ガキ帝国

劇場公開日:

解説

一九六七年、三年後に万国博を控えた大阪を舞台に、抗争を続ける不良グループに戦いを挑む三人の少年達を描く。脚本は西岡琢也、監督は井筒和生の名で「行く行くマイトガイ 性春の悶々」などピンク映画を演出してきた井筒和幸、撮影は牧逸郎がそれぞれ担当。

1981年製作/115分/日本
配給:ATG
劇場公開日:1981年7月4日

あらすじ

少年院から出てきたリュウは一緒に出院した高を連れ友達のケンとチャボのいる母校へ行った。二人の話によると、大阪一の繁華街・キタには北神同盟、ミナミにはホープ会などが勢力を広げ、ゴーゴーホールや喫茶店に自由に出入り出来ないという。数日後、リュウ、ケン、チャボの三人は、仲間がカツアゲされたことから、北神のガキ十人を襲った。その頃、高は北神に入会、上部組織の暴力団、神竜会の小野から、入会の儀式として凄惨なリンチを受けた。小野は根性のある高を気に入り、打たれ強いことから“明日のジョー”と名付けた。ジョーは小野の後ろだてにメキメキ頭角をあらわし、会長を倒しその座を奪った。縦横無尽に暴れ、ホープ会も傘下にした北神の噂に、リュウたち三人は自由に遊べる街にしなくてはと思う。ケンの友人がホープ会のガキに改造ガンで射殺された。三人はホープ会を徹底的に叩きのめし、ケンは会長に重傷を負わせたことで、高校を自ら退学した。会長を失ったホープ会の残党はリュウとチャボに新グループの会長になって欲しいとやって来る。最初は渋った二人も、申し出を受け、ピース会と改名してミナミに繰り出すようになった。ケンは、俺達は自由を愛し、集団化を嫌ったはずだと、二人から離れていく。その頃、北神同盟は梅田会と改名、大阪全域の不良グループを吸収、暴力団予備軍と化していた。そして、とうとうリュウ達と梅田会の戦いの日がやって来た。無数の相手に凄絶な戦いの中で、リュウがフォーク・リフトでジョーを殺害した。血迷ったガキがチャボを蹴り続けて絶命させてしまう。数年が過ぎた。夜の街を歩くケンは、今や、機動隊員となったかつての敵と出会う。したたかに殴りとばすと、追いすがる機動隊員たちをフリ切って飲み屋に飛び込んで叫んだ。“ビール一本!”

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5やるせなさのパッチワーク

2025年5月4日
Androidアプリから投稿

設定の昭和40年代前半を感じるのは劇中の音楽や映画位で、どう見ても1980年頃の若者による魅力的なケンカ映画である。

次作製作の際に、映画会社の偉いさんからいろいろと条件を提示されたようだが、その欠点に見える案件ひとつひとつが本作を面白くさせている事に気づいてないとは…。
本作の扱われ方にしろ、興行の収支しか頭に無い人たちには映画の持つ魅力の何たるかなんて、微塵も考えた事が無いのだろう。

思うようにならない人生に対して残り時間が少ない大人は妥協と諦観に走るけれども、時間を持て余したガキにとっては目に見えるもの全てが邪魔をする敵にしか感じられない。
本作がそれまでの不良映画よりも新鮮だったのは、あまりにも切ない事実の羅列が〈薄汚さ〉を凌駕していることだと思う。

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K・M

3.5元祖!?パッチギ!

2020年4月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

興奮

役者としては素人臭さが残る紳助など芸人たちの演技が初々しく、若い頃の升毅は今のイメージとは違い細身で渋い演技に驚いた。

フジTVのドラマ「若者のすべて」の印象が強い趙方豪の一匹狼的な役柄に好感が持て、41歳で亡くなられたのは何とも悲しきかな。

誰が強いとか弱いとか、安易に決着を付けない話展開は当時の不良をリアルに描けていると思うし、シリアスよりコミカルな方向性と紳助の話す口調からの笑いが相思相愛な本作。

比較するのは筋違いかもしれないが何となく三池崇史が頭に過り、原作漫画を無茶苦茶にした三池監督の軽薄な演出描写にリアルさは皆無で、格好付けた若手俳優が悪ぶって演じた不良少年映画より、格好悪くてダサかったりが格好良い井筒監督の不良少年映画の方が断然に面白い。

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万年 東一

4.0青春らしくていい

2012年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 紳助と升毅が最後タイマンをするかと思ったらフォークリフトで激突し、けっきょくウヤムヤになってしまい残念だった。紳助が結局どのくらいタイマンの実力があるのか語られず仕舞いだった。

 竜介の子分っぷりが、非常に切なくてよかった。精一杯粋がっている様子がいじらしかった。

 若くて元気を持て余してこんなやらなくてもいいケンカに明け暮れているのは怖いので真似はしたくないけど、青春らしくてとてもいい。

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吉泉知彦