「愛しているなら態度で示せ!」男はつらいよ 寅次郎の青春 syu32さんの映画レビュー(感想・評価)
愛しているなら態度で示せ!
「男はつらいよ」シリーズ第45作。
Huluで「HDリマスター版」を鑑賞。
都内のCDショップで働き始めた泉ちゃん。次の日が休みだということで、家の晩ごはんに招待しようと店内で声を掛ける満男。ふたりのやり取りを聞いてたらこっちが恥ずかしくなってくるで、全く!(笑) 浮かれる満男が曜日を確かめるときに、寅さんみたいなことを言うのが笑えました。「今日何曜日だっけ? 月曜? じゃあ明日は火曜か…」(笑)
そんな泉ちゃんの親友が結婚するということで、結婚式に出るために初めて有給休暇を取得して宮崎に行くそうな…。満男も着いて行こうとしたが、その親友が昔満男に片想いしていたと教えられ、照れた拍子に階段を転げ落ちるのでした…(笑)
単身宮崎に来た泉ちゃんは結婚式に出席した後、観光がてら歩いていたらまたもや偶然寅さんに遭遇! 「おじちゃま!」と元気に駆け寄るも寅さんには同行者が…。当地で知り合った床屋の蝶子という美人。ふたりから気を使われて置いてけぼりを食らいそうになった寅さんは足を負傷! 大袈裟に痛がるもんだから話が大きくなって…。泉ちゃんがくるまやに掛けた電話で伯父さんの怪我を知ったら満男は、これ幸いと口実に使い、彼女に会うために宮崎へと向かうのでした…(笑)
蝶子は寅さんに想いを寄せていたものの、いつもの如くそうなってしまったときの寅さんの癖が発動。怒った蝶子でしたが、戻って来てくれて空港まで送ってくれたのでした…。それに纏わる満男と泉ちゃんの会話において、寅さんの恋愛を簡潔にまとめた満男のセリフが上手かった…(笑)
一行が東京に戻ったのも束の間、泉ちゃんの母・礼子が入院して心臓のカテーテル手術を受けることに…。戻って来て欲しいとの連絡があり、またもや職場を休もうとしたら許してもらえず…。悩んだ末に、店を辞めて名古屋に帰る決心をした泉ちゃん…。それを引き留めようにも手段を持たない満男…。別れ際のファースト・キスにウルっと来ました。
そして迎えた正月。ここ最近は毎年訪ねて来てくれた泉ちゃんは今年は来ず…。しかし、満男は悲しみに暮れてなどいなかった。嫌がっていた父親とのランニングを張り切って元日から敢行し、両親を当惑させるほどのやる気を見せていました。その胸中には、泉ちゃんとの別れは新たなる始まりのための終わりだったのだと捉え、いつの日か再会できることを願ってそのときまで頑張ろうとする気持ちが渦巻いていました…。
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いよいよ寅さんが動かなくなって来ました。足を負傷したのもあまり動かなくて済むようにという工夫なのかも知れず…。どこかしら往時の勢いも無く…。顔色の悪さを隠そうとしたのか、いつもよりメイクも厳重だなと思いました。
そして、ついに笠智衆演じる御前様最後の出演となりました。と同時に笠智衆自身の遺作となってしまいました。最後を飾るに相応しいユーモラスな場面でした。佇まい自体が御前様そのものだった笠智衆は、最後の瞬間までその役を全うして下さいました。ありがとう、さようなら…。
【余談】
泉ちゃんの働いていたCDショップの棚にましゃのCDが…!