劇場公開日 1958年2月26日

「豪華キャストで織りなす家族の葛藤」悲しみは女だけに M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0豪華キャストで織りなす家族の葛藤

2022年5月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

もともと戯曲として書かれたものを映画化したようである。そのためか、劇場で見ているような気になる。ほとんど主人公の家の中で撮影され、それ以外といえば、家の前の街並みや港ぐらい。
屋内でのカメラの角度、照明の当て方もとても効果的、劇場的。

物語といえば、京マチ子、田中絹代、望月優子、船越英二、杉村春子、乙羽信子、小沢栄太郎、水戸光子、宇野重吉、市川和子などそうそうたる俳優陣が織りなす、ある意味えげつないやりとり。
30年ぶりにアメリカから帰ってきた姉が知らされていない、家族それぞれの人生と苦悩が次々と明るみに出て、どうなることやらと思うが、少しも飽きることなく話が展開していく。
写真だけのお見合い花嫁として渡り、日系アメリカ人として強制収容所に入れられていたり、二世部隊の活躍、広島の原爆投下、被爆者の苦悩、米軍黒人兵との子どもなどなど、当時の混沌とした現実がさらりと語られるが、当の本人たちはあまり真正直には聞いておらず、自分の事都合ばかり主張する。

実際、新藤監督の姉はアメリカに嫁いでいたようで、この物語は新藤監督の兄や姉をモデルに書かれたと聞く。
途中に挿入される音楽がマンボ・ラテンで、重要なシーンでもドンと流れてくる。そのタイミングが意外なところもあり、ちょっとホット息を付けれたりする。

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M.Joe