おもひでぽろぽろのレビュー・感想・評価
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傑作句集のような絶品
1シーン1シーン、いや、1描写1描写が、愛おしむように描かれていて、アニメ嫌いの私を忘れて、一瞬たりとも見逃すまいと感心して観た。
そして今、高畑監督は死んでしまったのだ。
アニメとして・・・。
アニメーションとして見ていたら時々ぞっとするぐらいリアルなシーンがありました。特に車の中の会話シーン。
また、子供時代の絵のタッチとのギャップが双方を引き立たせていて、すごい映画だと思います。
子供の頃の思い出が……
子供の頃に刻まれた様々な思い出が、大人になっっても何気ない日常の中で不意に思い出されることが私にもあります。本作は大人になってもあるそういう所子供心になんとなく共感してくれる良い作品かと思います。
ドストライク
世代的には全く違うんですが、小学生の頃を思い出して今の自分と照らし合わせる感触が、自分が感じているものと全くといっていいほど同じで。
というか初めて観たときは小学生だったんですが、人としての幼さとか成長を、性別に関係なく見せられた感じがして、衝撃を受けました。
いつも可愛がってくれる父親にビンタされるシーンは泣けてしまいます。
自分の場合はおじいちゃんに可愛がってもらってたんですが、たまに怒られるとメチャクチャ悲しくて。
過去の自分と未来の自分をつなげる話の作品はよくあるんですが、これほど完成度の高い作品は観たことがありません。過去の回想が現在の人間関係の形成に影響を与え、逆に過去の出来事を思い出すという流れが非常によく出来ています。
大人になってから分かるこの映画の良さ
昭和の香り漂う作風に、妙にホッとさせられたと言うか、回想シーンなんか私は全然生まれていない時代なのに何故か懐かしいと思わされたりで、とても心安らげた作品でした。
おそらく劇中で描かれた時代に生まれていようが生まれてなかろうが、高畑勲監督の温かみのある絶妙なタッチによって、昭和生まれならどの世代でもある程度懐かしいと感じられるような作品になっていたのではないでしょうか。
これは実写とはまた違う、アニメだからこそ出せた味だった気がしましたね。
それと昔見た時は正直そこまで面白いとは思えなかったのに、今になって見てみたら、この作品に対する思いは全く違うものになっていて、今回は思いっきり感情移入させられてしまいましたよ。
ある程度大人になると、自分を省みると言うか、自分と向き合う時間って絶対必要なんですよね。
この映画では、小学5年生の自分を引き合いに出して向き合っているのが、何とも絶妙と言うか上手いなと思いました。
何のしがらみも無くわがままにできたギリギリの年頃、だからこそ忘れていた何かがそこにあると言う感じで、自分の小5時代も思わず思い返してしまいました。
あんなクラスメイトいたよなぁとか、兄弟げんかあるあるとか、本当に懐かしい。
さすがに脱脂粉乳の味は私は分かりませんでしたが、そんなに不味いものなんですね(笑)
パイナップルのシーンも好きだなぁ、確かに初めて食べたパイナップルはあんな感じでした!
昭和の小学校的甘酸っぱい恋の話も良かったですね、昔は大体あんな感じになりましたもんねぇ・・・。
まあ全体的に私もかなり面倒臭いタイプの子供だったので、タエコの言動に激しく共感しました(分数のところとか特に)
そんな子供時代と向き合う現代のタエコの設定が27歳だったのは、画や今井美樹の声の雰囲気といまいちマッチしていなかったようで少々難点だったかなと。
しかもトシオはもっと年下なんですもんね、まあ柳葉敏郎の訛り具合は味があって良かったですけど。
ただ大人になってからも普通じゃなく面倒臭いタイプのタエコを見ていると、何の脈略もないような回想シーンも何気に上手い具合にリンクしていたようで、思わず感心させられましたね。
ラストシーンもエンドロールも良かったなぁ、ジブリ作品では地味な扱いの本作ですが、子供の時は何とも思わなくても大人になってからもう一度見てみたら、きっとまた違った感動を得られる作品だと思いました。
映画完成から、25年 紅花作りのモデルとなった方の息子さんや映画コ...
映画完成から、25年
紅花作りのモデルとなった方の息子さんや映画コーディネーター荒井氏のトークショー後の大きなスクリーンで観る『おもいでぽろぽろ』は、解説後なので、とても良かった
昔の町並み、ひょっこりひょうたん島や当時の流行歌、懐かしかった
何度も山形に通い、仕上げた作品
製作者達のこぼれ話は、映画をひとランクアップさせてくれる
面倒臭い人
いわゆる面倒臭い人、が主人公の映画。
そういう部分がとてもリアルに描かれている。
他人事ではないので観ていてなんともいえない気分になる。
また、高度成長期の家族像や、小学校高学年特有のやりとりも
特徴をよくとらえている。
10歳のころは本当にくだらないことで見栄をはったり、
誰の得にもならないのに感情をぶちまけてみたり、
この映画そのままの兄弟げんかもよくやったなあ…。
落ち着いていて、良いかんじ。
都会で働くタエ子が、休暇で田舎の親戚の家の農作業を手伝いに行く。その過程に小学5年生の自分を断片的思い出し、今の自分につなげていくお話。
私が一番感動したのは、子供の頃のやるせなさをうまく描けているところ。子供の頃の、けして明るくなく、何事にも一喜一憂していた、もやもやした不安定な気持ち。きっと誰もが持ち合わせている、子供だからこその感情がうまく描けていた。
大人になったタエ子は、もはや昔過ぎて定かではない記憶を、次々と思い出しては笑い飛ばしていく。
しかし、物語の最後に思い出した記憶だけはタエ子の心に深く入りこみ、そして彼女のその後の人生を肯定していくヒントになる。
親戚の人が言う、「手つかずの自然に思える田舎の風景も、人間が作ったものなんだ。」というセリフが印象に残りました。
おすすめです。
田舎の風景は人間が造ったもの
この科白が印象的でしたね。そうかぁ、そうだよなぁ、と。田舎への自分の郷愁を感じる言葉でしたね。
それで、全体としては、ちょっと科白が多すぎな気がしましたね。人々の心の移り変わりを、独白的な言葉で埋めているところが目立ってしまって、そこをやっぱり映像で分からせてほしかったなぁというところがありましたね。
でも、小学5年の頃のタエコちゃんは可愛かったね。ああいうピン止めしてる子いたなぁって。なんか、そういうことを思い出せただけで、幸せではありました。
心があたたかくなる作品。
小学生くらいに見て内容もあまり覚えていないのに強烈に印象に残ってる作品。
改めて見たのですが、また違った意味でとても素敵で印象に残る作品です。
自分が小学校の頃、幼い頃を思い出しました。あ〜自分もこんな頃があったなあと。
そして、セリフがとても素敵です。とっても深い。
エンドロールが特に素晴らしいです。
心がとってもあたたかくなりました。
大人に見て欲しいジブリ作品です。オススメです。
大人な恋。
小5という子供なんだけど、少し背伸びを始めたような微妙な時期と、
もういい大人になったタエ子。
小さい頃に見た時は普通に小5のタエ子のラジオ体操が面白かったとか、
パイナップルでそんなに盛り上がれるの?とか。
そんな思いで観ていた気がするけど、
年を重ねて23歳。
また違う見方になるんですね。
転校生の話を敏夫さんにした後の2人で夜道を帰るシーン。
あの時のタエ子の感情は複雑で、子供だった私が理解できるわけもなく
今だから分かることが嬉しかったりします。
最後の終わり方もエンドロールに入ってからが見せ場という最後の最後まで素敵な作り方。
何度見てもいくつになっても
楽しみるのがジブリの凄いところです。
小5の彼女と大人の彼女の話との繋がりが弱い
総合65点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:80点|ビジュアル:75点|音楽:75点 )
子供時代ってこんなことあるよなとか、どこの小学生も似たり寄ったりなんだとか、観ていてそんな場面が散りばめられている。その演出がさりげなく自然で上手。特に、色が水彩絵の具で描かれた絵のように優しく淡く抜けて夕陽の差し込む帰り道、意識している男の子と声を交わして天に駆け登っていく場面が面映い。
一方で大人になったタエ子の話と、これらの昔の話の繋がりがわからない。昔を思い出すのはいいが、子供のころの話を一つ一つが全て現代の話に繋がっているわけではない。そのために二つの話を同時進行にしたときには、嫌いな食べ物があったり温泉に行ったり家族ともめたりといった、タエ子の小学生時代のありふれた日常生活をひたすら見せられてもそれがいったいどうしたのかと感じてしまう。過去の話の一部は現代のタエ子にとても重要だけど、小学五年の彼女だけが現代の彼女を形作っているわけでもない。小さな思い出話をいくつも集めていても全体の流れとしての一体感がなくて、その意味で無駄な尺が多すぎて全体が間延びした印象をもってしまう。いくつかの枝を良く見ていても、木全体をうまく眺められていない感じがする。
頬の豊齢線はタエ子を27歳よりも相当に老けて見せてしまっているのは残念だが、全てがそうではなくても絵は時々細かく書き込まれ美しさを見せてくれる。ハンガリーの農民の歌など音楽も独特でいい。細かい時代設定など凝っているのがわかる。過去と現代の物語の繋がりの弱さ以外にも、全体として物語は地味で抑揚が少なくてそれほど引き込まれるわけではないが、人物の動きや感情といった描写の質はけっこう高い。途中でやや退屈な部分もあるけれど、最後はあっさりながら子供たち総出演で大人の彼女を後押しして綺麗にまとめてくれた終わり方ですっきりした。
雰囲気が好き!
小学生の頃に一度観た事があったのですが、
その時は、退屈で寝てしまった気がしますw
しかし、今観るとこの作品の良さが分かった気がします。
ストーリーは淡々と進んで行くのですが、全体的にとても良くて
見終わった後に幸せな気持ちになれました。
また観たいぐらいです。
きっと、ある意味R22くらいの作品
参りました。
というのが今の率直な感想。
ジブリの中でも地味な方で、正直そんなに惹かれる題材でもなかった(後に後悔する)のに気付いたら見入って浸ってしまっていました。余韻が凄い。私も文系人間だからかなんとなくタエ子の気持ちがわかることが多かったのもその一因なのかもしれませんが。
温かくて、優しくて、愛おしい空気に包まれているような作品です。まさに隠れた名作。
初見のつもりで観はじめて、パイナップルのくだりだけ懐かしすぎてテンションが上がるくらいやけに覚えててw、ああこの作品だったんだ!って嬉しくなったんだけど、それ意外は全く覚えてませんでした。(というか今まで意識してなかったけど高畑作品をじっくり観たのがどうやら初めて。)
記憶に残ってない作品にこんなに惹かれるなんて不思議な感じ。なーんかいいんです。確かに確実に子供向けではないので子供の頃観たのが記憶にないのも妙に納得。
子供向けじゃないのにアニメーション。しかもモデルにしてる人を声優に使って声は先撮り。
この“あえて”の効果がホントに凄い!すごい化学反応を見ました。実写じゃここまで表現できなかった気さえする。
5年生パートのモヤがかかったような色調、それにピッタリ合う心地好い今井美樹さんの優しい声、他にもたくさんあるけど最後の“5年生”に手を引っ張られるような背中を押されるようなED(歌とクレジットだけじゃないED大好き!)なんかはその真骨頂。アニメーションだからこその深みある演出が本当に素晴らしい。
そして上であんまり惹かれない題材なんて言ってしまいましたが、とんでもない!前言撤回、目の付け所が素敵すぎです。こういうところにスポットライトを当てるってとってもいいですね。
店頭で手に取る野菜一つ口紅一つの裏にある苦労、田舎暮らし、“村人A役”をやるような女の子の人生、家族あるある学校あるある…どれもすごく感慨深かったです。
まずはよくあの小さくて面倒臭い社会に順応してたなと思うくらいの小学生という生き物wにノスタルジー(作品の時代には馴染みがないけど今も昔も変わらないw)を感じて、思春期一歩手前のあの頃をさなぎに例えて【さなぎにならなきゃ蝶々になれない】という言葉にすごく納得。
そして朝日が差し込むシーンが本当に神聖な田舎パート。とっても好きな【快く疲れる】という言葉。
そして逃げ出してしまったタエ子の心情。[無]農薬は消極的で[有]機栽培はかっこいいという素敵な考え方のトシオが急な“アベくん”の話を黙って聞く姿。ラストシーンのタエ子は凄く綺麗な“蝶々”でした。
トシオや山形のみなさんの切なくて力強くて美しい姿を見ていたら今の福島の農家さんのことを考えさせられました。
生まれてからその土地を離れずに365日ずっと農業に携わってきたこと、今まで大切に育ててみんな食べてもらえてたという生活が急に失われてしまった気持ちやこれから。
「まだ住んでるなんてどうかしてる」と言われたってそう簡単に慣れ親しんだ場所から離れられるものじゃない(なにより心情的に)。
国が生活を保障するのが一番なんだろうけどそれだけで割り切れる問題じゃないもんなあ。。
タイムリーなことに、もっと何ができるか考えなくちゃというきっかけを与えてくれた映画にもなりました。
私は気になるキーワードがあったら説明書みたいな文字を読むよりそれに関する映画を観ると一番理解できるような気がして更に関心が持てるタチなのですが、こういう偶然のメッセージにもすごく後押しされます。
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