「詩情あふるる逸品」俺は田舎のプレスリー 青樹礼門さんの映画レビュー(感想・評価)
詩情あふるる逸品
のどかなリンゴ農園に巻き起こる不協和音のしらべ。
それぞれの純粋な想いが奏でる。
ゆえに、せつなくて、胸が痛くなるくらい。
美しい自然描写、ロングショットにため息が出た。
馬やクルマの絶妙な撮り方がなんともダイナミック。
性が異なるふたりのヒロインの美麗さ。
思想が違うふたりの青年の素朴さ、複雑さ。
包容力の父性としてのハナ肇の苦悩。
時とともに人も社会も変異していく。
変わらないのはだれかを想う気持ち。
40年経っても変わらない普遍。
駅での別れのキスシーンが、日本映画でも見事に成立してしまう。なんとも粋な感じ。
バタ臭い西部劇名画をやりながら、
アナログローカルな日本の田舎、
二律背反する要素が、見事に魅力的に活かされている。
笑いどころ満載ながら、
胸がいっぱいになる、気持ちの良い余韻に酔いしれた。
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