦なくブチ壊され、何もかもが『蒲田行進曲』という映画の俎上に引き摺り出され、そして踊り狂う。そういう暴力的な祝祭性こそがこの映画の妙味なんじゃないかと感じた。
ただまあ、最期の楽屋オチはやりすぎというか、露悪性を突き詰めるあまりオーバーラン的な空転をかましてしまっていたように思う。園子温『地獄でなぜ悪い』ほどではないにせよ、あのメタフィクション的な話の締め方の向こう側に作家の下卑た笑顔が思い浮かんでしまってうんざりさせられた。同様の手法でもホドロフスキーの『ホーリー・マウンテン』とかは好きなんだけどな。この差はなんなんだろうか。
今となっては道徳やコンプライアンスに触れるようなストーリーだとは思うが、これもつかこうへい節なのかもしれない。 松竹の看板女優だった松坂慶子が序盤でいきなり脱いだので驚いた。
動画配信で映画「蒲田行進曲」を見た。
劇場公開日 1982年10月9日
1982年製作/107分/日本
配給:松竹
松坂慶子
風間杜夫
平田満
蟹江敬三
原田大二郎
清川虹子
千葉真一
志穂美悦子
真田広之
萩原流行
深作欣二監督
人気俳優の銀四郎(風間杜夫)は妊娠した小夏(松坂慶子)を、
スキャンダルを避けるためにヤス(平田満)に押し付けて結婚させた。
銀四郎を慕うヤスは小夏と結婚して自分の子として育てることを誓う。
40年前に撮られた映画だがメチャメチャな話だと思う。
今となっては道徳やコンプライアンスに触れるようなストーリーだとは思うが、これもつかこうへい節なのかもしれない。
松竹の看板女優だった松坂慶子が序盤でいきなり脱いだので驚いた。
岡本麗と石丸謙二郎が若々しかった。
蟹江敬三、萩原流行などすでに鬼籍に入った人が懐かしい。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
ジャケットに騙された。
風間杜夫がモテまくる遊び人の映画かと思った。全然違っていたし映画が始まって15分ぐらいしたところで突然主人公が入れ替わったので驚いた。
松坂慶子と言うと、この映画が公開された同時は近づきがたいような美女というイメージが強かった。その彼女がこのようなキャラクターを演じて当時映画館で見た人はきっと驚いたに違いない。この映画には女性でなければ描けないと思われるようなシーンがいくつかあり、それらの積み重ねによって主人公がとてもリアルになり親近感のようなものが高まっていくのを感じた。これはとても男性が描いた脚本には思えない。また主人公3人たちのそれぞれの相手に対する気持ちの変化というものが非常によく描けていた。これもまた描こうと思って描けるレベルの脚本ではなく何かの偶然によって生まれた傑作なのであろう。
遅ればせながら一発で松坂慶子のファンになった。
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