男はつらいよ 寅次郎の青春のレビュー・感想・評価
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バブル弾けし大日本帝國の夕暮れ時。
なんとまぁ、初見であった。
いやいや、見たかなぁ?
山下達郎さんの『クリスマス・イブ』へのリスペクトかなぁ?
幸せは勿論『結婚』ではない。
幸せは 『金である』
イズミが宮崎空港へ降りる時に遠くに見えるのは、高千穂峰で手前にDr.ノーの秘密基地の韓国岳。真ん中は1991年に噴火したばかりの新燃岳だ。この映画が上演される数年前に韓国岳から高千穂峰まで縦走したことがある。高千穂峰の山小屋で大晦日宿泊し、レコード大賞の新人賞(?)に岡田有希子さんが選ばれた年だ。
本当は北原ミレイさんの
石狩挽歌の似合うはずなのだろうが、たぶん『日南』と言う場所を昭和的な概念でアイロニーしたのだと思う。けどね。一歩遅いと思うよ。
あの大災害まであと二年。
愛しているなら態度で示せ!
「男はつらいよ」シリーズ第45作。
Huluで「HDリマスター版」を鑑賞。
都内のCDショップで働き始めた泉ちゃん。次の日が休みだということで、家の晩ごはんに招待しようと店内で声を掛ける満男。ふたりのやり取りを聞いてたらこっちが恥ずかしくなってくるで、全く!(笑) 浮かれる満男が曜日を確かめるときに、寅さんみたいなことを言うのが笑えました。「今日何曜日だっけ? 月曜? じゃあ明日は火曜か…」(笑)
そんな泉ちゃんの親友が結婚するということで、結婚式に出るために初めて有給休暇を取得して宮崎に行くそうな…。満男も着いて行こうとしたが、その親友が昔満男に片想いしていたと教えられ、照れた拍子に階段を転げ落ちるのでした…(笑)
単身宮崎に来た泉ちゃんは結婚式に出席した後、観光がてら歩いていたらまたもや偶然寅さんに遭遇! 「おじちゃま!」と元気に駆け寄るも寅さんには同行者が…。当地で知り合った床屋の蝶子という美人。ふたりから気を使われて置いてけぼりを食らいそうになった寅さんは足を負傷! 大袈裟に痛がるもんだから話が大きくなって…。泉ちゃんがくるまやに掛けた電話で伯父さんの怪我を知ったら満男は、これ幸いと口実に使い、彼女に会うために宮崎へと向かうのでした…(笑)
蝶子は寅さんに想いを寄せていたものの、いつもの如くそうなってしまったときの寅さんの癖が発動。怒った蝶子でしたが、戻って来てくれて空港まで送ってくれたのでした…。それに纏わる満男と泉ちゃんの会話において、寅さんの恋愛を簡潔にまとめた満男のセリフが上手かった…(笑)
一行が東京に戻ったのも束の間、泉ちゃんの母・礼子が入院して心臓のカテーテル手術を受けることに…。戻って来て欲しいとの連絡があり、またもや職場を休もうとしたら許してもらえず…。悩んだ末に、店を辞めて名古屋に帰る決心をした泉ちゃん…。それを引き留めようにも手段を持たない満男…。別れ際のファースト・キスにウルっと来ました。
そして迎えた正月。ここ最近は毎年訪ねて来てくれた泉ちゃんは今年は来ず…。しかし、満男は悲しみに暮れてなどいなかった。嫌がっていた父親とのランニングを張り切って元日から敢行し、両親を当惑させるほどのやる気を見せていました。その胸中には、泉ちゃんとの別れは新たなる始まりのための終わりだったのだと捉え、いつの日か再会できることを願ってそのときまで頑張ろうとする気持ちが渦巻いていました…。
――
いよいよ寅さんが動かなくなって来ました。足を負傷したのもあまり動かなくて済むようにという工夫なのかも知れず…。どこかしら往時の勢いも無く…。顔色の悪さを隠そうとしたのか、いつもよりメイクも厳重だなと思いました。
そして、ついに笠智衆演じる御前様最後の出演となりました。と同時に笠智衆自身の遺作となってしまいました。最後を飾るに相応しいユーモラスな場面でした。佇まい自体が御前様そのものだった笠智衆は、最後の瞬間までその役を全うして下さいました。ありがとう、さようなら…。
【余談】
泉ちゃんの働いていたCDショップの棚にましゃのCDが…!
新しい物語が始まるまでの切ない別れ…
シリーズ45作目。
OPの夢は、
明治。文豪・車寅次郎の下に、甥の満男が恋人の泉と共に駆け落ちしてくる。文武両道の寅次郎は追っ手を撃退し、若い二人の恋路を手助けする…。
サイレント映画風に、ドストレートにここ数作を表したような夢。
尚、OPの夢は本作が最後になった。
泉が東京のCDショップに就職して半年。仕事は大変だが、休みの前日は満男の家によくお邪魔したりして、依然良好な関係。
中学時代の友人の結婚式に出席する為、泉は有休を取って宮崎へ。
その宮崎にて。
港町の油津で理髪店を営む蝶子は、「何処かにええ男おらんじゃろか」と嘆く。
すると、
「お姉さん、その男、俺じゃダメかな」と声を掛ける四角い顔の粋な男。
蝶子の店で散髪して貰う。
心地よい空間、気持ちいいくらい手慣れた散髪、ほんのり甘く、官能的なひと時…。
前年(91年)日本でもヒットした『髪結いの亭主』をモチーフ。
マドンナ・風吹ジュンも堪らなく色っぽい。
蝶子は船乗りの弟・竜介と二人暮らし。ギターも弾ける今風の色男。演・永瀬正敏。
突然のどしゃ降り。雨宿りのつもりが、蝶子の家に長居。
そして、油津に来ていた泉とばったり再会する。
ある日、寅さんが(大した事無い)怪我を。
泉が電話で報せ、満男は慌てて宮崎へ。…が、本当は伯父さんの事はどーでもよくて、泉に会いに行きたいだけ。
ところが、来てみてがっかり。
泉と竜介がやけに仲がいい。
あからさまにふて腐れ、不機嫌になる満男。
初めて現れた恋敵に嫉妬。
…と思いきや、
竜介にはフィアンセが。
途端に機嫌がよくなる満男。う~む、伯父さんそっくり。
初めての恋敵や嫉妬でなかなか進展しない満男と泉の恋路にひと波乱起こるかと思ったら、さほどでもなく。
寧ろもう一つの心配は、寅さんの方。
蝶子にはある想い人が。何年か前に店にやって来た一人の男。「俺と一緒にならないか」と声を掛けられ、その時は返答出来ずにいたが、また店に来たら、答えは決めている。が、それ以降…。
そんな時現れたのが、四角い顔の粋な男。
(大した事無い)怪我も良くなり、柴又に帰る事を決めた寅さん。
急に怒り出す蝶子。密かに寅さんに想いを。
無論寅さんは何事も無いまま、柴又へ。
不器用な甥の恋路に嘆くが、自分も然り。
尚、ラストで蝶子の思わぬその後が語られる。
泉の母が入院する事に。再び有休を取って名古屋に帰ろうとするが、職場はそれを認めない。
悩んだ結果、泉は仕事を辞め、名古屋に戻る事を決める。また母親と暮らし、名古屋で就職する事も。
東京駅に駆け付ける満男。これまで一緒に居ながら、何もしてやれなかった事を悔やむ。母親の為に自分が犠牲になる事はない、と。
母子家庭の事情。泉の決心は変わらない。
惹かれ合っているのに、このどうしようも出来ないもどかしさ…。
発車直前。物陰で初めて交わしたキスが切ない。
いつもならエンディングの正月には訪れていた泉。が、今回は…。
4作続いた満男と泉のラブストーリーは、一旦の終了。
満男は決意する。また泉と再会した時、新しい物語が始まる事を。が、その胸中は本当は…。
そして二人はシリーズ最終48作目で再会し、遂にその恋路に決着が付く。
本作にはもう一つ、忘れてはならない事が。
第1作目から、寅さんを時に厳しく、時に温かく見守ってきた御前様役の笠智衆が、本作が遺作に。
最期の出演シーンは茶目っ気たっぷり、ユーモラスに。
実家が寺で、本人も住職をしていた事もあり、人柄も役柄も有り難みも全て含め、御前様は笠智衆さんそのものでした…。
よかった
当時『髪結いの亭主』がヒットしていたので、その影響なのか、理髪師の風吹ジュンが男に飢えたいい女で寅と仲良くなる。弟の永瀬正敏が祭りでコピーバンドで演奏していて、満男が酷評する。シティのガブリオレをオープンで乗り回す。
ゴクミがCDショップに就職したけどすぐに辞めてしまった。
満男が寅のことを「あの人は奥行きがない」とズバリ指摘する。
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