「【会社の都合で職を失った人たちを迎え入れる職業訓練校で出会った、第二の人生のスタートを図る人達の絆を描いたハートフルヒューマンドラマ。】」学校III NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【会社の都合で職を失った人たちを迎え入れる職業訓練校で出会った、第二の人生のスタートを図る人達の絆を描いたハートフルヒューマンドラマ。】
■夫を亡くし女手ひとつで障害ある息子を育てるコジマ(大竹しのぶ)と、リストラ勧告に憤慨して自ら大手企業を辞職したタカノ(小林稔侍)は、ボイラー技士の資格を取るため職業訓練校に通い始める。
紗和子は辛い境遇を生きる仲間たちとの交流を深めていくが、周吉だけは大手企業に居たプライドからか、周囲に馴染むことができない。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・1998年公開作だから、バブルが弾けた頃だろうか。コジマもタカノも、会社をアッサリと首になったり、退職勧告を受けたりするところから、物語は始まる。
・職を失い、職業訓練校に来るオジサンたちの中に、紅一点コジマが居る。彼女は障害がある子供を持ちながら、一人で必死に働いて来た。
故に、人に優しい。
タカノが掃除当番をサボっても、代わりに掃除をする。
・そんなコジマの姿を見て、タカノもプライドを捨て、職業学校のクラスメイトに徐々に溶け込んで行く。
クラスメイト役には、ケーシー高峰、笹野高史、そして田中邦衛が起用されている。皆、苦しい筈なのに、笑顔が素敵だ。
・タカノはコジマに惹かれて行き、コジマもタカノを信頼していく。コジマがいつも遅刻するタカノに朝、電話して上げるシーンも良い。
だが、卒業式の後、コジマはタカノと約束していたのに、コジマは来ない。離婚した奥さんが事業不振で自殺未遂を犯したのだ。その事で、コジマはタカノとの距離を考えるのである。
■ある日、コジマに乳がんが見つかる。クラスメイトは、手術前に皆お見舞いに来る。その中にはタカノも居る。
ホッとした表情のコジマ。何だか、こちら迄嬉しくなるよ。
<今作は、社会的弱者を優しく描く山田洋次監督の手腕が炸裂する小品である。”人間、捨てたモノではないな”と思えるのが、この学校シリーズの良い所だと、私は思います。>