劇場公開日 1959年5月12日

「大人の挨拶」お早よう 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5大人の挨拶

2025年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1年前にDVD観賞した小津監督「彼岸花」(58)がツボにはまり、今作を観てみました。あとで知りましたが、製作年が1959年なので、ちょうど当時の人達と同じ間隔で「彼岸花」と「お早よう」を観ることができました。両作品の題材は全く違いますが、当時の日本人の日常生活に在る些細な出来事を丹念に拾い上げて、あるがままをフィルムに焼き付けているような印象を受けました。今作では、昭和30年代の三種の神器(白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫)のうち、白黒テレビをモチーフにちょっとした騒動が起きます。町内会費の滞納、子供のハンガーストライキ、ボケ老人の存在などがコミカルに描かれていて、クスクス笑ってしまいます。鍵のかかってない玄関から近所の人が入ってきて声をかけ合う日常は隔世の感がありますが、やっかみや誤解から変な噂話が盛り上がっていくところは今も変わらないようでもあり、古い中に新鮮な発見もあってとても面白かったです。小さなエピソードから成る構成の妙でとても引き込まれました。タイトルにある「お早よう」の意味が終盤からラストにかけてリフレインされる展開がすばらしく、何ともいえぬ穏やかな気持ちになりました。小津監督のやさしい眼差しを感じる作品でした。

赤ヒゲ
赤ヒゲさんのコメント
2025年2月24日

talisman様

コメント、ありがとうございます。
昨年みた「彼岸花」のレビューに書いたのですが、私は小津安二郎作品をずっと敬遠していて、数十年ぶりに再会したら、いつの間にか「わかる」ようになってました(汗;)。これから少しずつ小津作品を楽しんでいこうと思っています。

赤ヒゲでした。

赤ヒゲ
talismanさんのコメント
2025年2月23日

この映画も彼岸花もいいですね!

talisman