「キャデラックに免許は要らない」蒲田行進曲 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
キャデラックに免許は要らない
大学時代、東京まで観に行った。しかも目当ては『この子の七つのお祝いに』だったので、本作は途中から鑑賞して、この子を観てからまた前半部分を観た。それでも感動しまくりで、いい映画は途中から観ても感動できるものだとわかった。純粋だったため、親分肌のスターの女を押し付けられるとか、階段落ちを決心するあたりとか、妙に平田の男気に感動してしまったのだ。それでもラストシーンにおける「カーット!」いうところに疑問を感じずにはいられなかった・・・何度観てもいい映画というのは数多くあるけど、この映画に限ってはストーリーを大切なものとして心に撮っておきたいがため、何度も見る必要がないような気もする。
再見して故深作欣二の偉大さとともに映画への愛をまたしても受け取ってしまう。松坂慶子の濡れ場における突然の雷とか、スタジオ内の池田屋のセットが突然結婚式へと変化するシーンとか、あちこちでカットバックの上手さも秀でている気がする。主演の3人は語り尽くせないほどあるけど、故郷に錦を飾ったところで、ヤスの母親・清川虹子の演技がとてもよい。風呂に入ってからもいいが、入る前に悲しげなまなざしをヤスに向けるところは最高峰。
30年経って調べてみると、ヤスのモデルとなった汐路章という俳優が山田という名で出ているらしいこと。東映と松竹の確執とか、松竹の野村芳太郎がそのために『キネマの天地』を作ったとか、色々あったのですね。
大人になれば理解できる部分もある。ヤスが暴れて部屋を無茶苦茶にするほどの精神状態。以前は気にならなかったのに、他人の子をも押し付けられることになることに無性に腹が立ってくる。小夏にも当り散らすが、よく見ると、彼は小夏のお腹にモノを当てないようにしているのだ。みかんは飛んじゃったけど・・・
「いい映画は途中から見ても感動できる」はなんかわかる気がします。
私は途中から見ることはほぼありませんが、いつの間にかウトウトというのはよくあり、それでもいい映画には感動します。
kossyさん、コメントありがとうございます。清川虹子、「復讐するは我にあり」で小川真由美の母親役ででてましたね。緒形拳をも超える演技でした。
ヤスが、妊娠してる小夏のお腹は避けて暴れてた、って気がついてませんでした!