御存じ快傑黒頭巾 危機一発
劇場公開日:1955年12月28日
解説
高垣眸の原作を前作「御存知怪傑黒頭巾(第二話) 新選組追撃」の西条照太郎が脚色し、「ふり袖小天狗」の内出好吉が監督、「薩摩飛脚 完結篇(1955)」の三木滋人が撮影を担当した。主なる出演者は「笛吹若武者」の大友柳太朗、「あばれ振袖」の喜多川千鶴、「忍術左源太」の三笠博子、「帰って来た幽霊」の堺駿二など。大友柳太郎は「黒頭巾ぶし」を歌っている。
1955年製作/65分/日本
劇場公開日:1955年12月28日
ストーリー
兵庫の港。戦艦「ニューブリテン号」譲渡交渉のため薩藩の小松帯刀と益満休之肋が艦の持主王一成と会談している最中、王と日本人の妻お春との子供一松が誘拐された。誘拐したのは新徴組支配松平主税介で、一松の生命の代償として薩藩との契約破棄を王に通告して来た。一松を救い出したのは髭隊士に化けた黒頭巾であった。一松は艶歌師三木松の長屋につれてこられたが、三木松も実は黒頭巾の変装であった。網元に化けている海賊の張本人渡海屋九郎兵衛はこの事件を知り、これを種にして一もうけしようとした。一方帯刀と休之肋を新微組の手から救ったのもメリケン紳士に化けた黒頭巾であった。九郎兵衛は一松をさらい、それを餌に軍艦譲渡書を渡せと王に迫った。王を救ったのは了海和尚に化けた黒頭巾であった。また黒頭巾は易者天命堂に化けて、子供を案じるお春をなぐさめた。ちょっとのスキに一松は六甲の山荘に連れ去られた。それを追って黒頭巾、王一成、黒頭巾を恋する九郎兵衛の妾お富や、その娘お志乃が続いた。山荘は主税介や九郎兵衛らの手でかこまれた。契約破棄の申出が断られたと知るや主税介は山荘に向けて大筒を放った。山荘は吹きとんだ。だが、お富の助けで抜け道を利用した黒頭巾は主税介を倒した。お富は九郎兵衛を射ったか瀕死の九郎兵衛の手にかかって彼女も死んだ。晴れた日、兵庫港で出港を待つ「ニューブリテン号」の鑑橋には益満と黒頭巾の元気な姿があった。メーンマストには日の丸がはためいていた。ただ見送人のお志乃の目にだけは悲しみの涙が光っていた。彼女もまた黒頭巾を恋していたのである