十五才 学校IVのレビュー・感想・評価
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【今作は、不登校の少年が、一人屋久島へヒッチハイクの旅をする中で様々な人々と出会い、様々な経験をする中で心の成長する姿を描いた、心に沁みるロードムービーの逸品である。】
■不登校の中学3年生・大介(金井勇太)は、両親には内緒で横浜から屋久島を目指してヒッチハイクの旅に出る。
さまざまな出会いを経て屋久島に着いた彼は、一人暮らしの老人テツ(丹波哲郎)の家に泊めてもらうことに。
しかし、テツの具合が悪くなり、大介は彼を独りに出来ず、面倒を看るのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。&心に残ったシーンを記す。>
1.大阪弁の明るいトラックの運転手(赤井英和)との会話
・”俺も昔は悪だったんや!”赤井さんが言うと、説得力があるなあ。
2.長距離トラックの女性ドライバーの家に泊めて貰うシーン。
・引きこもりの、ジグゾーパズル好きの長男が居て、仲良くなる。そして、別れ際、彼から帆船の絵を貰い、その裏に書いてあった彼の詩。
”一人で草原を歩き続ける。浪人は又、生き始める。”-
それを聞いて涙ぐむ女性ドライバー。このシーンは沁みたなあ。
3.屋久島で出会った若き女性との会話
・”生きなきゃ駄目よ。生きて居れば何とかなる。”
そして、少年は下山時に遭難仕掛けるが、無事に麓に降りるのである。
4.屋久島で出会った一人暮らしの老人テツとの遣り取り
・テツは息子と疎遠になり、心に屈託を抱えている。カラオケに通う日々。ある日、彼は粗相をしてしまう。大介はそんな彼をおいておけずに息子(前田吟)に粗相をしたパンツを洗いながら連絡する。
彼が息子に言っ放った言葉。”アンタは皆の前で臭い、臭いと言ったけれど、アンタはおむつをしなかったのか!”
少年が、他者に対して優しい心遣いが出来る人間である事を、象徴しているシーンだと思う。
<今作は、心に屈託を抱えた少年が家出をして、屋久島に向かう中で、様々な人たちと出会い、様々な経験をして成長する様を描いたロードムービーである。
そして、少年は自宅に戻り、久しぶりに学校へ行き、名前を呼ばれた時に返事をするのである。
最近、今作の様な少年が成長する様を綴った作品を余り見ない。
山田監督、今作の様な作品を又作ってくれないかなあ。>
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