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映画レビュー
タイトルに『雄呂血』の文字を当てたセンスにも拍手。
邦画史にその名が燦然と輝く、無声映画の金字塔的作品。
製作された1925年は、当時の日本政府がソ連を承認する一方で、反共政策として治安維持法が足早に制定。不条理な筋書も当時の社会情勢を反映したのだろうが、本作も『無頼漢(ならずもの)』が元のタイトルだったのに検閲により変更。
現存する作品は今見ても十分反体制的だが、かなりのシーンをカットされたそう。
歌舞伎役者を夢見て某一座に入門しても血統優先と閉鎖的な旧弊の下で喘ぎ、活躍の場を映画に移してからも大部屋の下積みが長かった阪東妻三郎(阪妻)が俳優として人気を博し、独立プロを立ち上げて臨んだ最初の映画が本作。
京都に事務所を構えたのに、既存の映画会社からの横槍で、奈良での撮影を余儀なくされている。
巻頭に「無頼漢(ならずもの)を称する者、必ずしも真の無頼漢のみに非らず。善良高潔なる人格者と称せらるゝ者、必ずしも真の善人のみに非らず。表面善事の仮面を被り、裏面に奸悪を行う大偽善者。亦、我等の世界に数多く生息する事を知れ」の文言を加えることは、どの段階で発想されたんだろうか。
第17回京都ヒストリア国際映画祭で観賞。
上映前のセレモニーのあと、近年レストアされた4Kヴァージョン(101分)を現役活動弁士と楽士による生の劇伴(お囃子)で観賞。
上映後は田村亮のご子息(つまり阪妻の孫)で俳優の田村甲士氏と『侍タイムスリッパー』(2024)の安田淳一監督らによるトークショーが開催され、たいへん興味深いお話を伺えた。
今回使われた映像は英語字幕付き。
弁士の口上と微妙にタイミングがずれてたりするので、さして英語が堪能でもないくせについ目で追ってしまうが、「そんなの見てりゃ分かるよ」みたいなのも多かった。
機会があれば字幕なしのヴァージョンも劇場で観賞してみたい。
終盤の有名な剣戟シーンは圧巻の一言に尽きる。
資料的価値だけでなく今観ても十分楽しめる傑作。
もっと無声時代劇の傑作を観たい‼️失われたものばかりだけど‼️
日本映画史において傑作と言われる無声時代劇の数々がほとんど失われてしまっている現在、ほぼ完全な形で観る事が出来る数少ない作品の一つ‼️善意でことに当たるのに、ことごとく人に裏切られた浪人阪東妻三郎が、ついに捕り手と大チャンバラを繰り広げる・・・‼️全体の3分の1、30分に及ぶチャンバラシーンが今観ても凄まじいです‼️細かいカット割りと、日本のサイレント映画特有のリズミカルな字幕の挿入、そしてクレイジーな移動撮影がホントに素晴らしい‼️これは外国のサイレント映画にはないものですね‼️このチャンバラシーンの効果は、捕り手たちが使う投げ縄や瓦など、あらゆる捕物道具の効果もあって、縄まみれになる阪妻の表情のアップはド迫力です‼️権力に対抗するニヒリズム‼️主役の阪妻に当時の観客たちはそんなニヒリズムを観ていたのでしょうか⁉️

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